株式会社リストラ
新堂路務
株式会社リストラ
「ウソ、大袈裟、紛らわしい。そういう広告を、とりしまってるわけなんです」
縁無しの眼鏡をかけた男は、抑揚無く伝えた。
「いや、だからウチのは健全な求人広告です」
作業着の男の脇は、汗染みがあった。
「この求人広告に書かれた、会社の説明欄から通報がありました。まず会社名は?」
「これは、先々代がリスのように小回りが利き、トラのように豪快な仕事をするという、想いでつけました。ウソでは無いです」
作業着の男は、身振り手振り、額にも汗をかいた。
「不当な理由で解雇しても、会社名がこれだから許されるとでも、思ってるのではないですか?」
「不当な解雇?この5年で辞めたのは、定年の近藤さんだけ。その近藤さんも、アルバイトでまだ時々来てます。大袈裟でも何でもありません」
縁無し眼鏡は、ため息をつくと
「じゃあ、おたくは何をつくってる会社ですか?」
「肩たたき機です」
「紛らわしい!」
株式会社リストラ 新堂路務 @niseuxenntu
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます