第18話

 息子の重みは実験途中に消滅してしまったが、本来は実験が終わるまで、つまり粒子αが連続して衝突を続けている間は、存在し続けて、実験終了と同時になくなるものであったと、夫は予測していた。ということは、あのゆがんだ顔の男もすでに消えているだろうと思っていた。

 殺害された夫婦は顔が変形してからも数分間、2人並び、無言で街中を歩いており、その様子は携帯電話で撮影されネットに上げられた。ゆがんだ顔の男の目撃情報も頻発するようになる。その頃には誰もが人間の仕業ではないと分かっていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る