第4話

 まずは過去の息子の写真データを元にAI画像生成をして、10分おきにモニターに表示させた。さらに自分と夫の画像も読み込ませ、AIに成長プロセスを学習させて、息子が日々少しずつ大きくなっていくようにプログラムした。その次にその画像とホームビデオに残っていた息子の音声、癖や仕草までデータ化して、息子そっくりのアバターを作る。ARゴーグルを通し、自分の部屋の中に映し出したりした。夫がそれらに対してほとんど興味を示さなかった理由も、Aがその息子の代わりと接し続けるほどに感じる空しさのわけも結局は同じであり、あの子はもう戻ってこない、二度と触れることはできない、と分かっているからに他ならない。

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