異世界転生 マジカル武術

Uー龍

第1話  これまでの流れ

 異世界転生した。それも神様側の過失で死んだからお詫びとして色々優遇してもらった上で転生する所謂“神様転生”とか言われているやつで。

 まぁ、神様とのやりとりは記憶にないんだけどね?

なぜなら神様が枕元に降臨して謝罪や転生に対するあれこれを話してくれて、私も一見ちゃんと受け答えをしていたようなんだけど、実は二徹して泥のように眠っていた時だったから寝とぼけてて全く覚えてないから。

そしてそんな私がこの事を知っているのは、それに気づいた転生先の主神様がその辺りの記録(ログ)を添付してくれていたからで、これが無ければ自身の置かれた状況が分からず途方に暮れていたと思う、本当に感謝してる。

 ちなみに、転生までの流れはこんな感じ


1. 神様見習いが何やらやらかして人類が滅亡するルートに突入、自身の教育係である中級神に報告、とりあえず謹慎を言い渡される


2. 中級神が頑張って元の人類しだいのルートに修正したが“滅び”の因果を完全に消し去ることは出来ず、なぜか私が死ぬことが確定


3. 中級神は下級神に詫びと交渉に行くように指示し、自分は上級神に報告しに行った


4. 私、寝とぼけたまま下級神と会話、結構な無茶振りをしたようだが、なぜか上級神の許可が下りお詫びの転生特典確定、私、死亡


5. 私の魂を受け取った主神様が眠ったままの私に転生時の記憶がないことに気づき、お詫びのメッセージと記録を添付して転生させてくれた


6. 私、ファンタジーな異世界の伯爵家に双子の兄として生まれた(私は次男、弟は三男)


 まぁ、この際私が死んだのは別にいい。家族も恋人もいない天涯孤独なアラフィフのおっさんが惰性で生きていただけで大した未練も無かったし。

 ただ下級神の方には寝ていることに気付いてちゃんと起こしてほしかった。そしたら、転生特典の神力(自身の能力の強化や追加が出来る)を全て武術(無手)の才の強化に充てるなんて浪漫志向の極振りになんてしなかったのに・・・。

 そりゃね?格闘系の漫画とか好きだったし?

自分でも少しは武術かじってたし?

達人の領域とか知りたいと思ってたし?

これが本心からの願いだったことは認めるけれどもね?

 でもね?

ほとんどの人が魔法を使える上に魔力や魔法能力の高さが重要視される世界に転生するのに魔法系の能力を無視するわけないじゃん。

 こちとら波乱万丈な主人公のような人生より平凡で無難な人生を選ぶ怠惰で小心者の小市民なんだから。

 な~んて愚痴りながら現実逃避してるけど、現状目がよく見えないという非常事態に心が千々に乱れているわけだが・・・

 まさか前世の目の悪さを引き継いでる?

 この世界に眼鏡(前世レベルのやつ)がなかったら詰むんだけど、本当どうしようか・・・


 そうだ!!

いっそ、漫画とかに出てくる戦闘も日常生活も問題なく行える系の盲目キャラみたいに人や物の気配を感じ取れるようになれば何とかなるんじゃなかろうか?

武術(無手)の才能に極振りしてるんだし何とかなるだろう、うん。

・・・なるといいなぁ~~。




結論から言うと視力は問題なかった。

成長とともに段々と見えるようになってきて4~5ヶ月くらいでちゃんと見えるようになった。

それと怪我の功名というか人や物の気配も結構な範囲で感じ取れるようになったし、むしろ近くなら白黒テレビ並みにはっきりとわかるという、やってる本人すら“どうやって?”と思うが、出来るものは出来るのだし、困るわけでもないので深く考えないようにしよう。

あと、不随意筋(本来自分の意志では動かせない筋肉)も動かせるようになった。

だって、周りの気配を感じ取るのは案外簡単に出来たし、視力も問題なさそうってなったら体をイメージ通りに動かせないことも気になって訓練してたらいつの間にか出来るようになってたのよ。

勿論、人に見つかるようなヘマはしていない。人前では弟が出来る動きの範囲内でしか動かないようにしたからな。

 と、ここまでは良いんだけど新たな問題が発生した。それは言語習得の遅れである。

 気配察知&身体操作の訓練にかまけて周りの会話をほとんど聞いていなかったことと、前世からの日本語以外の言語に対する苦手意識のせいだろう。

 慌てて勉強しだして、赤ちゃん脳のおかげか前世よりも遥かに早く上達しているが弟よりかなり遅れているし、発音やイントネーションに日本語の癖が少し出ていてちょっと変な感じになっている。

 おかげで皆から弟よりおバカ認定されてたりする。ちくせぅ。



 これがだいたい3歳までの行動と結果である。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る