第13話 水曜日の昼休み
私にとって水曜日は、ちょっとした楽しみがある。それはスクールソーシャルワーカーの小林さんとの面談。1学期に中山先生に紹介してもらった小林さんと、毎週水曜日の昼休みに面談をしている。面談では小林さんとクイズを出し合ったり、筆談で悩みを相談したり。小林さんはとても優しい人で、最初こそ緊張したけど今ではほとんど緊張しないで面談ができるようになった。
今日は水曜日。小林さんと面談があるから朝から楽しみ。給食も急いで食べて昼休みSCルームに向かった。「ただいま、空いてます」この看板を確かめてドアをノックし部屋に入る。今日も恒例のクイズが始まった。
いつもは雑学的なクイズをたくさん出してくれる小林さん。でも今日はクイズというよりも質問を聞かれ
「岡田さんは、緊張することは悪いことだと思いますか?」
ちょっと焦った。
「一緒に考えてみましょう。」
どうなんだろう。緊張すると、話せなくなったり思った通りのことができなくなる。そう考えると緊張することは悪いことなのかもしれない。
「では、人間は緊張しなければどうなるでしょう。」
人が緊張しなかったら…思い通りに話せたり行動できて、いいことじゃ無いかなと思った。
「でも、人間ってある程度の緊張をしないといけないんですね。もちろん過度な緊張はいけませんが、リラックスモードと緊張モードをうまく切り替えることでパフォーマンスが発揮することができます。」
確かに、合唱コンクールでのピアノの演奏。適度に緊張感があった方が気が引き締まって弾くミスも減るのかもしれない。
「しかし、緊張するだけでは疲れてしまいます。ですのでさっきも言った通りリラックスがとても大事になります。ピアノの演奏でも、心には緊張感が必要ですが体はリラックスして弾くなどするとより良い演奏ができますね。」
そういえば、ピアノを弾くときは肩の力を抜いてリラックスした方がいいと聞いたことがある。緊張とリラックス、どっちも大事なんだと思った。
「おそらく岡田さんは緊張感を持って行動できていると思います。しかし緊張のしすぎて思った通りのことができない時もあるのでは無いでしょうか。ですのでリラックスができる方法を一緒に見つけませんか。」
リラックスできたら疲れも減ってよさそう。私は小林さんとリラックスできる方法を考えることになった。
それからの水曜日の面談では、クイズもしながらリラックスの仕方も考えることになった。伸びをしたり、ストレッチをしたり、休憩も挟んだり…
「緊張する、と思ったら一度落ち着いて深呼吸をするのもいいですよ」
緊張している場面って、もうそのことしか考えられなくなって落ち着く余裕がないのかもしれない。そういう時に一旦リラックスとして深呼吸するのはとてもいいことだなと感じた。
もしこれから、緊張する場面があったら深呼吸して落ち着こう。そしたら話たりもできるようになるかもしれない。
2年生になる時期も近づいている。クラスも変わるから不安だし緊張するだろうけど、小林さんに教わった方法でリラックスできたらいいな。
そういえば、1学期に一緒にクイズをしたりしていた渡辺さんを最近は見ていない。どうしたのだろう。また会えたらいいのになと思った。
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