固有スキルで不死身の私は美少女と一緒に世界を壊します!

沫茶

第1話 誰も私とパーティを組んでくれません

「ふぅふぅ、今日もいっぱい倒せてよかったです」


 魔物の魔石や素材が入って膨らんだ革袋を見て私はそうつぶやきました。


 ギルドの建物まではあと少し。HPも残り1しかなく、息がしづらく苦しいですが、それでも足を引きずるようにして道を歩きます。


 もうギルドが目に見えるところまで来たところで、肩が何かにぶつかって、私はよろよろと腰を地面につけてしまいました。


「すみませんすみませんすみません」


 反射的にそう言って顔を上げましたが、私の周りには人も物も何もありませんでした。


 おかしいなと思いながらも、すぐに立ち上がって、ギルドの扉の前まで行って、取っ手に手をかけます。


 中はいつものように屈強な冒険者さんや魔術師さんがテーブルに座って、ビールを飲みながら世間話をしています。


 奥の受付に向かって歩いていきながら、こんにちはとみなさんに声をかけますが、いつものように返事はありません。


 受付までいくと、奥から私に気づいたシャミさんが出てきて、いつものように革袋を受け取ってくれます。


「メリアちゃん、今日もお疲れ様。これ報酬ね」


「毎日ありがとうございます、シャミさん」


 ガラガラの声でそう言って、金貨1枚を受け取ると、そのまま受付の横にある掲示板を覗き込みます。


「シャミさん、何か新しい依頼は入ってますでしょうか?」


「そうだね~、入ってはいるんだけど……」


 なぜか言いよどんで、シャミさんは顔を曇らせました。


「その赤い紙のやつ、ランクSのドラゴン討伐なのよね~。最近ここらへんを荒らしてるやつなんだけど、うちからも何パーティも討伐に出ってって、みんな返り討ちでさ~」


 ほんと軟弱者ばかりで嫌になっちゃうよ、とシャミさんは忌々しげにぼやきました。


「わかりました。北の森ですね」


 依頼書を読みながら、そう答えると、いきなりガッと後ろから肩を掴まれました。振り返るといつのまにか、シャミさんの姿がそこにありました。


「そりゃあ、メリアちゃんは、確かにランクSだけどさ、こんな小さい女の子が、いつもいつも、ボロボロになって帰ってくるのを見る、私の気持ちを考えたことある?」

 

 肩を掴む力が強くなります。私にはあまりよく分からないけど、とりあえず、


「大丈夫です、心配ありません」


とだけ笑顔で言いました。


 でも、私を見つめるシャミさんの顔はなんとも言えない悲しそうな顔になってしまいました。せっかくの綺麗な顔をそんな表情にさせてしまい、私は申し訳ない気持ちでいっぱいになりました。


「ならせめて、他のパーティに入って討伐に行ってよ、メリアちゃん……」


「駄目なのです。誰も私とパーティを組んでくれませんから」


 そう言うと、さらにシャミさんの顔は険しくなりました。


 シャミさんは、つい最近、ここのギルドに赴任してきたので、詳しくは知らないのだと思いますが、このギルドの誰も私とパーティを組んでくれることはありません。


 昔は、入れてくれていたのですが、ある時から、外され、口も聞いてくれなくなりました。なにか失礼なことをしてしまったのかとも考えましたが、思い当たる節もなく、私にはどうしようもありませんでした。


 肩にかかる力がふっと弱くなったので、シャミさんの手を肩から外して、それではとお辞儀をして、受付から離れました。


 そのまま、受付から少し離れたところにあるカウンターまで行って、仏頂面で髭面のマスターに金貨を渡し、パン1つとコップ1杯の水、そしておつりの銀貨9枚と銅貨9枚を受け取ります。


 それを抱えて、出来るだけ、いくつかあるテーブルの邪魔にならないところに座って、水にパンをつけて口に運びます。こうすると、少しだけ、このカチカチのパンも柔らかくなって、心なしか食べやすくなるのです。


「あーあ、あんな討伐に出るんじゃなかったよ。まったく」


「おいおい、お前が行くって言ってきかなかったんだろ。それはこっちの台詞だぞ」


 少し離れた席から大きな話し声が耳に届きます。そっと顔を向けると、そこにはこのギルドでもそれなりに腕の立つパーティの人たちが、酒を手に、肉を頬張っていました。


「てかあんなのに誰が勝てるっつうんだよ」


「まったくだ。けど、そういりゃ、すげぇ強ぇやつらが、外のギルドからわざわざ討伐に来てるらしいぜ」


「へぇー、なんつうやつらだ?」


「名前はわすれたんだが、なんでも一瞬で魔物を討伐するとかなんとか」


「もしかして、顔無かおなしぜろか?」


「逆にだれだよ、それ?」


 顔無かおなしぜろという名を聞いて私の耳は一瞬ピクリと動きました。


 顔無かおなしぜろというのは、冒険者ギルドにおける一種の伝説、あるいはオカルト、もしくは幻と噂される人物だそうです。


 どんな魔物の討伐でも一瞬でこなし、だから、誰もその顔を見たことがない、いるかいないかのかも分からない、とつい最近、おもしろおかしくシャミさんがギルド内で話していました。


 私も含めて、辺境にあるここのギルドのメンバーは、その話を、へぇ~といった感じで、そのときみな、他人事のように聞いていました。


「まぁ、誰でもいいや。討伐してくれるならさ」


「そうそう、ほんと久しぶりにやられたな」


「まっ、今日のところは、酒飲んで、肉かっ食らって、わすれましょうや」


 パンを食べ終わった私は、冒険者さんたちのガハハハッという笑い声を背に、ギルドの建物を後にしました。


 すぐに出発してもよかったのですが、その前に、いつもどおり、この町の孤児院へ向かいます。


 たどり着くと、庭で遊ぶ子供たちと、彼らを見守る、シスターのカロさんの姿が目に入りました。


「ああ、メリア、今日もまたそんなにボロボロになって……」


「大丈夫です。それより、これ、今日の分です」


 そう言って、私は、ポケットから銀貨9枚と銅貨9枚を取り出して、シスターに手渡します。


「それでは、また明日来ます」


 踵を返して、森に向かおうとする私の手を、カロさんはとっさに掴みました。


「……ちょっと、お話があるわ、メリア。ついて来て」


 カロさんにそう言われれば、断る理由なんかありません。


 カロさんのあとについて、教会の中に入りますと、急に振り返って、カロさんは、私の手に、さっき渡した、銀貨と銅貨を握らせました。


「もうこれ以上、あなたからの寄付は受け取れないわ」


「どうしてですか?なにか迷惑になるようなことをしてしまいましたか、私?」


 首をかしげる私にふるふるとカロさんは首を振ります。


「とんでもない。メリアからのこの孤児院への寄付は、本当に、本当にありがたいものだったわ……。でも……」


 そう言って、カロさんは振り返って、陽光の差し込む古びたステンドグラスを眺めました。


「……、こんなことをいうのはひどいかもしれないけど、はじめて、あなたに会った時、ああ、この子も、ここにやってきた孤児なんだわと思ったの。

 それくらい、ボロボロの服に、やせ細った体で、せっかく長い髪もボサボサで……」


 目の前のカロさんは、昔のときと同じように、涙を流していました。


「だから、メリア……、あなたが、これ、足しにしてくださいと、銀貨と銅貨を渡してきたときには、正直、目を疑ったわ……

 しかも、その後、名前も言わずに、立ち去ろうとするし……」


「あの……、昔の話もいいのですけれど、そろそろ、どうして寄付が受け取れないのかを教えていただけないでしょうか?」


 私がよく話の筋が分からなくてそう口を挟むと、はぁとため息をついて、カロさんは、頭を手のひらで押さえました。


「ほんとうに、あなたっていう人は……。

 だから、あなたは、もっと自分のことを大切にしなさい!

 話は以上!」


 言い終えると、カロさんは、私をおいてずんずんと歩いて、外に出て行ってしまいました。


 一人取り残されてしまった私は、なんだか久しぶりに、まじまじと自分の身なりと身体を見てみます。


 たしかに、その恰好は、ここの孤児院の誰よりも粗末で、体は誰よりもやせ細っていました。


 ですがそれでいいのです。服がボロボロでも、骨の形が肉の上からはっきりわかっても、それでも、死ぬことはないのですから。


「私は、誰かの助けと、ならねばならないのです」


 そう私は、教会の奥の、神をかたどったステンドグラスに向かって、一人で、話しかけました。


 古びてはいますが、色とりどりの光が降る注ぐ主祭壇の上に、返された銅貨と銀貨を置いて、裏口から私は孤児院の外に出ました。



 そのまま歩いて町中を出て、私は森の中に一応作ってある自分の寝床に戻りました。


 本当なら、ドラゴンを討伐してから戻るつもりでしたが、優先度が逆転してしまったので仕方ありません。


 蔓と木の葉っぱで作ったハンモックを解体して、土に埋め、木の枝と枝の分かれ目に差し込んでいた地図を手に取ってポケットに入れました。


 これで、片付けはおしまいです。


 北の森へ向かいながら、一度だけ、振り返って、寝床があった方向の森と、ついさっきまでいた町を眺めました。


 ですが、すぐに前を向いて歩き出します。


 再びこの町に戻ってくるのは、もうずっと先のことになるのでしょうから。



 北の森に入ってからは、木々の間に作られた一本道を延々と歩き続けました。


 掲示板に貼ってあった依頼書によれば、討伐対象のドラゴンは、この道を歩き続けた先、森の最奥にある、洞窟を住処にしているそうです。


 MND、要するに精神力にステータス値を全て振っている私は、普通の一般人よりも足が遅く、洞窟にたどり着くまでに、日をまたいで、ようやくついたのは太陽が空の真上くらいに来た頃でした。

 

 洞窟の前にくると、ぽっかり空いた暗闇の奥から、地響きのような唸り声が聞こえてきます。


 さっそく、穴に入ろうと足を踏み出しかけたところで、誰かが私の肩に、手をポンっとかけました。


「お嬢ちゃん、ここに入るのは危ないよ?」


 振り返ると、いつの間にか私の後ろには、冒険者が4人、装備をしっかり整えて立っていました。


 私の肩に手を置いている人は、


見るからに強そうな剣を腰につけている、パーティーのリーダーっぽい人で、


その後ろの二人は、片方は大きな盾を持っていて、


もう一方は、真っ赤なローブに杖を持っていました。


そして、一番後ろの人は、孤児院の教会ではなく、


信者が祈りを捧げるための教会にいるような、


敬虔そうでどこか神々しさのあるシスター、もとい聖女っぽい方でした。


「見たところ、お嬢ちゃんが、メリアちゃんみたいだね」


 リーダーの人は、優しそうな笑顔で私にそう話しかけました。


「あの、どうして――」


「みなまで、みなまで言わなくていい。

 なに、ここにくる途中のギルドの受付嬢ちゃんに頼まれてね。お嬢ちゃんにはシャミさん、と言ったほうが分かりやすいかな?」


 シャミさんが……、と思わず私はつぶやきました。


 こんな私のことを気にかけてくれるなんて、やっぱりシャミさんは、容姿だけじゃなくて心までもが天使みたいな人です。


「さあ、ここは俺たちにまかせて、お嬢ちゃんは先に帰りない」


「私はいないほうがいいんでしょうか?」


 私なんかでは役に立てないかもしれませんが、それでも、少しでも何かの助けになれるなら、ここに残りたいのです。


「ははは。大丈夫。別に、お嬢ちゃんの実力を過小評価してるわけじゃないさ。なんたってSランクらしいじゃないか。立派なものだよ。でもね……」


 そこで、一度、しゃべるのをやめて、彼は胸に拳を当てました。


「なんたって、俺たちもSランク!

 我らこそが顔無かおなしぜろなのだから!」


「本当ですかっ?」


 食い気味に私が尋ねると、後ろの盾を持ったお姉さんが、リーダーさんの頭をはたきました。


「コラっ!いくら安心させるためとはいえ、御伽噺を口にするのはやめなさい。

 ほんと、うちのバカがごめんなさいね。でも、実力は折り紙付きだから心配しないで」


 そう言って、お姉さんは柔らかい感じで私に声をかけてくれました。


 そんな私とお姉さんを見て、ほかの3人は朗らかに笑っていました。


「それじゃあ、お嬢ちゃん気をつけてね」


 4人に手を振りながら、私は、洞窟に背を向けて歩き出します。


 ポケットから地図を取り出して歩きながら、次に行く町をどこにするか私は考えます。


 この地図は、今私がいるセレアーナ公国全域の地図になっていまして、私は東から順々にこれまで町を巡ってきました。このままいくと、次は首都に2番目に近い街に行くことになりそうです。


 ですが、そこにたどり着くまでには、険しい山脈を越えていく必要があるのが、地図からありありと分かります。


「これは、たどりつくまでに最低でも半年はかかりますね……」


 一人ながら、そう私は呟きました。


 ですが、千里の道も一歩から、どれだけ時間がかかろうとも歩いていれば必ずたどり着きます。


 さあ、出発です、と心の中で呟いてから、改めて、心新たに一歩を踏み出します。



『ドッガガガアアァァン!』



 その一歩が地面に着く直前で、後ろから爆発のような激しい音が届いて、鼓膜を揺らします。


 振り返ると、蒼い炎が空高く昇っていっていました。


そして、地上に目線を下ろせば、さっき別れたパーティの4人がこちらにむかって走ってきているのが見えます。


「逃げろろぉぉぉお!」


 その声が聞こえてすぐ、無常にも蒼い炎が4人を包み込み、そのまま、私のところまで、その炎は届きました。


 一瞬で視界が真っ蒼まっさおになりました。全身が文字通り焼けるような痛みで覆われます。HPもあっという間に減っていって、やがて、1で止まりました。


 体のあちこちが炭化し、体を動かすたびにボロボロと崩れ落ちます。


 それでもHPが0になることはありません。


 絶対に死ぬことのできない、私の固有スキル、『無終煉獄むじゅうれんごく』。


 どれほど空腹でも、どれほどやせ細っても、どれほど体を壊されても、苦悶のうちで、生き続けねばならない、私にぴったりのスキルです。


 そして、このスキルを手に入れてから私は、ギルドで孤立してしまいました。



 やがて、森の木々もほとんど炭となって、炎の勢いは弱まりました。


 すると、それを見計らったかのように、私の前にドラゴンが降り立ちます。


 今回の討伐対象のドラゴンと対峙した、私の一番の感想は、シンプルにデカいでした。


 これまでにも、幾度か別の町でドラゴンを討伐したことはありますが、おおきくても、今、目の前にいるのの半分くらいの大きさでした。しかも、ただの赤い炎でした。


 こんなものがいれば、町どころか国が滅びかねません。


 だからこそ、私の直感はこう告げました。


 こいつは、の世界から来たのだと。


 ですが、そんなことは今の私には関係ありません。


 ドラゴンは問答無用で口を大きく開き、超至近距離で炎のブレスを私に浴びせかけ出しました。


 全身のたうち回るような痛みですが、逆に好都合です。


 収納空間から初期装備の杖を取り出すと、吹き荒れる炎の中で、のろのろとドラゴンの方に、にじり寄っていきます。


 体からボロボロと黒いものが落ちますが気にしません。


 そのまま、ドラゴンの顔の前まで行って、私は、杖を高々と振り上げ、ドラゴンの頭に振り下ろしました。


『ペチン』


 弱弱しい音が微かに聞こえましたが、ドラゴンはそんなことにはお構いなしに、ブレスを私に浴びせかけ続けます。


 見上げると、HPバーがほんの少しだけ短くなったような気がします。


 それを確認すると、私も体が黒く焼け焦げることお構いなしにHP1でドラゴンの頭をペシペシと叩き続けます。


 どれくらい叩き続けたのでしょうか。自分の灰で、足元が埋められ、ドラゴンのHPが最初のころの半分になったくらいで、突然、翼をはためかせドラゴンが空に舞い上がりました。


 風圧で、私はしばらくコロコロと転がりつづけました。


 ようやく止まって、目が回りつつも、どうにか空を見上げると、ドラゴンは怒ったように咆哮と共に炎を天に向かって吐き、空を旋回してから、まっすぐに飛び去って行きました。


 せっかく半分まで削ったのに、残念なことこの上ありません。


 このあとあいつは、HPを回復させるために、食糧を調達しに行くのでしょう。


 そこまで考えて、最悪の景色が頭に思い浮かびました。


 ポケットから地図を出し、あいつが飛んでいった方角を確認して、さっと血の気が引きました。


 その方角には、小さな町があります。


 そこには、町のみなさんが、ギルドの冒険者さんたちが、カロさんが、そして、シャミさんがいて、いつも通りの日常を過ごしているのです。


 十数年、私が過ごした町があるのです。


 思わず走り出そうとしますが、AGIが1の私が走れるはずもありません。


 つんのめって、前に倒れてしまいました。


 それでも、膝をついて立ち上がり、町に向かって来た道を引き返します。


 たとえもう間に合わないにしても、私は、自らの罪を直視し、


それを背負い贖わねばならないのです。


 そして、永劫の罰を己に刻まねばなりません。


 遅々とした歩みで進みながら頭を駆け巡るのは、シャミさんやカロさんの私に向けてくれた数々の笑顔でした。



 まる2日かけ、森から抜け出して、おそるおそる、私は、町の方に視線を向けました。


 思わず、地面に膝をつけて、そのままが腰を落として、地面に座ってしまいました。


 顔を手で覆いますが、目から溢れる涙は両手では掬い取り切れませんでした。

 

 町は、シャミさんとカロさんと、みんながいた、私がすごしたあの町は、今もそこに、確かにあったのです。


「ウチに、感謝してほしいところだよ」


 背後から唐突に声が聞こえて来て、反射的に私は勢いよく振り返りました。


 でも、そこには誰の姿もありません。


 ですが代わりに、私が戦っていた巨大で強大なドラゴンが傷だらけになって息絶えていました。


「ウチの姿を探しても無駄だよ」


 私の空耳かななんて思ったりもしたのですが、はっきりとまた後ろから声が聞こえてきました。


 でも前を向き直っても、やはり、そこには誰もいません。


「あなたは誰ですか?」


「ウチ? ウチはレイだよ」


「あの、感謝というのはなんのことでしょうか?」


「それわぁ、わからないの?」


 姿の見えない相手に向かって声をかけるというのは少し新鮮な体験でした。


 私は、腕を組んで考え込むふりをします。ですが、答えはすでに出ていました。


「あの凶悪なドラゴンを討伐してくださりありがとうございました。私のせいで、町が滅びずにすみました」


 見えないレイさんに向かって、頭を下げ、最大限丁寧に言葉を紡ぎました。


「いいってことだよ」


 陽気な声でレイさんはそう言って、笑いました。


 顔は見えませんでしたが、多分、このときのレイは本当に笑顔だったのだと私は思います。



********


 私は、自分の幸せに生涯興味をもつことはありませんでした。


 ただ、それでも、人生を振り返って、自分の幸せとは何かを考えた時、1つだけ、確かに、思いついたものがあります。


 それは、レイと出会えたことです。


 この物語は、私とレイが出会い、数多の冒険を乗り越え、最後に真実を見つける物語なのです。


 どうか、最後まで、お付き合いいただければ幸いです。



私の唯一無二の親友


レイ


この物語を捧げます――


********

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