第28話 遭遇①
「そんな面白変態モンスターが出たんだ」
「そうそう。大変だったんだから……色々と……」
「アハハハハ。ご苦労様でした」
「面白いと言えばね。JINのやつがね。誰かさんの真似して抜刀術使おうとしたのよ……くふふふ」
「あっ! コラやめろ! その話すんじゃねえ」
「何々? JIN君がどうしたの?」
「それはね……」
「や、やめろ! 話すんじゃねぇぇぇぇ!」
「もう、うるさいなぁ。JIN君ハウス!」
うぅぅぅ……なんだ…騒がしいな……。
「小型のダンゴムシいるじゃん。アレにねJINが立ち向かったのよ。抜刀術で」
「ああ……オチが読めたわ。見事に失敗したのね」
「ピンポーン! それはもう見事に。ボーリングのピンみたいに弾き飛ばされたわ。もう皆大爆笑でさ~ 思いだすだけで……ああっおかしい」
んん~ ……ここは? 知らない天井だ。
「あっ、正宗君起きた? 大丈夫? 意識しっかりしてる?」
へっ⁉ 目の前にいたのは確か、先発隊のお姉さん。
そのお姉さんがいるのもそうだが、意識がしっかりしてるとはいかに?
………
思いだした。
確か僕はあのオアシスで
いやぁアレは凄かった。あの柔らかな感触……えへへ。
―――って、そうじゃなくて、その後―――恐ろしい形相をした穂香にぶん殴られたところまでは記憶にある。
てことは、そこで意識を飛ばして今に至るということか。
「ああ、はい。大丈夫です。で、ここはどこですか? 穂香たちは?」
「大丈夫ならよかったわ。もう皆心配してたんだからね。特に穂香ちゃんとか大慌てしちゃって、でもその後はしっかり面倒見てたわよ。色々とね。うふふ。で、その穂香ちゃんは今ボス戦の最中よ」
「ボス戦? てことは 20層ですかここ」
「ええそうよ。気絶したキミを穂香ちゃんがおぶってきたんだからね。くすくす……後でお礼言っときなさいよ」
「穂香が? いや殴ったのあいつだし。僕は被害者ですよ! てか、さっきからなんすかその笑い。女の子におんぶされる僕がそんなにおかしいんですか?」
そうは言ったものの確かに、はたから見たら面白いだろう。情けないような恥ずかしいような感じだ……幼馴染の女の子におんぶとか……まじ?
逆だったら背中に柔らかいものが当たって最高なのに……ん? あれ? あれ? なんか汗臭かった身体がサッパリしているような。
…………
サッパリしたそのわけ、それは考えたくないような気がする。
……気のせいだよね?
でも、気になる。ここは恥を忍んで聞いてみるしかないのか……。
「あ、あの……僕が気絶している間……何かしました?」
「やっぱりそこ気がついちゃった? あ、なら直接本人に聞いてみたら? 戦闘終わったみたいだし」
閉ざされていた大扉が開かれる。
第 20層の主である階層主が倒されたのだ。
「正宗……よかった。 その……ごめんね。殴っちゃって」
「ほんとだよ。グーで殴るか普通」
「それは正宗がエッチいことしてるから……その……」
「それな。アレ黒幕は別にいるだろ。事故だ事故! 不幸な事故だった」
「その割にニヤけてるわよ。まったくエッチなんだから!」
「エッチってお前……あの後、何をした?」
ここぞとばかりに質問を投げかける。
「何って気絶しちゃった正宗を介抱して、ここまでおんぶしてきたんだから感謝してよね」
「おんぶはともかく、その介抱だが……僕の体やけに綺麗になってるんだけど? 穂香お前……もしかしなくとも……その……見た?」
「………」
「なんだよ。何黙ってるんだよ」
もうその真っ赤な顔と恥ずかしそうに髪の毛を弄る仕草だけで有罪確定してんだよ。ちくしょう!
「……だって、その……汗かいて気持ち悪いかなと………」
「もう正直に言ったら? ごめんね~ 私たちが裸見られたお返しにキミのあそこも見ちゃえって言ったもんだから。あ、安心して良いよ。それ以上のことはしてないから、あくまで介抱だけだから」
「それはつまり……穂香だけじゃなくて……みんなも?」
僕がそう聞くとお姉さんが静かに頷く。隣のお姉さんに目線を移すと同様に頷く。
「いやあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
幼馴染だけじゃなく、年上のお姉さん、きっと 6英雄のお姉さんにも見られた。見られてしまった。ど、ど、どうする? どうしよう……。
「―――もう、うるさい! それぐらいいいじゃない。あんただって私の裸見たんだしお相子よお相子。それにですね。男と女では裸の価値が違うんですぅぅ! あんたのみっともないものと比べないでちょうだい」
「みっともない……みっともないもの……」
そうか、そうなんだよな……やっぱり僕のものはみっともないのか……。
わかっていたけど、はっきり言われると辛辣だなぁぁ……はぁ、死にたい。
「私はそうは思わないけどなぁ、ちょっと皮被ってるけど……なかなかのモノだと思うよ。だから、気落ちすんな!」
「美耶華はそう言うよね~」
もうね。同情は余計に辛いです……つらたんです。
どうせ心の中では‟ぷ~クスクス”とか笑ってるんでしょ。
チクショーわかってますよ。
「おい! 貴様ちょっとこい!」
落ち込む僕を拉致したのはJINたち男性陣だった。
「てめえ、あいつらの裸見たのか?」
「ええ、まあ。でも、アレは事故です事故!」
「事故でもなんでもラッキースケベなのは変わらんぞ。この野郎」
「で、どうだった? 美耶華とかどうよ? あの巨乳はマジ神だよな。お前もそう思うだろ? ああ、俺もあの極上ボディ堪能したいぜ」
「わかる。あの乳で挟んでペロペロしてもらいてぇ~」
「雑魚のお前じゃ無理だろ」
「うっせー! JINお前こそ相手にもされてねえじゃねえか」
……ああ、こいつら。馬鹿だろ……でも、この感じ。
なんかクラスメイトとの会話を彷彿させる。
思えば先輩たちも女性優位の探索者の中で肩身が狭い思いしてるんだよな。
でも、おかげで気持ちが楽になったような気がする。
見られてしまったもんはしょうがない。
その分美味しい思いをしたのも確かだしな……美耶華さんのアレに埋もれたとか、口が裂けても言えないけど……。
意外だったのが、美耶華さんだった。彼女はあの風体でガードが堅いらしい。
探索者の傍らでモデルとかタレントやってる芸能人だし。恋人にしたい芸能人でも上位にランクインしている。そういう僕も彼女に憧れて探索者になったりもした。
だけど、芸能界と言えば裏では相当乱れていると勝手に判断していたけど、どうも違ったらしい。まあ、実情は知らんけど。
・
・
・
男性探索者と仲良くなったつもりでいました。―――そのときまでは。
談笑中の僕を迎えにきたのは、話題になっていた美耶華さんご本人と穂香だった。
気まずいのと男性陣からのヘイトが激しいのですが……気のせいですよね?
連れていかれた先で玩具にされ、就寝のときを迎えたのだが……またしてもこのパターン。なぜに二人共僕にくっついて寝る? 僕は抱き枕か何かですか?
あんなことがあったから、余計に双丘が気になるし、凄くいい匂いがする。
寝れん……マジで寝れん。オアシスからここまで僕は気絶してたわけだし、ある意味では睡眠は取れているわけで……ああもう、僕にどうしろと?
悶々とした僕と、その側で眠る少女たちに近付く人物がいた。
この気配……誰だ? 少なくとも後発隊のメンバーではないようだが。
「何この娘、モフモフちゃんじゃん! 本物? ねえ本物?」
近付くその人物―――目をキラキラと輝かせ興奮で鼻息を荒くする女性が、隣に眠るケモミミ少女に襲い掛かろうとする瞬間だった。
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