第3話 秋はどんぐり

秋はどんぐり。

保育園児のポケットはいつもどんぐりでいっぱい。

保育園にお迎えに行くと、一緒に園庭で遊んでいるお友達もやってきて、見て見てと集めたどんぐりを披露してくれる。

縦長のどんぐり、ずんぐりとしたどんぐり、帽子をかぶったどんぐり。

どんぐりかわいいね、でも虫が出てくるからなー。

そう言うとお友達の一人が「どんぐり虫(というらしい)のいないどんぐりさがしてあげる」と言う。

小さい手でどんぐりを一つずつつまみ、耳の近くでふりふりとふっては、「これはどんぐり虫いる。これはどんぐり虫いない」とまじめな顔で分けていく。

ふったら音がするどんぐりは虫がいる、らしい。

そうなんだ、すごいねー、ありがとう、とどんぐり虫のいないどんぐりを持って帰る(が後で細い白い虫が出てきて「ぎゃー」と叫ぶ)。

子供の背が伸びて地面が少し遠くなると、どんぐりとかアリとか見えにくくなるらしい。

小学校高学年の子供が見るのはゲームとかスマホばかり。

子供の視線が将来とか未来とかに向くのはたぶんもっと先のはなし。

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