第97話 海洋都市


「この世界はどうなってるんだ?他の大陸とか」

「そうさねー、いろんな大陸があるさね、でもここが1番大きな大陸」

「どうやって行くんだ?」

 海にもモンスターがいるかもしれない。

「飛行船さ、乗ったことはあるかい?」

「飛行機ならあるけど飛行船はないな」

 気球は小さい頃見たことがあるが。


「魔法の世界だから飛行船も速いよ、魔生石が原動力だからね」

 こちらの世界では魔生石がエネルギー化されている。

「へぇ、どこかおススメはあるかい?」

「日本に似たポンド王国、アマゾネスの村、あとは二番目に大きい大陸のカルポーネ大陸」

「ちなみにここはなんて大陸?」

「ここはアスディア大陸さ」

 地球を旅するにしてもみんなのパスポートがないし、ルナディアならみんなでいけると思ったんだがなぁ。

「んじゃカルポーネ大陸に連れてってくれないか?」

「私がかい?」

「転移でチョチョっと連れてってくれよ」

「あんたはなんでも転移だね、対価をもらうよ?」

 対価ねぇ?そうだ、

「ルーはセックスしないと歳は吸い取れないのか?」

「そんなことはないさね」

「なら好きな年齢に吸い取れるのか?」

「ある程度ならね」

「よし!んじゃ一回家に来てくれるか?」

「え?あんたの家にかい?それはいいね」

 ルーが乗り気になってくれた。

「そこで五十代くらいにして欲しいひとが五人いるんだ」

「あんたの親かい?」

「親と親代わりだな」

「わかったよ、それが対価だね」

「あぁ、よろしく頼む」


 年取ってから生まれた俺は母ちゃんと死別してから親代わりに爺ちゃん婆ちゃんに育てられた。急にぽっくりいかれたら俺はどうして良いかわからないからな。


「んじゃ行くさね」

 俺に腕を絡ませてくる。

「あのなー、まぁいっか、『転移』」


「これが俺の家だよ」

「へぇ、リッパな家じゃないかい」

 ぐるっと見て回ると家の中に入る。

「ただいま」

「「「「おかえり」」」」

 ちょうど爺婆ズもいたから並んでもらう。

「この人、気で病気を見るんだ、ちょっと見てもらって良いか?」

「わしからか?」

「あぁ、爺婆ズ全員だ」

 並んだ爺婆ズはすこし若返って自分が座ってた席に戻っていく。

「はぁ、吸った吸った」

「また若くなってないか?」

「まあね」

 若くなったルーと一緒にリビングに座る。

「なんで黒の魔女と一緒なんだ?」

 ユフィが聞いてくるが、ルージュが答える。

「爺婆ズの歳を吸ってもらったんでしょ?」

「当たり、五人とも結構な歳だからな」

「みんな元気そうだけどまだ私達には必要だわ」

 ルージュはわかっているようだ。

 リアがお茶を運んできた。

「そうですね。私もいまお別れするとつらいですし」

 また旅行のパンフを見ながら喋ってる五人を見ると嬉しくなってくる。


「ルーは日本で行きたいとこあるか?」

「ほとんどいったからべつにないわね」

 すげぇな、ほとんど行ったって。

「んじゃ今日は」

「いえ、帰るわよ」

「へ?」

「こっちは時間が過ぎるのが早いの」

「あぁ、そうですかい」

『転移』


 またルーの家に帰って来た。

「カルポーネ大陸だわったわね、一番大きな都市でいいかしら?」

「そうだな、よろしく頼む」

『転移』


 潮の香りのする海洋都市なんだろう。目立たない裏道だが大きな都市っていってたからな。

「着いたわよ、ここがエポーナ海洋都市よ」

「わかったありがとう」

「どういたしまして」

 ルーは転移して帰っていった。


 さて、色々と見て回るか。最初はやっぱりギルドだな。

「いらっしゃい、どんな用件だい?」

「これを買って欲しいんだが」

 俺はオーガの皮を数枚取り出した。

「へぇ、見た目によらずやるねぇ、オーガの皮三枚で五十ゼルってとこだね」

 ゼルが使われているなら大丈夫だな。

「それで良いよ」

「はいよ」


 魔法屋の場所を聞いて来たんで魔法屋にいく。

「おススメはあるかい?」

「魔法玉はあるだけだね。スクロールは刺突があるね」

「それもらうよ」


「ところで、ここは海洋国家になる?」

「そうだよ、海洋国家エスアピアの首都エポーナだよ」

「そうか、ありがとう」

 海洋国家か、海での産業が盛んなんだな。海のモンスターなんかはどうしてるんだろ?


 大通りを歩いて海の方へ行くとデカい戦艦が見えて来た。

「あれで海のモンスターと戦うのかよ」

 黒光りした戦艦はモンスターと言っていいほどの迫力だった。

「あんちゃんはスピリカ観るの初めてか?」

「スピリカ?」

「そだ、あのデッカい戦艦だ」

「あぁ、初めてみたぞ」

「すげぇよな。あれでシーサーペントなんかも一発だってんだから」

「そりゃすげぇな」

 おばちゃんが言うにはスピリカはそこらのモンスターなんか蹴散らしちまうらしい。

「でも乗ってる男どもには気ぃつけな、気性が荒くてどうもいけねぇ」

「そうなんだ。ありがとう」

「いいんだ、いい男には優しくしねぇとな」

 ウインクがバチコンするくらいのおばちゃんが通り過ぎて行った。


 

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