第95話 薩摩川内ダンジョン
マリアが行ったダンジョンは鹿児島の薩摩川内ダンジョンと言うところだった。市の名産というかここは原発がまだ稼働している。
ダンジョン産の魔生石から取れるエネルギーはまだ始まったばかりだ。
「んで?ギルドからは何も?」
「聖玉がまだないから冒険者も少ないって」
そりゃそうか、十個しか渡してないもんな。
「そこにも置いていくか。また作ったのがあるし」
これじゃまだまだ世界的にも必要だろう。材料も集めないとな。
飛行機で鹿児島空港へ、そこから新幹線ですぐ着いた。
ギルドに入ると閑散としていて冒険者が少ないのがわかる。これじゃあ上級ダンジョンだったらブレイクしてもおかしくないな。
「さて、さっさと終わらせて美味いもの買って帰ろう」
「そう簡単に終われば良いけど」
俺たちは中に入っていく。
「半分くらいだから五十階層くらいまでは行ったのか?」
「はい!五十一階層まで行って、様子を見てから帰って来ました」
三原さんが丁寧に応えてくれる。
「ありがとう、にしてもいつもそんな荷物多いのか?」
マジックバックは渡したが、もう入らないのだろう。
「アイテムボックス持ちはいいですわねー」
「んー、マリアが全部運ぶなら渡すけど、それか三原さん」
時空間じゃ無くても空間魔法で良いだろう。
「斎藤さんに渡して量産するのは?」
「それはやめといた方がいい、斎藤さんを信頼してないわけじゃ無くて心配してるからだ」
「それは何故?」
「捕まって作らされたら困るだろ?」
それでなくても欲しい人は沢山いるのに量産できるならそれくらいのことはしてくるだろう。
「あぁ、そういうことね」
「なら私が荷物待ちやりますよ」
三原さんがそう言うので三原さんに空間の魔法玉を渡す。
「あと一人くらい欲しいわね」
「ならマリアと神崎君が持ってるといい」
マリアは欲しかったのだろう。喜んでもらっている。賢者の神崎君はびっくりしているが男も誰かが持っていた方がいいだろうし、魔力の高い賢者なら使いこなすだろう。
「僕が使っても?」
「神崎君なら後衛だし、いざという時にね」
「は、はい!」
これでマリアチームも手ぶらで行動できるな。
「今度こそさっさと終わらせてしまおう」
「「「「「はい」」」」」
「行きますわよ!」
やはり低階層はさすがに昨日掃除したので、モンスターはあまりいないようだが、少しづつ多くなってくる。
「マリア遅れてるぞ」
「分かってますわよ!」
「神崎君、援護」
「了解です!」
チームワークはいいが、まだ上級にはマリア一人が特出してるな。
「マリア援護に回れ!久保田くんと川地君あと矢田君は前に出て!池田さんも怖がらずに援護」
剣闘士の久保田くん。盾士の川地くん弓師の池田さん、拳闘士の矢田くんを優先して鍛えた方がいいな。
ダンジョン六十階層、
ここで一旦休憩だ。
「久保田君達もガンガン前に出て、マリアに任せてると弱いままだぞ?」
「「「「はい」」」」
「まぁ、マリアもスパルタで育てたからな」
「そうですわよ、あの時は生きた心地がしませんでしたわ」
「中級からでもよかったんだがもう上級だしな、最速で強くなってもらう」
スクロールを渡して使ってもらう。
「改造してるみたいだな」
「もうとっくにその域ですね」
「あはは、自分がこれほどスキルがあるなんて」
「僕の気持ち分かった?」
そう言えば神崎君と斎藤さんには沢山渡したな。神崎くんはどんな気持ちだったのだろうか?
「ははっ、ちょっとパニック?」
「だな。使いこなすのに時間がかかりそう」
「エースチームが何言ってんだよ」
もっと自信持ってもらわなくちゃな。
「エースなんて、小太郎さんがいるじゃないですか」
「エースってよりジョーカーっぽいけど」
「「「あははは」」」
薩摩川内ダンジョン 七十二階層
「おーい、遅れてるぞー」
「はい!」
スパルタでやっている上級ダンジョン攻略になんとかついて来てる三原さん達。
マリアも上手いこと立ち回って後ろにモンスターが行かないようにしている。
「よし、このまま進むぞ」
「「「はい!」」」
百階層にやって来た。ボスはガラッパと言うカッパだった。体長は二十メートルはあるんじゃないか?
でも弱点って言ったらあそこだよな?
「いけるか?」
「「「いけます!!」」」
盾士の川地君が吹き飛ばされるけどマリアが後ろに回った。
久保田君も左の攻撃を受け止め、水のブレスは神崎君が同じ水魔法で相殺している。
その隙にマリアがガラッパの頭のサラを割り灰になっていく。
俺は灰を集めて回っている。聖玉に使うんだもん。
「よくやったな!これでブレイクも心配ないな」
「やっと終わった」
「きっつ」
「へとへとですわ」
後は転送陣で帰るだけだ。
ギルドに聖玉を置いてもらって冒険者を増やしてもらうことも忘れない。
受付のお姉さんに聞くと鹿児島って言ったら黒豚だよな?甘いもんはかすたどんってのがあるらしかった。
あ、あと親父に芋焼酎だな。
買って帰らないとうるさいだろうからな。
買い物が終わると全員でさっと転移して帰る。今回は飛行機は普通だったし、新幹線だから乗り物の心配しなくていいのがいい。
「今帰ったぞー」
「ただいまー」
「「おっかえりー」」
「お帰りなさいませ」
ちょうど料理ができたみたいだ。
だが婆ズが倒れている。これは良くないことが起きたか。
「ささ婆たちはどうしたの?」
「味見したら倒れた」
オー、これはだれが料理したかでこれからの料理当番が決まるぞ。
「さてと、どれも美味そうだが婆ズはどれを食べて倒れたのかな?」
「「「さぁ?」」」
さて問題だ。これは体を張らなければならない。俺の全耐性よ!もってくれ!
「これが私でこれがルージュ、で、これがリア」
「よし、じゃあユフィのから食べるぞ!」
「そんな気合いいれる?」
「気合いが大事だからな!」
俺、頑張れ!
「アンアン(僕の鼻でも分からないよ?」
「くっそ!南無三」
あ、美味い。
「美味いな」
「でしょ!俺頑張ったからな!」
「じゃあ次はルージュのだな」
「私も頑張ってつくったぞ」
「南無三!」
「……これも美味い」
じゃあ残りのリアのが、
「やったね!」
「私のも食べてください」
「あぁ、南無三!」
「あぁ、美味いな?」
おかしいな、なんで婆ズが倒れたんだ?
「婆ズはなんで倒れてんだ?」
婆ズは立ち上がると、
「なんじゃ全部食べおったか」
「つまらんのぉ、もっと葛藤すると思っておったのに」
爺婆ズめ!
「騙されるわけないだろ!こんな可愛い子たちの手料理だぞ!」
「その割にゃ南無三いうとったじゃろ!」
「う、うるせぇ!飯がうまくてな!」
「あーそーかい!」
騙されるところだったぜ。
「どれが一番美味かった?」
「どれもそれぞれ美味かったよ」
「まいっか!俺のがどーせ一番だし」
「聞き捨てなりませんわね」
「私のが一番愛情がこもってましたから」
うおっ!飛び火した。
「この海老フライもシチューもオムライスも全部美味しいですわよ?」
「だ、だよねー!」
マリアのナイスアシスト!
「そ、そう?」
「まあね」
「愛情が入ってますから」
「うん!美味い美味い!」
全部食べ切った。
「満腹だぁ。美味しかったよ、ありがとう!」
「「「お粗末さまでした」」」
ふぅ、危なかったわ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます