第91話 勇者組


 帯広ダンジョン一階層


「なんだよこいつら!」

「おい怪我したぞヒール!」

「バカ前に出過ぎだ」

 こいつらは立ち回りがなってない。

「怪我はなおしてやるからサッサと倒せ」

「うるせー!おっさん!」

 おっさん?

「なら教えてやる!こーやるんだよ!」

 サッと倒す。

「やれるんなら早くやれよ!」

「次はお前らに手を貸さないからな」

「ふざけんな!」

 俺に剣を振りかざす勇者の手を斬る。

「あがあぁぁぁ」

「ヒール」

「さぁサッサといけ」

 斬った手首をヒールで治し、蹴って先に行かせる。

「さぁ敵だぞ」

「こなくそ!」

「サッサと倒すぞ、盾はやく!」

「ララ弓で援護」

 辛勝だ。

「ヒール!早く行け」

「わかってるっ!」

 つぎは少し多いがどうするか?

「た、たすけ」

「前に行け!敵を倒せ!」

「む、無理よ、多すぎる」

 モンスターが押し寄せて来る。

「こんなの余裕だろ?」

「悪かった!俺らが悪かったから」

 サッサと敵を片付ける。

「さぁ次だ」

「もう勘弁してください」

「余裕なんだろ?」

「いえ。調子に乗ってました」

「は!口だけだな!後ろで見とけ」

 サッサと四人で十階層まで行く。

 ボスまで倒すと、勇者組がやってくる。

「さっきはすいませんでした。戦い方を教えて下さい」 

 しょーがないな。


「おい!そこで負けてんじゃねぇ!」

「はい!」

「弓師はそこから援護はできるだろう?」

「はい!」

 勇者組は上級ダンジョンの低層でレベル上げだ!こいつらちょっと出来たからってまた調子にのるからな!


「小太郎さん!俺じゃ無理っす」

「あぁ?無理じゃねえ!こうやんだよ!」

「は、はい!」

 俺が敵を斬ってみせる。

「超スパルタ」

「朝ごはん抜きだからね」

「小太郎さんが怖い」

 うるせーよ、こいつらが悪いんだ。


「「「「「すんませんでしたー」」」」」

「わかればいい、なんでも自分が一番なんて思うなよ」

「「「「「はい」」」」」

「じゃあサッサと上級クリアすんぞ」

「「「「「はい」」」」」


 上級ダンジョン百階層、

「オラオラオラオラ」

 モンスターなんかに慈悲はない!

 サッサと倒して飯だ!飯!

「あ、宝箱!」

「お前開けるなよ」

 注意が遅かった。

「開けちゃいました」

「うっそだろー!おまえふざけるなよ!」

“ゴゴゴゴゴゴ”

「お前が開けたんだからしっかり攻略してこい!」

「無理っすよ!なんで開けたらダメなんすか!」

「ダンジョンがランクアップするからだ!此処はもう上級ダンジョンじゃなくて特級ダンジョンだ」

「えー!いやまじ無理っす」

「死んでこい!」

「すいませんでした!」

「いや、逝ってこい」

「字が違うっす」

 こいつのせいであと五十階層増えた。

「責任の取り方があんだろーが!さっさといけ」

「この下っすか?無理っすよ」

「ざけんな!こっちは無理して来てんだよ!」

「小太郎さんならすぐじゃないっすか!」

「他人を当てにしてんじゃねぇよ」

 こいつはまだわかってないな。

「いけ!」

 蹴落としてやった。

「うぎゃーーーー!」

「ヒール、ヒール、ヒール」

「も、もう、やめて」

「ヒール!かけてやっから、ヒール」

「ほんとにごめんなさい」

「ヒール!ヒール!ヒール!」

「小太郎さん、やりすぎですよ」

「ヒール!三原さんもあのバカ見たでしょ」

「それでもです、後悔はしてますから」

「ヒール、じゃあしょうがないな!」

 下に降りてモンスターを駆逐していく。

「三原さん、ありがとー」

「勝手なことはしちゃダメですよ」

「はい!わかりました」

 なんで俺が悪役ヒールなんだよ。


 百五十階層、

「まじで、つぎやったらしらねーかんな!」

「絶対しません!」

「おらぁ!」

 白夜鼬と言うそのボスを斬ると宝箱が出てくる。

「よし!帰るぞ!」

「あの、小太郎さん宝箱は?」

「開けずに帰る!」

「なんでですか?」

「わかってねぇのかよ!此処で開けるとまたランクアップしてしまうだろうが!」

「わかんねーっすよ!なんで宝箱が開けるとランクアップするんすか?」

「しらねーよ!今度こそ開けたら置いていくからな」

「わ、わかたっす」

「じゃあララが開けよーっと」

「ふざけんな!」

 ララが宝箱を開けると“ゴゴゴゴゴゴ”と音がする。

「まじしらねぇ!俺はカニ食って帰るぞ」

「小太郎さん。もう無理ですって!」

「いーや、あいつらわかってねぇもん」

「やったー、ララバック欲しかったんだよねー」

「ほら!わかってねぇもん」

「こいつら連れて来たのはマリア!お前の責任だからな!」

「わかっているがこれはどうしようもない」

「あとは極だぞ?俺でもキツいんだぞ?」

「それはわかっているが」

「あぁー。もうやってやるよ!このダンジョン無くすからな!」

 マリアや三原さんも申し訳なさそうだ。

「おう。勇者組!おまえら特攻隊な」

「え!ララが勝手に」

「連帯責任ってのがアンだろーが」

 俺は勇者神を下に投げ捨てる。

「死ぬ気で倒せ!」

「死ぬって!なんだよ青いミノタウロスなんて!ぎゃー!」

「きゃー!」

「ヒール。ヒールヒールヒール」

「死ななきゃ治してやるからさ!」

「死ぬって!助けてくれよ!」

「もうしません!分かりました!」

「ヒールヒールヒールヒールヒール」

 下は阿鼻叫喚だ。

「小太郎さん!」

「はぁ、しょうがない」

 ブルーミノタウロスを瞬殺して勇者組に正座をさせる。

「はい、宝箱の中身を渡せ」

「はい」

「これだけじゃなかったろ?」

「は、はい」

 マジックバックを取ってやがった。

「まじお前ら無理。帰れよ」

「いやすんませんでした」

「ん。勇者君は着いてこい。他のものは?」

「帰ります」

「それがいい」

 他の勇者組は帰還することになった。

「マリア達はどうする?」

「私たちものこりますわよ」

「守れないからな」

 俺でもキツいんだ。

「望むところです!」

「三原さんはちゃんと回復に専念してな」

「はい」

 はぁ、カニが遠のく。

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