第89話 砂人


「ここに砂人のナグラってのがいるらしいけど知ってるかい?」

「あぁ、あそこにいるのがナグラだよ」

 隻腕の男がカウンターに腰掛けている。

「あんたがナグラか?黒の魔女のルーからお届け者だ」

「あん?あぁ、あいつか」

 小包を受け取ると瓶を二つ渡される。

「コーヒー?」

「あぁ、あいつとは物々交換なんだ」

 そうなんだな。

「あ、ここらへんにダンジョンってある?」

「いきなり馴れ馴れしいな。まぁいい、そこのカウンターで聞け」

 指さされた場所に行くとギルドだった。

「お姉さん、ダンジョンの情報ある?」

「あらやだ、ダンジョンはね、初級、中級、上級とあのピラミッドの中の階層で違ってくるよ」

「へぇ、じゃあテッペンは?」

「さぁ?特級なのかねぇ?」

「ありがとう」


 ピラミッドってあの真ん中にあるやつだな。

「行くんですか?」

「ここでまって「行きます」はい」

「アンアン」

「んじゃ三人で攻略する前に宿を取ろう!砂でざらざらだからな」


 宿は水桶を持って来てくれるだけだった。

 そうだよなぁ、砂漠だもん。

 リアは頑なに背中を流したがるから任せるけど、それ以上はしないからな。

 結局布団も一緒で真ん中にガンプがいる。

 狭いがしょうがない。


「さぁ。攻略すんぞ!」

「はい!」

「アン」

 ピラミッドなら中に入るとひんやりしていて気持ちいい、まずは初級からって広いなぁ。下の方が広いからしょうがないけどさ。

 ミイラやマミィが出てくるがガンプが頑張って倒している。

 

 階段を見つけたが降り階段?やっぱり上に行くんじゃなくて降りていく方か。

 十階層をら超えたあたりから敵が強くなって来たんで中級になったようだ。

 リアと二人で倒していく。もちろんガンプもがんばっているようだ。

 

 アンデッド系や蠍なんかが多い。

 聖剣ホーリーロードの出番は多いな!

「アンアン」

「お。宝箱!罠があるな。毒針だから前にいるなよ?」

 後ろから開けると毒針が飛び出す。

「なかはただのポーション」

「なんだかガッカリですね」

 まぁ木の宝箱だしな!


 さっさと次に行く。

 中級も突破して上級に入ったと思う。

 マミィキングやデスワーム、デザートスコーピオンなどが出てくるし、どんどん狭くなっている。

「あとちょっとかもな!」

「そうだといいんですが」

「アンアン」

 多分次でラストかな?

 階段を降りると広い部屋にでた。

『グアァァアァ』

「スフィンクス?!」

 黄金の身体を持つライオンのような姿を見て地球のスフィンクスを思い出す。

 聖剣で斬りつけるが爪でガードされる。リアが『ホーリーバースト』を唱える。

『グアァァアァ』

「効いてるな!」

 二人で『ホーリーバースト』を連発して弱ったところで首を斬り落とす。

 ドロップ品は黄金の立て髪、爪、金塊だった。宝箱が出たが取らずに帰る。


 ダンジョンから出ると宿をまた取って、魔法屋を探す。掘り出し物はなかったが、大人買いして日本に渡す分を確保する。

 その日は挟まれながら寝て、翌朝『転移』でルーの家へ。

「どうだった?」

「ギガワームは会ったよ」

「倒したのかい?」

「倒してない。腹の中なもの全部アイテムボックスに入れて来た」

「あっはっは、やるねぇ」

「あとこれな」

 瓶を二つ置くと、それを嬉しそうに持っていく。


「で、ダンジョンはどうだった?」

「べつに大した事なかったな。特級にはしなかったし」

「まぁ、コタローが上級入ったところでねぇ」

「まぁ、暇つぶしにはなったよ」

「なら良かったよ」

「んでギガワームの中身をどうしよう?」

「古いものなら青の魔女が欲しがるんじゃない?」

「よし、青の魔女のとこに行こう!」

「じゃあ、ちょっと待ってな」

 ルーは黒の魔女の服装に着替えると、

「じゃあ手を握って」

『転移』


「やぁ、ミスティア」

「どうしたんだい?大勢で」

 ミスティアは花に水をやっていた。

「ギガワームの腹の中にあったもんに興味はないかい?」

「うーん、何によるかね」

 顎に指を当ててコテンと頭を横に落とす。

「出してみなよ」

「うーん此処では狭いかな?」

「んじゃあっちで」

 四人と一匹はあるきながら、

「何?じゃあギガワームの腹の中にいたの?」

「うん、大空洞だったよ」

「へぇ、期待できるわね」

 大きな空き地にまずは戦艦をだす。

「ふぉおぉぉ!砂人の戦艦ね。しかもだいぶ古い形だわ」

「ね?」

 本当に古いものが好きなのかぁ。

「古ければいいってもんじゃないわよ。知識として価値あるものが好きなの」

「はぇー」

「ギガワームに呑まれてもこんなに原型を留めてるなんて!」

 まぁ戦艦としては俺も胸がときめくわけだが、そこまでか?

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