第55話 シャイン再び


「敵きたよ!」

「はい!」

「ってスライムじゃん」

 斬って終わり。

「だから言っただろ?こっちは物足りないって」

「あははは、日本のダンジョンが弱いんですね」

「そうなるかな、でも気をつけてね」

「「「「「「「はい」」」」」」」


 危なげなく三十層のボスを倒すとドロップ品を錬金術師の斎藤さんが拾う。

 やはり出て来た宝箱。

「宝箱だ!」

「待って、開けて大丈夫ですか?」

 三原さんが聞いてくる。

「大丈夫だけどダンジョンがランクアップするよ」

「ランクアップ?」

「ここが超初級ダンジョンだとしたら初球ダンジョンくらいになる」

「へぇ、それくらいならなんとかなりますか?」

「俺もいるから大丈夫だよ」

「じゃああけまーす」

 賢者の神崎くんが開けたくて仕方なかったようだ。


「おぉ!剣と杖が入ってた!」

「どれどれ、『雷の剣』と『回復の杖』だってさ」

「じゃあ剣闘士の久保田くんと聖女のみはらさんだね」

「ここからは宝箱が出てくるから、みんな自分の装備が揃うんじゃないかな?」

「「「「やったー!」」」」

 素直で学生って感じが嬉しいねぇ。


 それからも余裕あるフォーメーションで敵を倒していく。ルナディアでも相当頑張ってたのだろう。

「よしっ!こんどは俺が開けるぞ!」

「小太郎さん!鑑定お願いしゃっす」

「えー、『疾風の小手』に『アイテムボックス (肩掛けカバン)』だね」

 拳闘士の矢田くんと錬金術師の斎藤さんに渡る。


 あとは賢者の神崎くんだけだな。

 五十階層まできて、斎藤さんが怪我をする場面が出て来てしまう。

 ボスはスピアネイルと言う蜘蛛型のモンスターだ。

「回復するね、『ヒール』」

「ありがとう」

「ウォォオォォ!」

 疾風の小手を装備した拳闘士の矢田くんと雷の剣を装備した剣闘士の久保田くんが張り切ってなんとか倒し切った。

「はぁ、はぁ、はぁ、」

「みんなお疲れ様『エリアヒール』」

「あ、ありがとうございます」

「それより宝箱が出てるよ」

「今度こそ神崎くんのがでるといいね」

「うん!開けるね」

 願いが通じたのか杖と魔法玉だった。


「小太郎さん。鑑定お願いします」

「『フェアリーロッド』と『雷の魔法玉』だね。フェアリーロッドは魔法力アップが付くみたいだよ」

「やった!」

「魔法玉も神崎くんが使うのがいいよ」

「え?二つもいいの?」

「だって賢者だしね」

 三原さんが笑う。


 いいパーティーだな。

 勇者組もこんなパーティーになってくれればいいのにと思ってしまった。 



 勇者組はまだ初級ダンジョンも行ってないらしい。なんで知ってるのかと言うと三原さんに聞いたからだ。三原さん達は特別に初級ダンジョンなら入っていいとこの前の探索で攻略した際に言われた。限定解除みたいなもんだ。

「さて。爺婆ズはなにしてんだ?」

「次の旅行の計画じゃよ」

「俺は入ってんだろうな」

「……入っとる」

「嘘だろ!仲間はずれ禁止!」

「もー、黙ってろって言っただろうが」

 親父が出てくる。

「黙ってろってなんだよ」

「ユフィ&爺婆ズにお前の入る隙間はこれぽっちもないんじゃ」

 指を小さくして言ってくる親父にデコピンをかます。

「また、喧嘩だぞ!」

「ファイト!」

 はぁ、いつになったらユフィと遊べるのかな。

「コタロー、お父さんにそんなことしたらダメっ!」

「おーいおいおいおい」

「変な泣き真似してんじゃねーぞ!」

「コタロー」

「分かったよ。ちょっと頭冷やしてくる」

 外に出てどこにいくのかを決める。

「久しぶりにあいつに会うか」


 転移でバレンシアに来てみた。

 ギルドに行くと俺宛に手紙が来ている。

『至急、子爵領の館に来たれ』

 いつのだよ?

 しょうがないから館に向かうと見知った顔がこちらに走ってくる。

「おぉー。シャイぶはっ!!」

「こぉら!コタロー!ギルドによるって言ってたよねー」

「いたた、色々忙しかったんだよ」

「本当に?」

「本当だよ、だからちゃんとギルドに顔出したろ?」

 久しぶりにみるシャインはすこし背が伸び大人になっていた。

「私もいますぞ」

「サザンさん!お久しぶりです」

「はい、お久しぶりでございます」

 サザンさんは相変わらず変わらないな。


「で?なんの用事だったんだ?」

「それはあれよ」

「あれでございます」

「嘘だろ?」

「ハンバーガー!」

「ビールでございます」

「やっぱりかよ!!」


 また大量に持っていかれた。

「それよりダンジョンのほうはどうなんだよ?」

「それはバッチリ!上級ダンジョンにいまはいってるからね」

「おぉ!」

「と言っても行き始めたばかりですが」

「サザン!余計なこと言わないの!」

 上級ダンジョンか、よく頑張ってるな。

「それなりにやってるんだな、よかったよ」


「また一緒にいきませんこと?」

「やだねー!」

「な、なんて変わらないのでしょう!このバカ」

「お嬢様、コタロー様も忙しいのですよ」

「そうそう、いそがしいんだよ」

 次は何をしようか考えるのにね。


「またギルドに寄ってよ!必ずだからね」

「あぁ、また寄るさ」

「ではコタロー様、お気を付けて」

「あぁ、サザンさんも頑張ってな!もちろんシャインもな!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る