第40話 コタローとユフィ


「改めて、帝都までの護衛、ありがとうございました。これが約束の謝礼です」

 フェイズが出したのは白金貨二枚。

「フェイズさん、これは貰いすぎだ。せめてこの半分でいい」

「私の世間知らずを思い知らせてくれ、今までにない経験をさせてくれた御礼です」

「だが……それじゃあハンバーガーの権利を全て譲る。それでこれは貰うことにする」

「そ、それは出来ません。あれはキチンと商業ギルドに登録して」

「それが面倒だから全部フェイズさんにぶん投げただけだ。これでフェアだ」

 俺は白金貨を一枚取り、ユフィに一枚渡す。

「んじゃどこかでハンバーガーが食べれるのを期待してるよ」

「絶対売ってよね!俺絶対かうからさ」

 フェイズは涙を流して短い間の仲間を見送った。


「さーて、金も入ったしなにする?」

「日本にいこうよ」

「却下」

「ぶーーー」

 ま、ギルドにでも顔出すか。

「よし、ギルドで情報収集だな」

「はぁ、楽したい」


 ギルドは王都よりも大きく立派な佇まいだ。扉を開けて中に入ると昼間から酒を飲んでるような冒険者はおらず、中は思ったよりも空いていた。

「帝都のギルドは初めてだけどいつもこんなもんか?」

 受付のお姉さんに聞いてみると、

「今の時間帯はこんなものですよ。朝と夕方がピークになります」

「そうか、ではこの近辺のダンジョンの情報を頼む」

「帝都からですと、帝都の中に初級ギルドダンジョン、帝都から東に行くと中級ハドソンダンジョンが、帝都から南には上級キーマダンジョンがあります」

 これだけ揃ってるのはいいな。

「特級ダンジョンはないのか?」

「特級ダンジョンは上級ダンジョンを攻略した方にのみ教える規則になっております」


「わかった。ありがとう」

「どういたしまして」

「よし、まずは上級ダンジョンからだ!って思ってる」

「あん?ユフィも上級いくだろ?」

「まずは小手調べも必要だぞ!」

 小手調べか、帝都のダンジョンがどれほどなのか知る機会だが、いまさら中級は、

「いまさら中級はとかかんがえてるだろ?」

「なんだよ、なんでわかる?」

「顔に書いてあるんだよ!コタローなら上級からでも大丈夫かもしれないけど、俺は中級をクリアしたばっかだからな!まずは中級からトライだ!」


「あー……わかったよ」

「ならよし!」




 中級ダンジョンのハドソンダンジョンを攻略したのは三ヶ月後だった。ユフィが言った通りやはり帝都ダンジョンは勝手が違う。今までなかった罠に苦戦させられ、姑息な手を使うモンスターも多かった。


 そこからさらに上級のキーマダンジョンもおなじようなところで、なかなか前にすすめなかったので半年以上かかってやっと攻略できた。


 そして。


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コタロー・カザマ 十七歳

 レベル88

 力 LS-

 体 LS-

 速 SSS+

 魔 LS-

 運 SSS+

スキル 五行魔法(火・水・土・風・雷)        

    闇魔法 光魔法 聖魔法 回復魔法 転移魔法 時空間魔法 強化魔法 支援魔法 付与魔術

    剣術 槍術 棍術 体術 盾術 感知 天歩 剛断 瞬歩

ユニーク 


 黒の魔女の弟子

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ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ユフィ 十六歳

 レベル90

 力 A+

 体 B-

 速 S+

 魔 B+

 運 A+

スキル 五行魔法(火・水・土・風・雷)

    剛弓術 短剣術

    早駆け 剛弓 曲射 三連射

ユニーク 


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 ここまで強くなった。

 あと一年で十八歳、身長も伸び昔と変わらないくらいになった俺はもう日本に帰ってもやっていけると思う。少し童顔なのは無精髭でも生やせばいけるだろ。


 あとはユフィがだいぶ強くなっている。ステータスもSまで上がっているし、そこらのやつよりはよっぽど戦闘が上手い。俺がいなくなっても大丈夫だ。


「ユフィ」

「いやですねー」

「いや、そろそろ話を」

「だからいやです」

 最近はこの調子だ。

「俺は日本に「じゃー私も!」そりゃダメだ」

 ユフィはこちらの国の人間で、日本に行く理由がない。ルナディアより文明は進んでいるがそれだけだ。

「お前はルナディアの人間だ」

「そんなの関係ないです」


「ここと日本は十分の一の時間差がある。お前の知り合いだっているだろう」

「私の一番大切なのはコタローです」

 は?

「私はコタローが、す、好きなんだ!」

 ユフィが俺を?

「こ、答えを聞かせてくれよ」

「ま、待て、俺の頭も混乱していて」

「好きか嫌いかだろ!どっちなんだよ!」

「そりゃ嫌いなわけないだろ」


「ならチュー」

「まてまてまて!」

「なんだよ!俺だってはずかしいんだぞ!」

「言葉遣いが戻ってるぞ!」

「なんだよ。好き同士はすぐチューするんだろ?」

「あ、いや、その、なんだ」

「なんだよ!」

 顔が真っ赤になったユフィは可愛いと思うけど。

「いや、順序というのがあってな!まずは付き合ってから」

「もう長い間一緒にいただろ?」

「そ、そうだな」

「じゃあ、付き合うってののつぎはなんだよ?」


「ち、ちゅー?」

「じゃあ、ちゅー!」

「だから待てって!」

 俺はチュー顔のユフィの顔を持って待てをかける。

「いやなのか?」

「違う。嫌じゃないが、こう言うのは男からするもんだから」

「じ、じゃあ待ってやるよ!コタローがしたい時まで!」

 なんだよそれ。


「はぁ、わかった。んじゃ、俺の彼女になってくれよ」

「…………」

「何いまさら恥ずかしがってんだよ!」

「うっせー!恥ずかしくなって悪いのかよ!」

「んじゃいまから俺の彼氏だからな!」

「おう望むところだ!」


 こうしてユフィと付き合うことになってしまった。


 

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