第25話 オークション
親父に頼んでオークションにログインするとまだまだ発展途上のダンジョン界隈は低階層のドロップ品が高値で取引されている。
「おぉ、これなら俺の持ってるドロップ品はすげぇ値が付くぜ!」
「あんまり高いのはやめとけよ?匿名って言っても冒険者ギルドにはバレるんだからな」
そういえばそうか。
「なら低階層のドロップ品で我慢するか」
俺はオーガの皮は出品確実として、あとはレッサーサーペントの皮、ホブゴブリンの牙、キャタピラーの上糸をオークションに出す。
ギルドに行って親父が登録証明を済ませてから俺が変わってオークションの登録を済ませた。
もちろん一円スタートだ。
「おおっ!もう百万だぜ?」
「おい!何を出したんだ!このバカ息子が!」
「ただのオーガの皮だよ」
どんどん値段が釣り上がってくる。
「億だ億!親父!大金持ちだぞ!」
「あぁ、ダメだこれ、知らない親戚とかいっぱい来るやつやん」
「そのための匿名だぞ!喜べよ!」
親父は呆けている。
「こんなただのオーガの皮に三億ついたぜ!」
「えぇえぇー!さ、三億」
オーガの皮で三億か、ほかのはレッサーサーペントの皮が百二十万、ホブゴブリンの牙が三十万、キャタピラーの上糸が十五万だ。
「親父が好きに使っていいからな!」
「こんな大金貰えるわけないだろ!」
「俺はそれ以上に稼げるから」
「税金が怖いヨォ」
親父はすぐに税理士に頼むらしい。良かった良かった。
「んじゃ帰るから人生楽しんでな!」
「ふざけんなこのバカ息子がぁ!」
「じゃーねー」
転移でポルタに帰る。
「いやぁ、親孝行ができて良かった!」
たまにはギルドに寄ってみる。
「コタローさんに指名依頼です」
「え?誰から?」
「ポケットという方からですね」
ポケットさんか、また護衛依頼かな?
「アルスタットにてお待ちのようですので早めにお返事を」
「いまから行って来ますので大丈夫です」
ギルドを出てアルスタットのギルドに向かう。
ギルドも少し被害にあったようで絶賛工事中だ。
「指名依頼が来ているはずだが」
ギルド証を渡すと商会の場所を教えられる。
「ポケットさん」
「おぉ、コタロー殿。来てくださったのですか」
こちらも被害を受けたようでバタバタしているな。
「指名依頼ですからね、で?どのようなご用件ですか?」
「取引先への荷が焼かれてしまいまして、ある程度は集まったのですがどうしても手に入らないものがあって、コタロー殿にお願いできればと」
「何が必要なんですか?」
「それが極楽鳥の羽根なんですよ」
「極楽鳥?」
「はい。ここら辺では瘴気の森にいるらしいんですが」
ユニコーンのいたところか……あまり行きたくないが、
「分かりました。でも見つからないかもしれませんよ?」
「安心してください。ガイドを雇ってあるのでよろしくお願いします。おい、こっちだ」
ポケットさんが呼ぶと、小汚い獣人の子供だった。
「なんだ?こんなガリガリのやつに任せるのか?」
「あ?」
なんだこの生意気な子供は、
「すいません。こら、この方はこれでも凄い冒険者なんだぞ!」
「いや、凄くはないですけど」
「へぇ。まぁいいや、極楽鳥のとこまで案内してやるぜ」
「あ、あぁ。頼りにしてやるよ」
ウゼェがここは大人として我慢してやる。
子供の名前はユフィ。なんと女の子だった。
「これから森に入るから極力足音を立てるなよ?」
「了解」
森に入って一時間はたったが、極楽鳥は見当たらない。
「少し休憩だ。しかしこんなに出て来ないなんてやっぱりアイツらが荒らしたからだな」
「ん?アイツら?」
「ユニコーンを捕まえたやつらさ。派手に追い込んで捕まえたらしいから森の動物が逃げちまってる」
なんて迷惑なやつらだ!
「今のうちに食事にするぞ!持って来てないなんてないよな?」
「あぁ、心配すんな」
俺はいつものバーガーにコーラだ。
ユフィの鼻がピクピクしているが知らんぷりで飯を食う。ユフィは堅パンに齧り付いている。
「飯食いおわったら北の方を探してみる。それでだめなら明日また来る」
「へ?もしかして見つかるまでか?」
「あたりまえだろ?その分金をもらうんだから」
マジかぁ、こんなんで本当に見つかるのかよ。
二日目、三日目もだめだが、モンスターとの遭遇率はかなり上がって来た。
「四日目だ、そろそろ出て来てもいいだろう?」
「あぁ、いるとこの目星はついてる。前に巣を見たからな」
ユフィはなかなかいい素質の持ち主だ。このままいけば斥候として十分やっていけるだろう。
「いたぞ」
そこには極彩色の美しい鳥が佇んでいた。
「こっからはお前の仕事だ」
「お前じゃなくてコタローな!」
必要なのは尾羽だけだ。出来るだけ無傷で済ませたい。
出来るだけ近くまで素早く走りだす。
極楽鳥は気付いて飛び立とうとするが逃さない!
木を蹴り三角跳びの要領で上がっていく。
頭上にはあと一歩で極楽鳥の尾羽に届きそう。
だがもう木の上だ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます