17.火力乱舞
「そーれっ!!」
フライングアームドアーマーの一機が、大型ガトリングガンを振り回して、銃弾を撃ちまくり。魔族の群れを薙ぎ払っていく。銃弾を食らった魔族の群れが、いともたやすく木っ端みじんに。砕けていく。
「おーりゃーっ!!」
別の一機は、レーザーソードを発生させて、魔族の群れに飛び込み縦横無尽に暴れまわる。群れを殲滅させると、次の群れに飛び込んでいく。
「最大効果点をピンポイントで、狙う!!」
隊長機は、俺たちの装甲車を守るように、直上にホバリングして。そこから、ホーミングミサイルを撃ちまくっている。
凄い火力だ。俺たちが持っていた銃火器は、これと比べれば火炎放射器の前の花火みたいなもんだった。
「ローニ隊長!! 敵残存率、35%まで撃ち減らしました!!」
「敵は、腰が引けて逃走に移りそうな気配。逃がしますか、殲滅しますか?!」
「残すと、あとが面倒。殲滅するよ。私は、この子たちのところから離れるわけにはいかない。アンシェル、エルアン。どうせ、空母に帰るから。銃弾とかエネパックとか。好きに使っていいよ。追撃、行ってきて」
「はーい」
「了解でっす!」
二機のフライングアームドアーマーは敵の追撃に入り。
俺たちの直上にホバリングしていた隊長機が、地上に降りてきた。
* * *
「災難だったね。というか。なんで、こんなに魔族がうようよしている地帯にそんな軽装備で突っ込んできたの?」
フライングアームドアーマーの装甲を開いて、姿を見せた隊長らしき女性がそう聞いてきた。
「こんなに魔族が多いとは、思いもしませんでしたので」
アシュメルが答える。
「そっか。この前の来襲した魔神ね、アルザック地方全域に魔の因子を撒き散らしていったのよ。それで、この数の魔族が産まれたってワケ。これでも、ごく一部なんだけどね。あたしたちの所属している、飛行空母アイン=カーンは、魔神は討ち漏らしたけど、残った魔族の掃討をして回っているってワケよ」
「そうですか……。とにかく助かりました。ありがとうございます」
「良いってコト。あたしたちは軍人で、民間人守るのが役目だもんね」
「アルザック地方全域ということは……。この地方の交通網はもう活動していませんよね?」
「当然だね」
「どうしよう……。僕ら、帝都に向かうつもりだったのですが」
「……その装甲車。軍属のだよね?」
「はい。ついでに言えば、僕も軍属のアーティファクトヒューマンです」
「だったら。問題ない。装甲車ごと、あたしたちの空母まで持って帰ってあげるよ。しばらくは魔族掃討の任務で、アルザック地方に留まらなければならないけど、終わったら、帝都の軍港に帰るから」
「アルバド君、リーナ。ステッドさんの腕の治療のためにも。軍の飛行空母の世話になろう。異論は、あるかい?」
アシュメルは、他に選択肢はないだろう? とでもいうように。俺たちに聞いてきた。
「帝国の空母が守ってくれるのなら……。私はその方がいいと思うわ」
リーナが言う。
「俺には……。何も言えない」
おれは、ステッドがやられてもなお。敵を撃てなかった自分のおかしさに嫌気がさしていて。今は何も考えられなかった。
* * *
二機のフライングアームドアーマーが装甲車の前後を掴んで。俺たちごと空中を飛んでいる。
「あと十分で、着くから。揺れるのは勘弁ね」
隊長さんが言う。でも、まさか。
帝国の飛行空母に乗ることになるなんて思いもしなかったな。
「……ん。視認できた。じゃ、向かうよ!」
隊長さんは俺たちよりはだいぶ年上だけど、まだ若い。溌溂とした声で、そう言い放った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます