第479話 クランクイン
いよいよ田中くん主催の映画撮影が始まる。
…気付けばとわんこまで来てるし…。
しかも仙道も連れてきた。
撮影場所は新川中。
当初北翔だったんだけど北翔じゃ主に見る北翔生が見慣れてる光景すぎておもしろく無いって変更したらしい。
田中くんが相談して香椎さんが新川中に交渉するとあっさり許可が降りて撮影の運びになった。
制服着用…夏だから暑い!
制服は北翔の制服を着用する。
卒業生寄付の制服で生徒会が管理しているモノをすごい量持って来たよ!
痛めなければクリーニングして返せば良いらしい。
田中『じゃよろしくねー!!』
皆で北翔の制服に着替えて教室でのシーンを撮影する。
…皆んな大盛り上がり!体育館の横の更衣室スペースは賑やか!
普通の映画はシーンを撮っていってつぎはぎみたいに編集して各シーン繋げるから飛び飛びに撮って行くけど田中くんは流れで撮って行きたい!って主張していて基本的にストーリー通りに撮り進めるらしい。
紅緒『ふふ♪どう?承くんどう?』
『…北翔の制服って東光と似てるんだよなぁ。』
ぽす!ぽす!って肩パンされる。
…紺色っぽいブレザーにグレーのスラックス。女子はグレーのスカートでしょ?下のグレーの色味とタイが違うだけで印象はそこまで変わらない。
伊勢さんもそれは同意見らしくて笑ってた。
あっちゃんは憧れてた新川中をキョロキョロ見て回っている。
そして青井は金髪になってる…イカついツーブロックって言うのかな?
こっわ!こんなのにいじめられたら速攻不登校になるわ!
青井『…千佳…控えめに言って最高!』
千佳『…もう!航ったら♡』
小幡さんも北翔の制服…でもまた金髪になってる…。
このカップル中学最後の文化祭でも金髪にしてたよね?
今回小幡さんは悪役の外町ポジション。
俺をいじって、青井を指図していじめ首謀者役。
メイクも…なんか少し威圧的…!怖い綺麗なお姉さん…!
このバカップルは金髪悪人フェイスでイチャイチャしていた。
宏介はまぁいつも通りの北翔制服。
田中くんと映像研究会メンバー男子もそうだよね。
まあキャッキャ盛り上がっちゃう!まだ撮影まで時間はあるけど大盛り上がり!主に北翔チームと新川チームに分かれてるけど雰囲気はすごく良い。
松ちゃんは所在無さそうに佇む。
新二『公立の割にきれいじゃん。』
ブレない男よ…。
柳『お前ら変わらないな。』
二、三年時担任だった柳先生に再会も出来た!
柳先生は相変わらず飄々としていて変わらず嬉しかった。
☆ ☆ ☆
!!
空気が変わったのは香椎さんが現れたから。
…着替えて出て来た香椎さん。
控えめに言って最高…しゅごい…。
紺のブレザーに白いブラウス、赤いタイ、グレーのスカートって割とスタンダードな制服姿。
それがこんなに…可愛い…!
映像研究会のメンバーが取り囲む!
『田中くんさすが!』
『こんな綺麗なお嬢さんがヒロイン!』
『しゃ…写真いいですか?』
慌てて写真だけは断る香椎さん。
初見だと視線を持ってかれるよね?わかる!
やっぱ可愛いなぁ…。あの告白しちゃった晩から俺は香椎さん見るだけですっごい胸が切ない…。
ぎゅむ!
『痛った!!』
俺の脇腹千切れちゃう!
とわんこ何するのさ!つねるな!
※フィジカル激弱だけど握力だけは人並み。
紅緒『…別に…私たちと話してるのに玲奈にデレデレしちゃって…!』
伊勢さんまで胸の前で腕組んで頷きながら、
伊勢『そうだし!あーしたちと話してるのに他ばっか見て!失礼っしょ?』
えー?!伊勢さんにまで叱られちゃうと俺が悪いのかな?って痛感する。
ごめんって謝って話を再開するけど…香椎玲奈に目線は行っちゃう…!
田中くんが点呼して映像研究会チームがエキストラチームの大半を連れて教室へ先に移動する。
田中くんが小幡さん、青井と打ち合わせ。
宏介は別クラス設定なのでそれを横で聞いていた。
☆ ☆ ☆
玲奈さんは少し松ちゃんと話すと俺のところにとことこ!ってやって来る。
輝く笑顔に大きな瞳、今日も香椎さんはしゅごい。
その場でクルっと回って見せる。
スカートがフワッと広がり戻る。
玲奈『ふふ♪どうかな?
香椎玲奈北翔verだよ!』
『…いいんじゃない?』
(直視出来ない!かわいい!)
俺赤くなってるだろ…絶対。
今日の香椎さん可愛くって…しゅごい!
なんかもう本当に直視出来ない!
この後のシーンを香椎さんはおさらいしながら教室へ一緒に移動する。
玲奈『最初のシーンで千佳が指示して青井くんが承くんをクラス委員長に推薦するシーンでさ?
…承くん?』
不思議な光景だと思った。
久しぶりに慣れ親しんだ新川中の廊下を歩いてる…東光の制服そっくりの北翔制服を着て…。
横で肩を並べてあの憧れの香椎玲奈が…。
お互い中学の頃と同じようで変わってて…
高校の制服着て中学校の中に居る…ふしぎ!
そんなことをぼんやり思ってると、
急に横から香椎さんが俺の顔を覗き込んでくる訳で!
玲奈『承くん?聞いてる?』
俺が照れてるのを察知した香椎さんは俺を逃さないんだよ!
玲奈『ふふー!どうしたの?
制服姿に照れてるのかな?
いつもと違って…意識しちゃってるのかな?』
更衣室から2階の三年教室へ移動なんてすぐ。
中学時代だって人気の多い通路でこんなとこでふたりきりなんてシーンは絶対無かった場所で香椎玲奈と高校の制服でふたりきり!なんかバグってる!
とっさに俺の口から出た言葉は本音だったんだけど、
『…もし、同じ高校に通ってたら…こんな感じなのかな…って思っちゃった…もう叶う事は無いのに…。』
玲奈『…えっ…。』
玲奈さん…香椎さんの頬が一瞬で赤く染まった。
『…俺の偏差値で香椎さんと同じ学校に行ける訳が無い。
そう考えると同じ制服着て同じ学舎で学んだあの日々は奇跡みたいなもの。
もう二度と同じ学校に通う事なんか無いし、その機会は無い。
でも、今日望外の『同じ学校に通ってる同級生』って追体験に俺は胸が痛い…!
玲奈さんと同じ学校通えたらきっと楽しいだろうな、こんなにきゅんきゅんするんだろうなぁって思ったら直視出来ない…!』
香椎さんはちょっと俯いて、まだ真っ赤になりながら、
香椎『し、し、し、承くん…本音ダダ漏れ…!
…わっわたしも…。』
いつも言うけど真っ赤になってる女の子ってすっごく可愛い。
…それが憧れの香椎玲奈ならなおさら…!
あの頃から少し身長差がついた俺たち。
あの頃とはまた違う距離感。
台本を両手で持ってモジモジする玲奈さんと向かいあって…
なんかいい雰囲気…ダメだろ…婚約者居る娘だぞ?
って瞬間スンって玲奈さんが真顔に戻った…!
目をやると向こうの角に人が見えた。
望『やべ!』
愚妹が向こうの角から覗いていやがる…!
親友sまで…!
バレちゃった!あはは!って笑いながら近づくJCども。
望『やー!なるちゃんに聞いて田中くんにねじ込んだの!面白そうじゃん?
女子のエキストラ足りないって言って即承諾してくれたの!
どう?あたしの北翔制服姿♪』
『お前来年それ着れるんだろ?』
玲奈『皆んなも久しぶりだね?』
親友s『『『香椎先輩ちーっす!』』』
覗かれてるって察知した玲奈さんは一瞬で先輩モードに切り替わっていた…出た!女優癖!
☆ ☆ ☆
何気に登場人物がほぼ出ている回でしゅごい(しつこい)
承、玲奈、紅緒、成実、宏介、青井、田中、厚樹、仙道、千佳、
望、芹、茜、きい、緑、新二。
柳先生。
ひーちゃん以外ほぼ居るw
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます