第472話 松方本邸
ターミナル駅から徒歩10分。松ちゃんカーで移動中なんだけど…
いやこんなところ商業施設とタワーマンション位しか無いでしょ?
…え?コレ家?寺とかじゃ?
ヤクザゲーの龍◯如くで出てくる巨大な日本家屋…お屋敷って言った方が良いのか?
日本家屋だけど…監視カメラにガードマンにお屋敷周りは人が多い…!
え?ヤクザなの?
運転席の松ちゃんに尋ねる。
新二『ヤクザじゃねぇ。
…でもヤクザよりやばい事も合法でしてるし、グレーゾーンも手広くやってる。』
やっば!
新二『それより承、俺の服装おかしく無いか?
身だしなみ大丈夫か?』
『…デートに行くわけじゃ無いんだから…。』
おかしいのは松ちゃんなわけで。
松ちゃんはお母さんに会うのに緊張している。
たまに会うんじゃないの?家族食事会やこないだ香椎家と会う時とか…?
ただ余計な事を言う気になれないほど松ちゃんは一杯一杯な様子。
親と子だって色んな形もあるだろうしね。
食事会で拝見した松ちゃんのママは浮世離れした美人だった。
…美人だけど…現実味が無いって方が近いかも。
なんか生活感が無い…いや不自然なほど無さすぎる。
心を患った…患ってる?らしいけど。
でっかい門を顔パスで通り、黒いスーツのおじさんにチェックされまた顔パスで屋敷に入る。
ほえーしゅごい。
立派!お屋敷立派!
入り口を通ると何畳あるのか数える気もしない広い大広間や拝観料とれそうな日本庭園を横目にまっすぐ廊下を歩く。
うん日本庭園を黒服のいかついお兄さんがドーベルマン連れて散歩してる…良いお散歩コースですね?
さらに奥まった所にまた番所みたいな所があり、ガードマンが立っている。
新二『ここからプライベートな家って感じ?』
『…左様で。』
言葉遣いもなんかおかしくなっちゃう非日常感!
そこに立って松ちゃんを待っているのはガタイの良い初老のおじいさん。
スーツとは違う洋装で…?
!!
執事だぁ!本物の執事!!
執事『…おかえりなさいませ坊ちゃん!』
松ちゃんはゲンナリしながら、
新二『…坊ちゃんはよせよ…
社長とか若社長って呼べ。』
執事のおじいさんは嬉しそうに笑いながら、
執事『はは!間違えてしまいました!
若社長でしたな坊ちゃん!』
わざとかな?
松ちゃんは声を落として、
新二『…それで…ママは?』
執事『…今日来客があるとだけ。
体調はよろしいようですが…場合によっては早めに切り上げていただくかも…。』
わかってるって松ちゃんは頷くとパパは?って少しキョドりながら聞いた。
執事さんはがはは!って笑いながら、
執事『旦那さまには言っておりませぬ。
息子が母に会うのに許可が要りましょうや?
ただ…。』
まっちゃんはわかってるって言いながら頷いた。
☆ ☆ ☆
奥のプライベートな家?
やはりすごく広く大きい。
でも人が最低限しか居ないからさっきの入り口付近や大広間ほど威圧感は無い。
松方家の奥、プライベートな空間のさらに奥にひっそりと離れがあった。
渡り廊下で切り離されたような絵に描いたようような離れ。
渡り廊下なのに扉が備え付けられている。
…離れはまるでそこが一軒の屋敷のように漆喰の壁で覆われて庭は広く綺麗なのが見えるけど極めて閉鎖的な空間だった。
屋敷の奥に塀で囲まれた小さい屋敷があるような…。
執事さんは鍵を差し込み開錠する。
…おかしく無い?家の中の離れに鍵?
しかも外から?中から鍵ならわかるけど。
その異様さと歪さに軽く恐怖を覚えながら鍵を開錠した執事さんに付いて離れに入って行った。
ちりひとつ無い廊下を通り、整えられた日本庭園を横目に見ながら中を進む、
女性の使用人が2人だけ居た。
彼女らは何も話さない。執事さんが控え室へって言うと頷いて去って行った。
そして奥の部屋で執事さんが訪問を告げた。
執事『奥さま、よろしいでしょうか?』
…。
不在なのかな?
そう思った瞬間、
『…どうぞ…。』
か細い生気の無い声がした。
初めて聞いた松ちゃんのママの声だった。
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