第422話 宏介の応援に

…やっば!寝過ぎた!

昨日松ちゃんとこが遅くなっちゃって帰ったら深夜2時だった。

もうベッドに倒れ込んでバタンキュー!って感じだった…。

朝食とらずに寝ちゃうなんて普段は絶対にしない。


…もう8時…9:00東光駅集合なのに…もう時間がやばい。

急いでシャワー浴びて、俺は飛び出す!

駅まで15分、電車でひと駅だから大丈夫なはず!

そう算段して家を出ようとすると…


きゅ!


ひーちゃんが俺を引っ張ってる。

どうした?兄ちゃん忙しいんだよ、帰ったら話し聞くからさ?

ひーちゃんは泣きそうな顔で、


ひー『…ねえちゃんないてた…ねえちゃんのテニスみにいこうよ?』


『…どうしても兄ちゃん忙しいんだ…ひーちゃんは今日母さんと見に行くんだろ?兄ちゃんの分も応援頼むな?』


ひー『ちがうんだよ。ねえちゃんはにいちゃんがきてくれないのがさみしいの!』


ごめん。ひーちゃんの頭をぽんぽんして俺は出かける。

自転車で新川駅へ、その次の東光駅で紅緒さんと合流。


☆ ☆ ☆

紅緒『承くん!お待たせ♪』


初夏のお嬢様スタイルと言った風情に紅緒さんは男の人の視線を集めちゃうほど綺麗…黒髪ロングに色白な容貌、キラキラ輝く瞳は男子の視線を引き寄せる。

手には大きめトートバックがあって…今日はお弁当ご馳走してくれるそうな…。


紅緒『…宏介くんの…北翔バスケ部結構強い方なんだって?』


『冬は県でベスト8だったしね。

宏介は授業や昼休みにやってただけのバスケを高校から本格的に始めたのに一年で公式戦出場したんだよ。

ほんとすごい。

あいつは努力家なんだよね。』


紅緒『…承くんも宏介くんもお互いの話しには饒舌…!

宏介くんも承くん話が1番食いつくもん。』


解せないって表情の紅緒さん。

紅緒さんは高校入学初期の俺の思い出話をせがんだ時期によく話に出て来てピンチを救い、イベントではライバルだった宏介のファンで俺カレでアドレス交換して以来連絡を取り合っているそうな。

※紅緒さんは承を攻略するには宏介を味方にするべき!って思ってます。


紅緒『部活の公式戦!三年生は引退がかかってる!

青春!燃えるよね!私すっごい楽しみなんだぁ!

愛莉さんもこの大会に心血を注いでいるんだよ!』


…あのダブルデート以降も紅緒さんは宏介の先輩女子マネの天堂愛莉さんとマメに連絡を取っている。

お姉ちゃんみたい!って慕ってる。

※愛莉を慕ってるのは本当ですが宏介と愛莉をくっつけるから自分と承をくっつける展開に持っていきたい紅緒。


紅緒さんは部活をしていない。

憧れはかなりあって宏介と天堂さんに思い入れあるから感情移入してすっごい楽しみにしている。


次の登り電車でターミナル駅に出て、バスで5分。

…歩かせると徒歩15分で紅緒さんの体力は尽きてしまう…!

トートバックは俺が持ち、ゆっくり話しながら会場へ向かう。

昨日までは平日だから見に行けなかったんだよね。


紅緒『こういう時間もっとほしいな…。』


『…ちょっと忙しくってね。

勉強中話してるじゃん。』


紅緒さんはイラ!っとした声で、


紅緒『わからないとこ聞くのはおしゃべりじゃないでしょー!』


紅緒さんは俺をダメ出ししていたけど…県の体育館の特徴的なフォルムが見えてくると、


紅緒『…なんかドキドキしてきた!

友だちが出るだけでこんなにワクワクとドキドキなんだから自分や家族が出場する時ってもっと興奮しちゃうんでしょ?!』


興奮を抑えきれない紅緒さんははしゃいで大層可愛らしい。

イベント、思い出、青春、勝負と紅緒さんの求めてるモノが多分に入っている為かワクワクわんこ。


…頭の端っこでずっと望の事を考えている。

望大丈夫かな?緊張して無いかな?ああ見えて初戦だけは緊張する子なんだよな。

調子どうかな?中学最後の大会なんだよな。

…もっと優しくしておけば良かった…頑張れって言えば良かった…。

望は強い…でも大会なんて水モノで…有力選手が早々に退場だって珍しくない

俺は気がつけば望のことばかり考えている。



会場に入る。

今日は土曜だから同じ年位の生徒や父兄が多く来ている。

北翔は…どこだろう?

メイン会場で2試合目って聞いてる。


…居た!北翔高校御一行様!

キャプテンっぽい精悍な顔付きの選手がチームに檄を飛ばす!

もうじきコートに入るところみたいだ。


遠くからジッと見ていると…。


宏介『…!』


気付いた!こっち見て笑ってる。


…青い北翔のユニフォーム格好良いな。

宏介は背番号10。

チームの司令塔たるポイントガードを務めている。

…たまに一緒に河川敷でバスケするとその速さとパス、ドリブル精度に驚かされる。

小学校は野球、中学は卓球をしていた。

…昔あっちゃんがバスケ部作りたい!って運動をしたけど…あの頃バスケ部があったら宏介はもっとすごい選手になってたのでは?って思っちゃう。


宏介の横には天堂さん。

天堂さんは宏介の一個上の先輩。

優しげな美人さんで…色々あった宏介にはお姉さんの包容力良いと思うんだよな…。

天堂さんはキラキラ笑顔で宏介と話し込んでいる。

PGは役割的にチームの頭脳、念入りに情報を確認してるんだな?



横の紅緒さんは…、


紅緒『決戦前!ってかんじ!

良いな、なんか素敵!青春ていいな!』


宏介の視線で俺たちに気付いたのか天堂さんは俺たちに小さく手を振ってくれる。

紅緒さんは手をぐー!にして応援してるよ!ってジェスチャー!


キャプテン『いくぞ!!』


『『『『おう!!!』』』』


北翔頑張れ!

俺たちも急いでメインスタンドの客席へ移動する!

幸い良いとこに席を確保!


紅緒『ドキドキするよ!』


『本当だよね!』


俺たちはドキドキしながら宏介たちが入場してくるのを待つ…!

…通路挟んだ隣の座席に女の子が座った。

正直気にしては居なかった、宏介の試合に夢中だし。


??『あれ?立花?』

??『…紅緒さん…。』

??『…先輩たちの知り合いでスカ?』


一席空けて隣の座席に座った女の子三人…。


『…三島皐月…何しに来た?』


俺は瞬間でキレかけた。

…昔より派手な容貌…宏介が好きだった図書委員の頃の面影は無い。

こいつが宏介に何をしたか、何を言ったか俺は宏介に聞いている。

…いや、無理に聞き出した。

コイツ…また宏介を傷つけるのか?まだ足りないのか?

アレだけ宏介を侮辱して、どん底に叩き込んでまだ足りないのか?


皐月『…そんな怖い顔しないでよ?

同中でしょ?

今日は宏介の応援に来たの!』


『信じられない。』


皐月『私も色々あったの。

今は宏介とヨリ戻してもいいなって思ってるのよ?』


この女は何を言ってるんだ?

アレだけ傷つけてヨリ戻しても良いな?

俺はキレ…!


??『あー!!謝って!

詳しくは存じませんが皐月先輩が10割悪いと思いマス〜!』


連れの女の子が間に割って入る。

外はねの茶色い髪の毛、ニコニコ笑った可愛い娘。


??『私は宏介先輩の後輩で先輩たちと北翔の応援に来まシタ。

皐月先輩はふしだらな女ですがひっそり応援しますのでなにとぞ…。』



なんかイントネーションに癖がある…!

横の紅緒さんは…友永さん?この子友永さんか?!

たまに俺カレに来る常連さん!って思ったけど最近痩せてきたなぁって思ったけど…!この娘も宏介を裏切ったあの友永さん?!

…紅緒さんの小学生時代の親友で…白いワンピに冷たい泥水…冬場…!

ああ!もう!

こいつら宏介の天敵みたいな奴らじゃ無いか!


『北翔の生徒が北翔の応援に来るのを止められない…

でも!絶対宏介に顔見せるなよ!』


…あの頃の宏介の憔悴っぷりは見てられなかった。

このビッチめら!


??『…本当だったんだ…

失礼ですが宏介先輩の?』


『子供の頃からの友達だよ!』


??『あー!ずっと一緒だった?武将みたいな親友さん?

…宏介先輩には迷惑かけないように静かに観戦します。

ほら!皐月先輩!もちょっとはじっこ!はじっこ行きますヨー!』



紅緒さんと友永さんは静かに話し込んでいたが2人と一緒に少し離れた席へ移動して行った。


…試合前から精神的にダメージがでかい。

試合の準備が出来て両チームが入って来た。

宏介は視野広くて観察力ある方なんだけど…あのグループに気付くなよ…!

俺は祈るような気持ちで宏介を見つめた…!



☆ ☆ ☆

近況ノートに望イラスト置いてあります。

Aiイラストなので好き嫌いはあると思います。


クロス回で寝取られ宏介の最新話は宏介サイドの話やってます♪

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