第418話 2度目
そして火曜日放課後、松ちゃんちへ出勤する俺。
前回同様東光の制服のまま伺う。
オートロックを開錠して貰い、四階に上がり部屋の前で待つとすぐに扉が開く。
…香椎さんに改めて松方新二評を聞き、わかる範囲で確認できた。
結構ナイーブで細かい所があるみたい。でも一転ズボラで面倒くさがりで鷹揚なところもある。まあ人間ってそんなもんだよね。
悪く捉えずに個性!って思っておけばよい。
新二『おっすー。』
『今日もよろしくお願いします!』
にこやかに挨拶して入室する。
新二『じゃ、ダッシュでコーラとポテチとたけのこのシャトー。
でヘブンの揚げどり5個。ほい。』
『うっす!』
電子マネーのカードを受け取り俺は1km先のヘブンイレブンへ急いで向かう。
ハミチキ専門では無いらしい…。
前回同様揚げて貰って、赤いコーラ3本と諸々購入して急いで戻る。
…今日はアニメ鑑賞だった。
アニメには疎い俺だけど…けっこう面白い。
揚げどり一個またくれた♪
はむはむしながら立ったまま一緒に見る。
松ちゃんの感想を聞きながらそうゆうもんか?と相槌打ちながら。
何か聞かれなきゃ相槌だけで良いって香椎さんが言ってた。
知らないアニメの批評とアレは良い!って話が交互に出てくるが…良いより悪い話が盛り上がるみたい。
『俺知らなくって…あらすじだけ教えて貰えないすか?』
松ちゃんはしょうがねえなぁってニヤニヤしながら、
あらすじを語り出すんだけど…めっちゃ楽しそう…嬉しそう?
自分の好きなモノを語るって楽しいもんな。
意外と嬉々として話す松ちゃん。
香椎さんが言ってた。
香椎『別に自分が話さなくっても相手が楽しく話してるなら相手に話させた方が情報も集まるし向こうも気持ちよく話せるし無理に承くんが話す必要は無いよ。
…ただキチンと相槌と的を得た質問を入れながらね?』
自分の話に興味無いって思われたら逆効果!
承くんは毎回きちんと聞いてくれるよね?って香椎さんは笑顔で締め括ったっけ。
俺は話を全力で聞き、時々わからない部分や盛り上がってる部分に質問する。
松ちゃんは本当に楽しそう。
…そうゆう事話す友だち居ないのかな?
松ちゃんは一通り話すと満足げに、
新二『ふー。話しすぎたわ。
ラーメン食いに行くか…。
承、お前も来いよ。』
『ラーメン?!』
新二『すぐそこのラーメン屋まあまあなんだよ。
行くぞ?』
『はい!』
あ、さっき行ったヘブンイレブン行く途中にあった店か!
7時…混んでそう。
マンションのエントランスに降りて…正面玄関へ向かわず裏?裏へ向かう。
新二『乗っていいぞ?』
え?すぐそこだけど?
300m位だよね?
松ちゃんは赤い小型の外車に俺を乗せてすぐそこのラーメン屋へ向かう。
赤い外車はラーメン屋さんの駐車場での場違い感すごい。
店員『いらっしゃいませ!メニュー見ながら少しお待ちください!』
新二『ちっ、待つのか…これだからラーメン屋は…。』
店員が、え?って顔するから俺はフォローするよ!
『この時間のラーメン屋さん混むのは仕方ないよね?
美味そう!松ちゃん何がおすすめ?』
新二『お前…また松ちゃんって…
…まあいいや、ここは魚介豚骨と味噌がまあまあ…!』
席に案内されるまで取り止めのないラーメン談義。
俺は駅前のあのラーメン屋さん大好きで!ああ、あそこもまあまあよな。
あそこ行ったことある?無いっす!どんな?あそこはさぁ!
男同士でラーメン談義盛り上がるよね。
やっと席に通されてラーメンオーダー!
俺ね…魚介豚骨ラーメン大盛りとライス!
新二『俺は魚介豚骨チャーシュー麺のAセット。
麺大盛り。』
松ちゃんは餃子とチャーハン付けた!
新二『高校生の頃なんていくらでもはいるだろ?』
俺は頷く、
『でも、高いからたまにしか行けない。』
新二『俺は金あるから毎日のようにあいつらと帰り寄ってたわ。
ゲーセン寄ってラーメンみたいな感じ。』
『いいなぁ。』
なんだ友だち居たんだ。
松ちゃんは寂しそうに、
『まぁ友だちだと思ってたのは俺だけだったんだけどな…。』
ボソボソ語られるのは何処かで聞いたことあるような話。
取り巻きが居て、毎回一緒に遊んで奢ってたけど…裏でどう思ってるか聞いたって話し。
新二『お!ラーメン来た来た!』
『うわぁ!』
ずるずる!ずるずる!
ラーメンを啜る音だけが響く。
鼻に抜ける香り、スープの旨み!麺シコシコ!
うっま!
もう俺も松ちゃんもその話しはしない。
新二『まあまあだな?』
『美味い!』
めっちゃ美味いでしょ?
まあまあとは言いつつ松ちゃんもうまそうに食べる。
ラーメンは全てを洗い流す…!
しかし食べ終えてもさっきの話の残滓がこびりついて離れない。
俺はちがうよ!…言えるか。
俺だって香椎さんを解放するって下心で側に居る…。
それっぽいことはいくらでも言える。
…でもそれは違う。
薄っぺらい同情なんて俺なら要らない。
香椎さんを解放して欲しい。ただそれだけだけど…俺は松ちゃんをアニキと思い定めているからには口でなく行動で示すべきなんだ。
…しかもラーメン奢りだったしね。
心に寄り添おうとした香椎さんの行動はきっと無駄じゃ無い。
香椎さんが話し聞いてたから今みたいに人に話す事が出来るようになったんじゃないか?って俺は思う。
…ただ香椎さん自分の魅力に無頓着すぎ!
こんな綺麗で可愛い女子高生が自分のこと理解してくれて寄り添ったら好きなっちゃうでしょ!手放したくないでしょ!
そんなこと思いながら松ちゃんちで続き見て、23時に俺は帰る。
新二『じゃ…木曜?』
『木曜はバイトなんで金曜日は?』
新二『バイトしてんだ?じゃ金曜な。』
『松ちゃんまたね!』
松ちゃんは苦笑いして『松ちゃん』を受け入れた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます