第150話 立花家のクリスマス
色々あったけど香椎家訪問を終えた俺はクタクタですぐに寝ちゃった。
明けて翌日、クリスマスイブ。
昨日香椎さんには、
香椎『明日はヒマ無い?ちょっとだけお出かけする?』
承『明日は妹、弟とクリスマス飾り付け大会なんだよ!』
香椎『そっかあ、残念。初詣は行くのかな?』
承『行くけど?うちの近所のちっちゃい神社だよ?』
香椎『え?あの何にも無い神社?』
承『そうそう、日が昇る頃爺と望と毎年行ってんの。うち爺の爺の代から行ってるから。4代続いてるんだよ。神社の中では厳つい爺が酒盛りしてるのw』
って、やりとりがあって年始の初詣の予定まで聞かれたけど香椎さんは流石余裕あるよね受験生なのに違う。
昨日の事を思い出してると、
ひー『にいちゃあ!飾り作って!』
承『はいはい、ほらこれな?』
俺は折り紙切って輪っか作って鎖みたいにして繋げるアレを量産している。
それをひーちゃんがキャッキャ笑いながらあちこちにぶら下げる。
望は100均で買ってきたゼリーみたいなシール?のクリスマスバージョンを窓ガラスにペタペタ貼ってる。
このハイペースでやったらすぐ終わるんじゃ無いか?
予想通り、10:30位には飾り付けは終わった。
母さんはケーキ焼きながら色々下ごしらえ。
時々母さんと話しながら3兄弟でまったり。
母さんは料理あるから3人で遊んでて?と言われる。
望が光に聞く、
望『昨日は何してみんなと遊んだの?』
光『ひつじごっこ!』
何それ?おもしろいの?
光の説明だと、
みんな羊になっちゃった。先生が何か指示するまではメーとかメェーとか鳴いて草食べるフリをして遊ぶ。
時々掃除終わった牧場に放牧されるらしい。
それ面白い?中学生の感性では退屈で仕方ない。
放牧中先生は楽だろうし、掃除終わったら放牧地が変わるのも園の都合っていうか?便利な遊びじゃ無い?って思う。
光『おもしろかったよ!
そうだ!ひつじごっこみんなでしようよ!』
羊ごっこの楽しさを思い出した3歳児は超乗り気、
中学生にもなってクリスマスイブに羊ごっこはしたく無い…。
承『…兄ちゃん本読んでるから…?』
望?お前はどうする?
俺が断ると光はちょっとしょんぼりしながら望の方を向く。
望『兄ちゃんは冷たいねー?
良いよ!姉ちゃんとしよう?』
光『いいの!わーい!』
望は光を溺愛してるから大体付き合いが良いのは望なんだよね。
クリスマスイブバージョンの居間でソファーをずらして小さい四角いスペースを作る。牧場かな?
光は言った、
光『じゃあ、ぼくひつじ!めー!メェー!』
四つん這いになって羊になりきる3歳児。かわええ。
めー、めーって鳴いてる。
時々草を食べるふり。
ちょうど薄い茶色のモコモコしたセーター着てる。これ元々は羊じゃない?
ひーちゃんは目で望を誘う、ねえちゃあも!
光かわええってデレデレしてた望。望は基本ひーちゃんにメロメロ。
しかし、望は言った。
望『じゃあ、あたし「悪い飼い主」するー!』
?!
何それ?羊ごっこに悪い飼い主っている?
すると望は玄関から持ってきた靴べらでひーちゃんを叩き始めた(もちろん軽く、全然痛く無いようにね?)
ペシ!ペシ!
望『がっはっは!俺は悪い飼い主だー!
意味も無いのに羊をたたくぞー!』
ペシ!ペシ!
全然痛くは無さそうなんだけど…。
光『めー!!メェー!!』
悲しそうに嬉しそうに鳴くひーちゃん羊。
ノリノリ。
もちろん悪い飼い主はもっとノリノリである。
望『がっはっは!意味もないのに牧場狭くしてやるー!』
ソファーをずらして牧場を狭くして窮屈にする望。
それに対し哀れな鳴き声をあげるひーちゃん羊。
これはどうゆう遊びなんだろう?
本より明らかに面白い。
望『がっはっは!意味も無いのにこの寒い時期にわざわざ毛を刈ってやるぞー!』
望はニヤニヤしながらひーちゃんのセーターを脱がす。
メェー!メェー!悲しい鳴き声を上げながらひーちゃん羊は望に従順にバンザイさせられセーターを脱がされ、下着の白いインナーシャツになった。
室内は暖かいとはいえ、もう12月。
セーターを脱がして遊んで風邪でも引いたら…。
兄はついつい口を出しちゃう。
承『望、ひーちゃんのセーターまでぬがすn…』
望光『邪魔しないで!』
なんで俺怒られた?
光『にいちゃあはひつじごっこしてくれなかったでしょ!』
ひーちゃんは根に持ってた。
望『ひーちゃんをいじめて良いのはあたしだけなの!』
承『お、おう。そっかあ。』
この後しばらく、いじわるな飼い主の横暴は続き(別に痛い事や嫌な事はしてない)望はニヤニヤ、ひーちゃんは哀れな鳴き声の羊を熱演してた。
俺はまだよくわからないけどひょっとしたら世の中のSMってこんな感じの遊びが起源だったりして?って思った。
⬜︎ ⬜︎ ⬜︎
昼食食べて、母さんが買い忘れた物があると言う。
駅前のスーパーまでお使いに行く。ひーちゃんの散歩を兼ねて。
西エリアを通って駅前エリアまで片道15分位。
望は母さんの手伝い中だから兄弟ふたり手を繋いで。
買い物帰りばったり、小幡さんに会う。
承『あ、小幡さん?』
小幡『承くん?』
承『?!なんで名前呼び?』
小幡『玲奈がよくそう呼ぶから感染ってしまったわ。
…ショタ!』
承『人の弟ショタ言うな!』
小幡『可愛い!この子が噂の弟くん?
可愛い!可愛いわ!抱っこしても良い?!』
ひーちゃんは可愛いだろう?俺ドヤ顔!
小幡さんもスーパー帰りで西エリアまでは道一緒。
だらだら話しながら一緒に帰る。
結構小幡さんと話す機会って多いんだよ。
大体香椎さん絡み、あと望繋がり。
小幡さんから香椎さんと望が仲直させてくれてありがとって微笑まれた。
小幡さんは金髪から戻すどさくさに髪色を明るく今までより髪をふんわりさせた。
文化祭以降人当たりが柔らかくなり余裕あるのが見て取れる。
元々クールな美人だけど柔らかさと笑顔が増えた事で一気に人気が急上昇してる。
ところで…って前置きから香椎さんにケーキと唐揚げ作ってもらえるんだって?っていたずらっぽく聞かれた。
小幡さんって普段固いからこうゆう不意に柔らかいとこ見せられるとドキッとしちゃう。
でも親友ポジのこの娘に隠し事しても無駄なので多少ぼかしつつ昨日の事を説明する。
小幡『あー!玲奈のパパは娘命!ってパパだからねー。
でも玲奈はケーキ美味しいって食べてもらえたのか!ふたりとも良かったね?』
小幡さんはクスッと笑う。笑ったあと、目が吊り上がる。
小幡『話し変わるけど、青井に承くんや宏介くんアドバイスしてない?』
してる。だって青井は小幡さんが好きなんだもん。
でもあいつ不器用だから…宏介が主にアドバイスしてるの。宏介は彼女持ちだから女の子のことなら宏介に聞け!って感じ。
で、俺は香椎さんの所見を青井に伝えてる。
小幡『最近、段々アプローチが適切になってきて…ドキドキしちゃう事だってあったりして…。
とにかくやめてよね!』
承『はは!適切なんだね!』
小幡『あ、絶対アドバイスしてるでしょ?』
照れ隠しに軽く怒ったぞ?って態度に、
それまで黙って聞いてたひーちゃんが言った、
光『つんでれちゃん?なかよくしたらいいんだよ?』
小幡『はい?ツンデレちゃんって私?』
俺は一応説明する。
香椎さんは菓子ちゃん、伊勢さんはおっぱいちゃんってあだ名つけてるって。
小幡『成実…おっぱいちゃんはちょっと…ツンデレちゃんでいいか?』
最後に小幡さんはもう一回ひーちゃんを抱っこしてばいばいした。
承『ひーちゃんは綺麗なお姉さんたちにモテモテだな?』
光『ぼくおねえちゃんたちだいすきだなー!』
そう言いながら、ひーちゃんは次に会うお姉さんに大ハマりするのだがそれはまた別の話。
⬜︎ ⬜︎ ⬜︎ ⬜︎
足りない物も買ってきて準備も終わり、夜になる。
父さんも帰ってきて、いざクリスマス!
3歳児ひーちゃんは物心ついて初クリスマス!もうはしゃいではしゃいで大変!
俺も唐揚げでご飯3杯食べちゃう!
ケーキも母さんのケーキらしくボリュームあって美味しいの!
望も俺もひーちゃんが騒ぐ姿が愛おしい、それが嬉しくて楽しくて大騒ぎ!
両親、爺婆もそれを見て楽しそう!
ひーちゃんは騒ぎすぎて早々に寝ちゃった。
俺には高校生になるから腕時計、望は欲しがってた新しいラケット。
俺たちは直接両親から手渡し。
ひーちゃんは絵本3冊セット。
速攻寝落ちしたひーちゃんの枕元に置かれる。
うちは両親から以外にも小さなプレゼントのやりとりがある。
俺から望に、俺と望からひーちゃんに。
俺は望に欲しがってたスポーツブランドのリストバンド。
俺はひーちゃんにクリスマスシーズンに売ってるお菓子の入ったブーツと大好きなピカチユウのぬいぐるみ。望もひーにお菓子ブーツ。
去年お菓子ブーツ履いて喜んでたからついつい今年もそれ。
爺婆もお菓子ブーツ?え?両親もお菓子ブーツ?
寝てるひーちゃんの枕元に家族全員がお菓子ブーツを4足とぬいぐるみを持ち寄るお菓子な、いやおかしな光景。
みんなひーちゃんの枕元に置いて、寝息を立てずに眠るひーちゃんはとんでもなく縁起悪いけどまるで亡くなった子のお供物みたいって一瞬笑いかけて…
でも、笑えない。心臓に爆弾を抱えてるひーちゃんに何かある可能性はそこそこあるんだって聞かされてるから。
来年もクリスマス楽しもうね?ひー?
家族とのクリスマス、俺は最高に嬉しく、楽しい。
次の日の朝、枕元の絵本3冊とお菓子ブーツとぬいぐるみに喜ぶひーちゃん!
我が家の居間に居るひーちゃんは一日中バラバラなお菓子ブーツを履いていたんだよ。
⬜︎ ⬜︎ ⬜︎ ⬜︎
香椎家のクリスマス
朝起きると、娘たちのベッドの枕元には、theプレゼントって感じの包装された箱があり、二人とも起きる時間は違うが寝ぼけ眼で開けると、ブランド品の超高級腕時計が入っていた。
玲奈『パパ!こんな良い時計だと学校にしていけないよ!』
姉『こんなのしていったら同性にも異性にも距離おかれるわ!』
今年高校生になるから!大学生になるから!
奮発しすぎて使い所が無い腕時計。
香椎パパはそうゆうパパだった。
パパ『今年は娘たちからのプレゼントは無いのかー…。』
ママ『パパが悪いわよー?』
※姉妹で手袋を用意してたが怜奈は承に回した。姉も父に腹を立てて賛同したのだ。
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