探偵所はつづかない
巴ミロク
第0話 おねぼうさん
朝だ、完全なる朝だ、いや、 一周回って明るすぎる夜なのかもしれない。
そうだそうに違いない。それに俺は今、お布団という恋人に強く抱かれている
から体を起こすことは不可能なのだ。ふはははは。どうだ見たか!これが世間様の流
れに逆らおうとする人間の姿なのだー! ドンッッッ!
「朝だぞ、起きろ」
「うん、ノックしてノック、セナ君びっくりしちゃう。あと、ドア壊れちゃうから、
やさしくね。それとね、今日は稀にみる明るすぎて朝だと勘違いしてしまう夜だ!異
論は認めないこともない」
「その話を聞くのはもう飽きた、さっさと起きろ」
そう言ってとうじ君がグイグイと掛け布団を剥がしてくる。馬鹿力すぎて布団が悲鳴
を上げている。
「いーやーだー。もっと寝るの、せな君はお布団と結婚して末永く幸せに眠る!」
そう言うと、やっと離してくれてほっとしたのも束の間、とうじ君が水がたっぷり入
ったバケツを抱えてきた。
「仕方がない、これは最終手段だったんが」
おっと、これは嫌な予感しかしないな。と、まだ霞む目をごしごしと擦る
「とうじ君、一旦落ち着こうよとうじ君、とうじ君?やめて、やめよう、やめてください」
「セナさん、冷たい水で顔を洗うと目が覚める」
にやりと笑うとうじに思わず顔をしかめるせな。
「うん知ってるよ、でもそのバケツの持ち方は僕に掛ける気だろう。手でパシャパシャするだけの量で良いのだよ」
「ん?」
「ん?じゃないよ、寝起き水浴びって体に良くないと思うからさ、やめよ。そっとバケツを床に置いて両手を挙げよう」
「せなさん」
「な、なあに」
「Good morning」
「ぎゃーーーーーーーーーーーー!!」
バッシャーーーーン!!! 顔だけでなく体にも水がかかる したたるどころの騒ぎじゃない。 ドンッッッ!
「なんなんだ貴様ら、朝から騒がしい!ご近所迷惑だぞ!」
あーあ、まためんどいのが来たなと、あからさまに嫌な顔をするセナのことはフル無視して会話が進む。
「すみませんはるかさん、セナさんを起こしていたんです」
「は、はるちゃん助けて。とうじ君がぼくのこといじめるんだよ」
猫なで声ではるかに救いを求めるがそれもむなしく。
「自業自得だ、セナ。どうせまたうじうじとして駄々をこねたんだろ。それからとうじ、おまえもおまえだ。床もベットもびしょびしょじゃないか、ちゃんと片付けろよ」
ドンッッッ! 力ずよく閉められた扉に申し訳なく思っていなくもない。
「もー、体びしょびしょなんだけど!それにはるちゃんのこと怒らせた」
「早く着替えて、朝ごはんを食べよう。腹が減った」
「無視しないでよ、もー。 分かりました、セナ君はとってもいい子なのでおきがえします。先行ってて」
「待ってる。一緒に行きたい」
なんだってーーーーーーーーー! 急に真顔でそういうこと言う?セナ君
萌え死にしちゃうんだけど。嬉しいでも顔には絶対ださない。恥ずかしいもん。
「あっそ、好きにしな。」
あーあ、こんなことになるならさっさと起きればよかった。
でも、さっぱりしたし寝ぐせも治ったし一石二鳥ってことにしといてやるか。
朝から騒がしい僕たちの生活、まだまだ始まったばかり。
続かない^-^ fin
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