実の姉と義理の妹、僕への束縛が激しすぎる件について

未知

第1話

 ピンポーン。

 家中に鳴り響く効果音。

 玄関に取り付けられた呼び鈴が鳴らされた音だった。

 誰かが僕の家に来訪したのだ。

「はいはい!!」

 妹の幼いながらも凛とした声が聞こえる。

 僕の部屋にいた妹が玄関に向かうのが視界の端にうつる。


 ガチャ。

 ドアが開いた音だ。

「あの~、詩音しおんくんはいますか?」

 訪れた主の可愛らしい声が聞こえた。

 無駄な抵抗と知りながら、縛られた手足で部屋のドアを開けようとする。

 ドンドン、キリキリ。

 ドアをたたく音と手錠の擦りつける音が無慈悲に鳴るだけだった。

「はぁー」

 溜息をつき、諦めを悟った。

 だから、僕は耳に神経を集中させて妹と会話を聞くことに専念した。


「えっと、どちら様ですか?」

 私は言った。

「あ、詩音くんと一緒にクラスの学級委員をしています。藍原あいはらななと言います。本日休んだ分の課題を持ってきました」

「そうでしたか。私は妹の衛藤さゆりです」

「詩音くんの妹さんでしたか。詩音君は大丈夫ですか?」

「はい。今朝は高熱を出していましたが現在は熱も下がりぐっすりと眠っています」

 さゆりは「よかったー」と言い、胸をなでおろす。

「こちらに課題が入っています」

手提げのようなものにファイルと何枚かのプリントが入っていた。

「わざわざありがとうございます。兄に渡しておきます……」

「詩音くんによろしくお伝えください。それではお邪魔しました」

 私は家に泥ネコの匂いが充満しないように、素早くドアを閉めた。

 泥ネコの匂いが少しでも家に残ってしまったら、お兄様の生命にかかわる。

 ちゃんと気を付けないとね!!

 あと念のために、貰った手提げの持ち手部分に女の指紋が残らないようにリビングにある除菌剤で入念に拭いた。

「私が悪い女からお兄様を守るね!!」

 お兄様の様子が心配だ。

 早く、戻らなければ。

 二階の奥にあるお兄様の部屋に向かった。

 部屋に入ると、猿ぐつわと手錠をしたお兄様が床に横たわっていた。

「ああっ、可哀想に。変な女のせいでお兄様は倒れてしまったのだわ」

 今、私が助けるね。

 私はお兄様をおこし、ベッドに移動させた。

「お兄様、私が悪い女を追い払ったんだよ。頑張ったでしょ」

 お兄様に抱きついた。抱きつくとお兄様の柔らかい温もりを感じる。

 あぁ、いますごく幸せ。

 スリスリと頬ずりをする。

 すべすべで柔らかい肌。

 一般の男性よりも小柄なお兄様。

 とてもとても可愛いらしく女の子のような顔立ち。

 お兄様、大好きだよ。

 私がずっとずっと守るよ。

 悪い女たちとお姉様から――

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