第8話
金銭がいらないという僕の言葉を受けて困惑するレゼ……そんな驚くことかね?ちょっと驚き過ぎじゃない?
もうこの驚き具合から呪文研究者の評価が押して知れるよね……金にがめつすぎるから嫌われるんだよ。
「まぁ、というわけでレゼの依頼が受けてあげる。対価はレゼが知っている限りの僕暗殺計画における内容。契約はこれで構わんね?」
「え、えぇ……大丈夫よ」
僕の言葉にレゼが躊躇いがちに頷く。
「そんな不安そうにしなくて大丈夫だよ……心配しなくとも後から何か取ろうとしたりしないから」
「……そ、それなら良いんだけど」
安心させるように僕がレゼに向かってそう言っても……彼女の顔から不安は取り除かれない。
うーん。でもまぁ、これは仕方ないかな。
「よし……それじゃあ問題解決のための作戦会議と行こうじゃないか。まずはお互いに知っている情報を精査するところからだね」
「そう……そうね。まずはそこからよね。何をするにしても」
「とりあえず放課後、僕のお店の方に来て作戦会議と情報精査かな?僕のお店の地下は結構広くて作戦会議とかに向いているんだよね」
「なるほど……流石は呪文研究者。自身の店に色々なものを完備しているのね」
「まぁ、引きこもりがちな呪文研究者にとって自身の研究所は自身の城だしね。まぁ、凝りもするよ」
金持ちの城なのだ……当然凝るし、そもそも引きこもりがちな呪文研究者が大金を注ぎ込める場所など自身の研究所くらいだ。
呪文研究者は信じられないほど豪勢な研究所を一つ……なんなら二つ、三つと持っているものだ。
「なるほど……まぁ、金はあるものね」
「うん。そういうこと。僕だって他の呪文研究者ほどパッと見でド派手で巨大な研究所は持っていないけど、地下の広さに設備の充実さで言えば他の呪文研究と遜色ないほどの物を持っているんだよ」
「そんなところで色々と情報の精査が出来るってことは……かなり期待して良いのかしら」
「十二分に期待してくれていいよ。そろそろ休み時間の方も終わるし、教室の方に戻ろうか」
「えぇ。そうね」
「それじゃあ、放課後に僕のお店に来てね……場所はわかるよね?」
「えぇ……位置自体はうちの使用人がわかるだろうし、問題ないわ」
「それなら良かった……じゃあ、放課後に」
「えぇ」
僕とレゼは揃って同じ教室へと戻った。
「……なんか一旦別れるみたいな挨拶したけど教室までは同じなのよね」
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