第7話
「現在の呪文研究者の状況は貴方が一番わかっているでしょう?私の言葉を聞いてもそこまでの驚きはないのではないかと思うのだけどどうかしら?」
「確かにそうだね」
僕は一切言葉を飾らず、ド直球に告げてくるレゼの言葉に頷く。
呪文研究者の扱いのそれと言ったらもう酷いことだ……ゴキブリより嫌われていると言って良い。
そんな呪文研究者を殺そうと国が暗殺計画を立てていたとしても、もはや何も驚かない……マジで蛇蝎の如き嫌われ方だからな。
どれだけ過去の呪文研究者がヘイトを溜め込んだのか……。
「それで?これまだ自分に降りかかる災難の何もかもを力技でねじ伏せてきた我ら呪文研究者に対してどんな
「……ッ」
僕の言葉を聞き、レゼが言葉を詰まらせる。
「というより、レゼも大した情報を持っていないでしょ」
「うっ……」
そして、続く僕の言葉でレゼの勢いが完全に殺される。
「落ち目の貴族の娘がそんな詳しいことまで知っているわけがない……知っていたとしても計画の上澄みだけ……というか、普通に変えられる可能性の方が高いよね。計画も。君の知っている情報なんて何の役に立つと思う?」
「うぅ……」
レゼの差し出した対価。
それにどれだけの価値があるかを考えたとき、レゼには悪いがほとんどないと言うしかないだろう。
ただの貴族の娘でしかない子が僕を情報で釣ろうとするのはあまりにも無理がありすぎた。
「……そ、それじゃあ……わ、私の体でどうだろうか?私の見た目は客観的に見てかなり良い方でしっかりとした価値があると思うのだが……」
「要らないよ、間に合っている」
僕はレゼのその申し出を即断る。
嫌がる女の子を抱くのは僕の趣味じゃない……僕のことをちゃんと好いてくれる人か、性行為を割り切って考えられる子じゃないと嫌だ。
「……ッ、じゃ、じゃあッ!」
「まぁ、待てよ」
僕は焦りながら口を開くレゼをいったん手で制して止める。
「そもそもの話、僕はまだ最初の対価で依頼を受けるか受けないかの答えを言っていないよ?」
「えっ……」
「最初の対価で君の依頼を受け入れてあげるよ」
「えっ!?良いの!?」
僕の言葉を聞いたレゼが驚きの声を上げる。
「というか、呪文研究者がケチなのは染みついたただの慣習。ケチじゃなきゃ周りから色々言われるから僕もちゃんと対価を取っているだけであって、僕個人としてはそんな色々要らないんよね。特許料とか今の半分どころか十分の一以下で良い。特許料以外にも収入源あるし」
「えっ……?」
僕の素直な本音を聞いたレゼはわけがわからないと言ったような表情と共に困惑の声を上げた。
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