第21話
ラレンシア公国。
国力も、特産品も、主要産業も、優秀な人材も……そのほとんどが乏しい小国へと僕とリスタはやってきていた。
「この国には全然呪文研究者の影響がないから……ここで僕が呪文研究者だと明かしてもヘイトが少なそうだね」
「それが良いことなのかどうかは微妙なところですけどね……」
「それでローストビーフだよね?どこのお店が良いかなぁ?」
「どうでしょう……?吟遊詩人もお店の名前までは上げていませんでしたから、どこのお店が良いわかりません」
「こう言っちゃ悪いけど、この国にローストビーフ以外誇れるものもなさそうだし、どこかの高級店に入ればあるかな……」
「……」
僕はリスタを連れて王都を歩き、街の看板を見て回る……今日も翻訳魔法が大活躍中である。
「んー、一番高級そうなのはここかな?」
パッと見のお店の見た目より高級だと判断したお店の前に僕は立つ……看板より見えるお店の名前より飲食店っぽそう。
「リスタ。このお店に入って、ここが飲食店であるかどうかとローストビーフを売っているかどうか確認してきてくれない?」
「……え?なんでです?」
「もし違ったとき、どうするんだよ。僕は割と人見知り入っているからいきなり知らないお店に入って色々聞いたりするの苦手なの!」
基本的に呪文研究者は周りの人から忌避させるので、あまり向こうから近づいてくる人もいないし、こちらから側から話しかけるのも微妙な感じになるせいで人との交流があまり僕にはないのだ。
普段の会話は最低限の近所付き合いだけ……異世界に来てから人見知りを発症したのだ、僕は。
話そうと覚えば話せるし……人見知りも我慢しようと思えばできるが、こんな場面で我慢する必要もないのだ。
リスタに任せる。
「……まぁ、分かりました」
僕の言葉に頷いたリスタがお店の中に確認しに行った。
■■■■■
ちゃんとこのお店は飲食店で、ローストビーフも売っていた。
山わさびソース仕立てのローストビーフサンドとても美味しかった。
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