第7話
リスタも通う王立魔法学園。
優れたる個性さえあれば庶民でも入ることの出来るこの学園へと転入するため、一般庶民の出ながらも呪文研究者として活躍し、この国に対して格安で特許を販売しているという他とは格別した実績を引っ提げて転入届を出して僕は王立魔法学園へと呼び出され、校長を含めた学校のお偉いさんと向かい合って座っていた。
「えっと……この転入届は本気でしょうか?」
「本気です」
おずおずと切り出される校長先生の言葉に対して僕は即答する。
「この学園で今更学ぶことなどないと思われるのですが……?」
「魔法と言うのも呪文があれば発動するようなものではございません。呪文を扱うための魔力量、魔力操作技術があってこそ魔法が発動し、戦闘技術があって初めて戦闘を極めたと言えるでしょう。呪文の開発だけでは足りないのです」
「で、ですが……」
「それだけではございません。所詮、私は庶民の出です。基礎的な学力、知識、礼儀作法が欠けています。学園でそのようなところも学びたいと思っています」
僕は校長先生に対して学園に入りたいという強い意志を見せる。
「……そ、それ。本当に必要なことでしょうか?」
「必要でしょう。自分は貴族の方々とも商売する職種ですから。知識があって困るものはないと言えます……何でしょうか?もしかして自分の実績では学園に入るに値するだけの能力がないということでしょうか?それでしたら自分が生まれながらに持っている無限とも言える魔力量もアピールポイントの一つとして」
「いえいえ!決して実績が足りないと言うわけではございませんとも!えぇ!」
僕の言葉を校長先生が力強く否定する……この学園もまた、国と同様に結構魔法の呪文の特許を僕に頼っている。
僕を相手にするのはかなりやりにくいだろう。
「それなら良かったです。でしたら僕が学園へと入学することに対しての不満はありませんね?」
「いや……えっと……その」
「え?何か問題があるのでしょうか?」
「……」
脂汗を流す校長先生を僕は笑顔で眺める……別に圧をかけているわけではないよ?
「あるというのであればそれが一体どのような点なのか。具体的に教えて欲しいのですが?」
「……いえ、ありませんとも」
「それなら良かったです。それでしたら自分の学園入学も?」
「……認めましょう。転入届、しかと受け取りました。転入の手続きをしておきましょう」
「ありがとうございます」
僕はその校長先生の言葉を聞いて笑顔を浮かべ、満足げに頷いたのだった。
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