6 Side春菜

 やっと。やっと、あの小野田とかいうやつが湊くんのそばからいなくなった。


 そのおかげで、私も彼に近づく事ができる様になってきて。


 ついに、彼も交えた、六人ではあるけれど彼と一緒に出かけることができたのだ。


「で、?彼は、前からの知り合いだったことをほんとに覚えてないの?」


 この人は、天見由佳。私が、高校に入ってから仲良くなった友達で、私の一番の親友と言えるだろう。


「それがさぁ。マージで覚えてないっぽいの。やばくない?小学校の時だよ?」


「……まぁさ、春菜だって小学校の時の友達、忘れてる子結構いるでしょ?」


「……それはそうだけど…。」


 たしかに、小学校の時は活発というわけではなかったから、印象が薄く、覚えてもらってないのかもしれない。


「だから、彼だって忘れてただけなんだよー!」


「けど、あんなに印象的な助け方をした女の子を忘れるかな?」


 ……彼は、小学校の低学年のとき、ジャングルジムから誤って落ちてしまった私の下敷きみたいになって助けてくれたのだ。


 結局、彼も私も軽症で済んだけど、今でも彼には申し訳ないことをしたと思ってるし、感謝してる。


 そんな人助けを、すすんでやっている姿に惹かれたんだっけなぁ…。


「だって春菜、その後恥ずかしさで全然喋らなかったんでしょ?」


「……ゔっ。だからか。」


「たぶんね。なかなか思い出してくれなそうだったら、もう自分から言っちゃえば?」


「っていうかそもそも、彼、既に新しい彼女がいるんだよねぇ…。」


「え。何彼めちゃモテてるじゃん。」


 ……彼女は小野田なんかとは比べ物にならないくらい優しい雰囲気がでてるけど、どうしても人の彼氏を取ろうって気にはならないんだよねぇ…優しい雰囲気が出てるからなおさら。


「そうそう。だからさ、自分の気持ちを伝えるだけでもしたいなって思うんだけど。」


「……そうなのか。行ってこーい!!当たって砕けろだよ!!」


「けど。勇気が…。なので、アドバイスをくださいっ!!!」


 ……由佳は、既に彼氏がいる。なんでも、由佳の方から告白したそうで。


 だから、私にも心構えを教えてもらおうと思って今日いるんだよね。


「そうだねぇ…。さっき言ったけど、当たって砕けろだよ!!気持ちを伝えるだけなんだったら、ゆる~く行きなぁ…。」


「そっか。そうだね。私、頑張ってくるわ。」


「う〜ん。何か会っても私が慰めてあげるよぉ…。」


「ありがと!!」


 彼には、もう彼女がいるんだから、気持ちを伝えるだけ。そんな、気負う必要はないのかな。


 それに、何か会っても、由佳が助けてくれるし。


 さぁ!頑張るぞぉ!!




 _______




 明日も2話投稿!


 明後日で完結!


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