6 もう貴方は私のもの
陽菜の家に初めて行ってから一週間。あいつから話しかけられても、どうにか吐き気を抑えられるくらいには慣れた。もうニコニコと笑顔を貼り付けるのも大変なんだがな…
けど、あいつは一昨日も知らねぇ男と会ってて、また一緒にホテルに行っていた。
まだ、このことが嘘であってほしいという気持ちがあって、証拠が増えていくたびに辛くなったりもするが、証拠を残してくれるだけありがたいと思うことにした。
それに、今日は久しぶりに陽菜の家に行く日なのだ。証拠の共有と言うことで、普通にメッセージで送ればいいといったのだが、彼女が私の家に来てくれと言って聞かなかった。
「じゃあ、この一週間で集まった証拠を確認しましょうか。」
「……おう。俺は、一昨日に1回だけ。先週とは違う男とホテルに入って行ってたのを撮ったぞ。」
「……そうですか。私は、2回。5日前と、3日前です。これ、写真を見る感じ、全員別の男ですね。」
うっ……また吐き気が……俺、もう吹っ切れたんじゃなかったのか?
「湊さん?大丈夫ですか?また、泣いちゃってますけど……」
あぁ……やっぱり辛いなぁ…。ずーっと好きだったのに。なんで、どうしてあいつは俺以外の男友達とホテルに行ったのだろうか。
どうして、あいつはこんなにいろんな男と肉体関係を持っているのに俺と付き合ったのだろうか。
なんで、俺と付き合ったのにこんなことを続けているのだろうか。
もう吹っ切れたはずなのに、どうして俺はこんなにも泣いてしまっているのだろうか。
「湊さん?一旦やめにしませんか?」
「………ありがとう」
今は一旦落ち着こう。まだ浮気されたってのを信じられてないんだ。
これだけの証拠が揃ったとしても、信じたくないんだ。
あんな奴に気持ちはない、表面上はないつもりだけど、多分まだ残ってるんだろうな。
……あぁ。なんか眠くなってきた。しんどすぎたんだよ。今までが。
「陽菜……もう眠いや……」
「いいですよ。寝ちゃってください。いい具合に起こしますから。」
最近、本当にしばらく寝れてないんだ。あぁ…人が隣にいてくれるっていいな。おやすみ……
_______
……彼が寝ている。しかも、私の部屋で。あぁ。いたずらしたくなっちゃう。
今日の話を聞いてた感じ、多分彼はまだ小野田さんに未練があるんでしょうね。
このまま話を聞いて私に気持ちが向いてくれることを期待してたけど、時間がかかりそう。
なら、もういっそのこと既成事実を作ってしまうってのはどうだろう。
彼が小野田さんを寝取られたように、私が彼を寝取ってあげるの。
そしたら、彼は正真正銘わたしのものになるんじゃないかな?
なんか、段々下腹部が熱くなってきちゃった。こんなことはだめだってわかってるのに…
一回だけ、一回だけだから、一人でするから…
______
彼が寝てから2時間。もう夕方の6時くらいになってきちゃったし、そろそろ彼のことを起こして、計画を実行しないと。
一人で我慢しようって思ったけど、無理だった。
「湊さん?起きてください。もう6時です。」
「あぁ…そうか。悪いな。寝ちゃって。」
「……いいんですよ。」
そう言って、今起きた彼をもう一度ベットに押し倒す。
「だって、もう一回、今度は私と寝てもらうんですから。」
「えっ…?何言ってるんだ…?」
「だって、湊さん、まだ小野田さんに未練がありそうなんですもん。私は、こんなにもあなたのことが好きなのに。」
そう言い、彼にキスをする。
「あなたが彼女を寝取られたように、あなたが私に寝取られて、小野田さんにやり返せばいいんですよ。」
「あいつに…やり返す…」
「そうです。あなたがやられて辛かったこと、やり返してあげるんです。」
「あは…そうだな…やり返してやればいいんだァ……」
「さぁ、もう今日から、貴方は私のものですよ。一緒にやり返すんです。」
「……そうだな…もう陽菜の好きにしちゃっていいよ……」
「じゃあ、遠慮なく行きますね。」
この日のことを、私は一生忘れないだろう。
なぜなら、この日は彼が私のものになった日なのだから。
_______
ついに、湊、寝取られました。
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明日からは、また一話ずつの投稿です。夜8時。ストックが切れるまで、頑張りますので!
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