第22話 気にすんナ!頑張りで取り戻セ!

雲平は、時間短縮の為に4人で風呂に入った事を告げられると、真っ赤になって「ダメだって」と言うが、少しすると湯船に身体を任せてため息をつくと、「はぁ〜、今日は疲れた」と言う。


疲れを口にしなかった先ほどまでとは雲泥の差で安心してしまう。


「まったく、疲れたら言うんだゾ」

「さっきまで無反応で、疲れていないなんて言うんダ」


「ごめん。ありがとうアチャンメ、キャメラル」

「礼は姫様に言え」

「私達じゃダメだったからナ」


雲平が「セムラさん?」と言ってセムラを見ると、真っ赤になって胸を隠している。


「クモヒラ、私の二の腕を触レ」

キャメラルに言われて照れながら触った雲平に、キャメラルは「スベスベか?」と聞くと、雲平は「うん。でも傷だらけで可哀想だね」と返してくる。


キャメラルはそのままアチャンメの腕にも触らせると同じコメントを返す。


最後にセムラの腕に触れると「うわぁ、スベスベだ」と驚きを口にしているのだが、手は止まらずにセムラの二の腕を揉み続けている。


「癖付いたナ」

「虜だナ」


ここで、雲平の心が初の戦闘に耐えきれずに疲れ切っていて、風呂と食事とセムラの二の腕に癒されて元に戻れた事を説明する。


感謝を告げた雲平にアチャンメが、「気にすんナ!頑張りで取り戻セ!」と言って雲平に抱きつく。


「わぁ!?アチャンメ!?」

「クモヒラは私達じゃペタンコだから、喜ばなかったんだゾ」


そう言われても真っ赤で「ダメだよアチャンメ!しっかり柔らかいし、腕に当たる!」と慌てる雲平に、キャメラルも抱きついて「なんだ?クモヒラは私とアチャンメにも女を感じてくれるのか?嬉しいゾ」と喜ぶ、雲平だけは「ダメだよ」と慌てるが、セムラの二の腕だけは離さなかった。


風呂を出て着替えを済ませると、残りの食事を済ませて先に進む。


「クモヒラ、かなりギリギリだから私とキャメラルが索敵と迎撃を担当する。クモヒラは姫様を抱っこして走れ。身体強化の能力が有ればできるよナ?」

雲平からすればおそらく出来るが、問題はセムラを抱く事で、風呂で見てしまったセムラの胸やスベスベな二の腕を目の前に冷静でいられるかが問題だったが、それを見抜いたキャメラルが、「尻くらいなら触っても許して貰えるゾ!喜べクモヒラ!」と言ってしまう。


真っ赤になる雲平とセムラだったが、真顔になったアチャンメは「姫様、多分この旅路にクモヒラは必要だし、クモヒラが自分を見失うと戦争が回避できないから、冗談ではなく受け入れてやってくれ」と言う。


セムラは真面目な顔になると、「わかりました!恥ずかしいですが雲平さんなら平気です!さあ腕でもお尻でも触ってください!」と言って両手を広げる。


雲平が真っ赤になって「セムラさん!!」と言って慌てる横で、アチャンメが「真面目だなぁクモヒラ」と言い、キャメラルが「喜べばいいのにナ。まあ戦争回避したらアチャンメと私が尻でも胸でも触らせてやるゾ!」と言って笑う。


「アチャンメ!?キャメラル!?ダメだよ!女の子なんだから自分を大事にしてよ!」

「よし、調子が出てきたナ!行くぞ!」


雲平は「う…失礼します」と言い、セムラは「はい!どうぞ!」と言って雲平に抱かされる。


雲平は、身体強化で馬車が本気で走るとき並みの速度で、レーゼの城を目指す。



恐らくチュイール撃破の情報は回っているのだろう。

兵士達が行く手を阻むが、アチャンメとキャメラルは「ゾロゾロと…うっぜぇ」「全殺すぞアチャンメぇっ!」と言って切り刻み、雲平はその隙に肉の壁を突破すると、「アチャンメ!キャメラル!こっちに来て!」と指示を出して、サンダーウェイブと言って雷を頭上から落として兵達を壊滅させると、また城に向かって走り出す。


走りながらセムラが「雲平さん、お心は平気ですか?腕を触りますか?」と聞いてくるので雲平は「う…」と照れたが、「失礼します」と言ってセムラの二の腕をこれでもかと揉み、セムラも揉まれているのは腕なのにはしたない声を上げていた。


ダラダラと休憩を挟むのではなく、一気に進んで一気に休む作戦に切り替えて、街では食糧の調達に努めて人気のない場所で休憩をする事にした、


「あ、クモヒラに一個言う事があった」

ハムをモリモリ食べてジュースで流し込んだキャメラルが、雲平を見て話し始める。


「何キャメラル?」

「クモヒラ、あの頭上の奴はサンダーウェイブじゃないゾ」


「え?でも出たよ?」

「昨日、チュイールに使ったのがサンダーフォール。さっきの兵士達に使ったのはサンダーボルトだヨ」


雲平は名前の違いが問題かを気にしたが、アチャンメからは「サンダーウェイブだと思って、サンダーボルトだと流れ弾の心配があるから、キチンと名前は名乗ってクレ」と言われて「成程」と思っていた。

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