幸慾の果て

若田 神奈

プロローグ

 私は、そこそこ楽しい人生を過ごしてきた。



 小学生の時はよく覚えていないが……、中学はバレーボールに打ち込み、辛いこともあったが、キャプテンになって仲間とも頑張ってきた。高校でもバレーボールに打ち込み、いろいろあって、再びキャプテンに選ばれ、仲間とも頑張ってきた。とにかく、中高はバレーボールに打ち込み楽しんだ。



 私自身が言うものではないが、中高はそこそこモテた。6回ほど男子から告白されたが、私はその想いにこたえることはできなかった。そもそも、そういうのに興味がなかった。だから、告白に対して何も感じず、私は、思いのままに自由に過ごすことができた。



 しかし、大学生になって突然焦りだした。今まで告白を断ってきたのに恋愛経験が乏しいことに気付いた。でも、私に告白する男性は途切れることはなかった。何人かの男と付き合ったが、どれも3ヶ月以上は続かなかった。理由は、私自身がそういう気持ちになれなかった。そんな事がありつつ、大学の講義とバイトの日々を続けていると大学3回生になっていた。



 大学生になって、彼氏がいなかった初めての年だった。でも、いつの頃から、私には気心が知れる人ができていた。趣味も合い、会話も弾み、気が付いたら隣にいて、私の気持ちを理解してくれる存在だと思った。だから、私は彼をデートに誘った。その後、何度もデートに誘ったり、誘ってくれた。お互いの気持ちが少しずつ近づいていくことを感じていった。



 そして、私たちは付き合った。すると、私は彼に対して、今までなかった感情が込み上げてきた。彼にちょっと甘えてみたり、やきもちを焼いたり、彼に対する様々な感情や思いが私の中で巡るようになっていった。



 そんな私を彼は包むように受け止めてくれた。私は本当に嬉しかったし、幸せだった。彼に対する私の気持ちは好きな人から大切な人へと徐々に変わっていった。



 大学を卒業してから、約1年が過ぎ、私たちは結婚した。新婚生活は、お互い仕事が忙しく、あまりスキンシップは取れなかった。でも、それから約1年を過ぎ、何か月か経った頃、私の中には新しい命が宿っていた。

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