第37話「アリスへの挑戦状」
第三十七話「アリスへの挑戦状」
―学園中庭
「私と決闘がしたいって?」
「そろそろ頃合いかなぁと思いまして」
ここは学園中庭、乙女達が集う百合の花園。
そして魔女達の決闘の場でもある。
詩音は最強の魔女になる為に最終目標である天の魔女アリスに決闘を申し出た。
「時期早々じゃないかしら?あなたの実力じゃあ・・・」
「私何でも極めないと気が済まないんです。魔術もね」
「しょうがないわね・・・稲妻よ!」
アリスが天を指さした瞬間稲妻が詩音の手前に落ちる。
直撃していたら黒焦げになっていた所だろう。
「わざとはずしたのよ。わ・ざ・と」
「中々やるじゃない。さすが天の魔女」
「当てようと思ったら当てれるのよ。そら!」
「ちょ!?」
詩音の周囲に幾つもの稲妻が落ちて来る。
詩音がそれを避けている間にアリスが自身に稲妻を落としそれを剣に束ねる。
稲妻を纏った剣はかつて戦った雷の魔女イクリーサとは規模が違っていた。
そしてアリスが目にも止まらぬ速さで突っ込んでくる。
「氷剣よ!」
雷の剣に応対するように氷の剣を精製する詩音。
しかし詩音の氷剣は雷の剣によって叩き折られてしまった。
「雷はお終いよ。嵐よ!!」
今度は強力な竜巻が詩音を襲う。
「くっ、エクステンデッド!」
詩音はなんとか竜巻から逃れると、身体強化の魔術を自身にかけ、竜巻の周囲を高速で回り打ち消した。
「中々やるじゃないかしら。じゃあ・・・天よ!」
「!?」
詩音が驚くのも無理は無い。
稲妻、嵐、竜巻、大雨、ヒョウといったあらゆる天候が同時に渦を巻き詩音に襲い掛かってきたのだ。
その大規模な攻撃に詩音は耐えきる事ができなかった。
「くっ・・・私の負けなの?」
「例の魔術書は使わないのかしら?」
「冗談!」
「じゃあ降参してくれる?私忙しいの」
「分かり・・・ました」
こうして詩音の初めての敗北が決まった。
詩音は敗北の絶望に打ちひしがれていた。
これまで完璧を良しとしてきた詩音が負けた事はなかったのだ。
詩音の高いプライドは傷つけられていた。
早く魔術を極めなければと焦る詩音であった。
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