暴走編3

「佐藤さん今すぐ霧散しせなさい!」「霧散しなさい!聞いてますか?危険ですからやめなさい!」

 とテストの先生達が声をかけるが佐藤は止めない。

 いや止められないと言った方が正解だろう。一度魔力制御を失敗して霧散させるかの方法を取れば問題ないが、自分の魔力制御の許容量の倍を超えると、自分の力では止められないのだ。

 

 佐藤は暴走をして佐藤を中心として地震が起こり震度一くらいになっている。防壁を張っている先生達が佐藤をすっぽり覆うように防壁を張っていて、地震は起こっているが防壁内の魔力は無くなりつつあり、時間が経てば暴走が収まる。

 

 翔の場合の暴走は魔力制御の許容量倍までは集めておらず感情で制御を放棄している為、感情を取り戻せば暴走は収まるが、本来は暴走者の周りを防壁で多い防壁内の魔力を使い切る方法が推奨されている。

 他の方法もあるが推奨はされていない。例、心臓を撃ち抜くとかな為最終手段となっている。暴走を放置していると核爆弾みたいに暴走者ごと吹き飛び甚大な被害をもたらす。魔力量が多い人ほど暴走を放置したら世界をも揺るがす事になる。

 

「ヴゥゥゥ」「これはいけませんね!」

 昴先生が佐藤の周りで防壁を張ってる先生に近づき唸り声を説明する。

「空気中の魔力量が無くなるより先に爆発するかもしれません」

 昴先生は最悪の事態だと説明する。

 

「生徒全員教室に避難してください」

 昴先生はマイクで叫び避難するように指示を出すと共にポケットからスマホを取り出して学園に電話をする。

 

「湊昴です。只今第一体育館で生徒一人が魔力暴走中ステージ三応援お願いします」

 第一体育館は一年生が使う体育館で各学年ごとに第二第三とある。

 昴先生が学園の職員室で電話に出た先生に伝え応援を要請した。昴は心の中で対応が遅れた事を悔やんでいる。ステージ三とは一から五まであり、暴走してすぐはステージ一で震度一程度、ステージ二で震度三程度、ステージ三で爆破の危険あり被害を抑える為防壁を何重にも展開させる。その為今いる先生では手が足りず応援を呼んだのだ。

 

「キャー」「やばいみたいやね」「翔様?」

 他生徒は悲鳴をあげ慌てて体育館館から出て、翔は繭に話繭は翔の名前を呼ぶ。

 

「皆んなは避難して、一郎、ロッテ、繭をお願い」

 と翔は言い舞台まで走って行った。

「おっおい」「翔様待って」

 一郎は何の事か分からず呼び止めようとして、繭は待ってと追いかけようとした。しかしロッテが繭の手を握っていた。

 

「離して!」

 繭はロッテに手を離すように言う

「翔君がお願いしたから」

 ロッテは繭のお願いより翔のお願いを優先した。

「君達教室に戻りなさい!」

 近くにいた先生が、一郎、ロッテ、繭がまだ動いていない事に気づき体育館から追い出す。

 

「昴先生何かする事ないですか?」

 翔は舞台に上がり昴に声をかける。

「二葉さんなんでここに!?」

 昴先生は翔がまだ体育館にいる事に驚きなぜ舞台まで来たか分からずにいた。

「危険なんでしょ?小さい頃もよく暴走仕掛けてたみたいでこの前も暴走したんでしょ?何とかなるかな?と思って!」

 翔は考えがあってきた事に気づき昴は驚く。

 

「なんか奇策でもあるんかい?」

 昴は翔に聞き他の先生も翔がいる事に疑問を思ったが、今はそれどころでは無いので子供でも縋りたい思いだった。

 

「僕は魔力が抑えられなくなると身体強化に変換して対処するんです。佐藤君にも出来ないでしょうか?」

 翔は自分の魔力が抑えられなくなると暴走する事は知っていた為父や家庭教師から身体強化を習っていた。身体強化は無属性で使用すると魔力許容量が上がるが魔力が多い人しか使えない。

 

「うーん佐藤さんは魔力量が平均的だから一級の身体強化は出来ないと思うぞ!」

 昴先生は翔が規格外で普通の魔法師はできないと肩を落とす。

 

「いえ今は魔力許容量を超えて暴走しているので魔力は十分にあると思います。後は行使するだけです」

 翔は昴の見解を否定する。

 

「そうか暴走していて魔力量的には今は一級並みだ」

 昴がハッとした顔で翔と佐藤を見ると

「でも制御ができていないから無理ではないですか?」

 と近くで聞いていた先生が答える。

 

「待たせた!」

 と体育館に何人もの先生が走って入ってきた。

「なぜ生徒がいる?!」

 入ってきた先生が翔を見て驚く。

 

「彼が二葉翔です。暴走した魔力を霧散させる方法を模索してます」

 と昴が来た先生に答える。

「そんな時間はないのだろう?早よ始末しないと爆破して被害が出るぞ!」

 と強面の先生が言う。

 そう暴走が長引く程爆発の危険がある。翔がレクリエーションで暴走した時は他の体育館でもレクリエーションをしていて先生達の対応が遅れただけで、爆発すると判断されたら心臓を撃ち抜かなくてはいけない。

 

「そうですけど何とかなるかも知れません!」

 昴は他の先生に希望を見せる。

 先生も何が楽しく生徒を撃たなければいけない。と思っている。年に数人程が暴走して亡くなっている。今回は生徒だ。

 

「時間が惜しい聞かせてもらおう」

 強面の先生が翔がいる事は後回しに話を促す。

「身体強化です。身体強化で魔力の許容量をあげコントロールを取り戻し霧散させます」

 と昴が言う。

 

「身体強化?」

 何人かの先生は聞いたことがないと言う顔をしている。それはそのはずで、一級魔法師しか知らされていないことだった。たまたま知っている先生はいるが基本知らない人がほとんど。

「うむ身体強化か!今のこの子の魔力量なら行けるか」

 強面の先生が暴走している生徒を見て魔力量が一級並みだと瞬時に見る。

 

「でも制御ができていないから無理ではないですか?」

 先程も言った先生が同じことを言う。

「うむ。身体強化ならわしが教えられる。我々なら日頃魔力制御しているからすぐ出来るだろうが……」

 暴走したのは一年生でまだ未熟と強面の先生が話に詰まる。

 

「僕が佐藤君に近づきサポートします」

 と翔が先生に言う。

「なぬ」

 強面の先生が翔を見る。

「僕なら魔力量多いので許容量まで問題ないと思います。身体強化は父から暴走の緊急時の対処のめ時、習いました」

 翔は問題ないと強面の先生に言う。

 

「二葉のやろう、こんな子に無茶をさせて!」

 と強面の先生が言う。二葉とは多分自分ではない。

 

「よし分かった。責任はわしがとる。翔任していいか?」

 と強面の先生が言い、昴以外の他の先生難色をしめす。

郷田ごうだ先生あんまりでは」

 と他の先生が言う。強面の先生は郷田先生と言うらしい。

「ならなんか!今の彼以上に魔力量があるとでも言うのか?」

 郷田先生が翔を指で刺し翔の他の適任者を探す。

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