創作小説 超短編集

コウゾウ

びいどろ

路地裏を抜けるとまばゆい色に輝く景色が待っていた。

びいどろのように色とりどりの提灯に心を躍らせながら

少女は屋台通りを潜り抜ける。


りんご飴はいかが。

杏子飴はいかが。

お嬢ちゃんイチゴドロップスはいかが。

金魚掬いはいかが。

後ろ髪をひかれながらも延々と通りは続いた。


少女は疲れることなく進む。

それがどこへ続くかもわからないまま。

少女はただただ歩き続ける。

最後に何が待ち受けるかなど気にも留めずに。

少女は今日も心躍らせ進み続ける。

誰かを待たせているとは思いもせずに。


家族は今日も路地へと訪れる。

いつか少女が帰ってくると信じて、

涙しながら。

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