メルヘンライフ
ムーミン
プロローグ ミントと愉快な仲間たち
勇者ミントの旅立ち
ここは遠い宇宙のかなたにあるメルヘン星。
そこにあるフラワータウンという町はとてものどかで平和です。
人と動物と植物が仲良く一緒に過ごしています。
そんな町である事件が起きました。
悪い魔王が一晩で町の女の子を全員さらってしまったのです。
そして、街に伝わる隠れた秘宝、「天使の弓矢」も盗まれ、もちろん町の人々は大混乱、どうしようどうしようと皆大騒ぎ!!
…ですが心配しないでください。
この星には悪い者を絶対見逃さない正義の勇者がいるのです。
これはその勇者の冒険をつづった、昔々の物語です。
メルヘンライフ、始まるよー!
事件発生から2日後、フラワータウンに不思議な人間が現れました。
短いショートヘアに白いブラウスを身につけ黒いマントを羽織り、ロングスカートを履いたその人間はどこか不思議な雰囲気を感じさせます。オマケに日本刀を腰に差しており、町の人々は不思議そうに見て言いました。
「この町に、あんな子がいたのか?」
「国の衛兵の方ではないのだろうか」
「そんなことよりとても美人だ」
と町の人々の視線を惹き付けて離しません
街の老人が勇気を出して彼女に話しかけて見ました。
「あんたは衛兵の人か?生憎だがこの町にはおなご1人もいなくてね、悪い魔王が全員攫ってしまったのじゃ」
彼女は答えました。
「いえ、僕は偶然ここに行き着いてしまった勇者で…。」
偶然ここに行き着いた、という言葉に老人は不審がりました。騒ぎを聞きつけたならともかく偶然このような町に行き着くなんてありえないのです。それに勇者?現代では中々聞かない単語ですが…。老人は腰に差してある刀を指さし尋ねました。
「その剣はなんじゃ?みたこともない剣じゃが、あんたここの国の人間じゃないじゃろ。」
確かに衛兵は日本刀なんて使いません。すると彼女は少し微笑みながら答えました。
「あぁ、僕は世界各地を旅してる流浪の勇者なんですよ、で、事件の匂いがしたから適当に歩いたらここに行き着いちゃって、さっき魔王が女の子を全員攫ったって話をお聞きしたのですが…」
事件について聞かれた老人は少し顔をしかめると口を開きました。
「あんたが来る2日前にこの町に豚の顔をした魔王が来てな、そやつはモンスターを率いて女子全員老婆も子供も問わず攫っていってしまって今は男しかおらんのじゃ。助けようにも魔王の居場所が分からなくてな。」
なんでも、その魔王は力が強く、町の力自慢でも歯が立たないとの事、にしても、老婆も子供も見境ないって随分余裕が無い魔王ですね。
悪い魔王、困り果てる街の人々、でも大丈夫です。こういう時こそ勇者の出番!
「僕がその魔王をやっつけて町の女の子も取り返して見せます!」
彼女は自分の胸をぽんと叩いてそう言いました。
その様子に老人はおろか他の男たちも驚きました。こんなに可愛い子が魔王を倒すだなんて考えもしなかったのです。
老人は慌てた様子で口を開きました。
「じゃ、じゃがあんたがいくらそんな立派な武器を持っててもあの魔王を倒すことなんてできないぞ?」
他の街の人々も言います。
「そうだ、あの魔王はとってもおっかない、部下も沢山いるはずだ」
「あいつは大昔にこの国を支配した大魔王サタン以来だ」
「そんなことより俺の嫁にならないか?」
と口々に彼女に言います。
ですがそんなことで勇者がへこたれるわけがありません。
「やる前から諦めちゃ勇者なんて務まりません!」
彼女は街を見渡しました。2日前までは平和だった町、魔王によって奪われた幸せ。命、そして笑顔は、絶対に取り戻さないといけないのです。
すると突然街の人々がある人物の登場によって道を開けました。その人物は冴えない男だらけのフラワータウンの中では一際貫禄のあるご老人。
先程まで勇者と話していた老人が話します。
「町長、こんなところまで来てどうしたんですか?」
町長と呼ばれた男は老人の言葉に反応せず、勇者の目をじっと、見定めるように見ます。そして手をがっしりと握ると
「そなたの目には曇らない意志、そして絶対の覚悟、安心感がある。ぜひその魔王を倒して欲しい」
その言葉に勇者はパーッと顔を輝かせ笑顔で頷きました。
「で、でもどうやって移動するんじゃ?もしかして徒歩か?」
老人が聞くと勇者はスカートのポッケから葉っぱ型のワッペンを取り出します。そのワッペンを掲げると空から花形の乗り物のようなものが飛んで来ました。
「これは僕が愛用してるスカイフラワーというものです。これで魔王のとこまでひとっ飛びしてみせますよ」
勇者の乗る乗り物を見て町の人々はポカーンと口を開けるしかありません。
スカイフラワーに乗った勇者に老人が声をかけます。
「ところで、あんたの名前はなんじゃ?」
勇者は微笑んで言いました。
「ミント、勇者ミントです」
こうして勇者ミントはフラワータウンの平和を取り戻すため魔王を倒しに行きました。
つづく
「ちょっとナレーションさん!」
はいはいなんでしょう
「僕のこと彼女って言わないでよ!僕は男でも女の子でもないんだから!」
あらあら、それは失礼しました。
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