好きって言わせて
授業中
必死にノートをとる僕の手に君の手が触れる。
「冷たーい。」
触れた彼女の手は熱いくらいにあったかかった。
「仕方ないじゃん。冷え性なんだから。」
彼女から目を離し、黒板に目を向けると彼女は僕の耳に向かって小声で
「じゃあ、あっためてあげる。」
と言った。
そうすると、僕の左手を彼女の小さな右手が包み込んだ。
「あったかいでしょー。」
太陽のように明るい笑顔と、手から伝わる彼女の熱で、先生の声が聞こえない。
何も言うことができないまま、黒板にもう一度目線を移し、どうかこの速くなってしまった脈が伝わらないようにと願うばかりだった。
彼女の熱が僕に伝わって、だんだん僕の身体まで熱くなって、彼女と溶け合うかのような、そんな変な心地がした。
結局、彼女は授業が終わるまで僕の手を離さなかった。
キーンコーンカーンコーン
「はいじゃあ、今日はこれで終わりな。ご苦労さん。」
その先生の一言で授業が終わると同時に彼女は僕の手を離した。
一気に世界が冷たくなった気がした。
「あったかくなったでしょー。」
「うっうん。」
「今、二人で体温測ったら一緒だろうね。」
「へっ・・・・」
「なんつってー」
太陽のように笑う彼女は「じゃねー」っと言って教室から出て行ってしまった。
多分、今一緒に体温測ったら、僕の方が高いよ。
好きって、今すぐあなたに伝えたいです。
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