脆弱性は心にあり

bbキャンセル君

名声を求めた結末

私は普通になろうとした。

沢山作品も作ったし、ボランティアもした、

でも最後に賞賛を浴びたのは妹だった。


悔しくて悔しくて、歯を食いしばりながら、家を飛び出した。

誰も知らせずに家を出て、私がいないのに気づいて、皆は悲しんでくれているんじゃない?そう淡い期待を抱く。要するに相手にされたいんだ。

子共っぽいって事も分かってる。それでも・・・・・求めたい事もあるんだよ。


しばらくして、辿り着いたのは、手入れもされていない庭だった。

ちょうど私が求めていた場所なのか、気が緩んだのか

さっきまで流れなかった涙が、次々と溢れ出てくる。


ポタポタと地面に落ちるが

誰もそれを拾わない。


分かってるんだ。私は負けたんだって。

・・・・・・・。

神様、いるのであれば

私を価値ある人間にしてください。

そう願った。


次の瞬間上から、赤紫の果実が降ってきた。

上を見ると、果実は無く

あるのは地面に転がっている果実だけ。

気味が悪かった、だから最初は近寄らなかったが

徐々に感じる神聖さ。まるでお母さんみたいな暖かさ。

導かれる様に果実を手に持ち、それを躊躇する事なく食べた。

むしゃむしゃ

ゴクン。

体の中に入れるも、口の中はなんの味もしない。

かといって何か変わったわけでも無い。


つまんない

石ころを蹴り

そう呟いて


とりあえず家に帰った。


ただいまー

靴を脱ぎ、リビングに行くと

家族全員がざわついており、

一斉にこちらを見た。


「お姉ちゃん凄い!!こんな大企業にも推薦来るなんて」

「こっちなんて、あの有名な会社よ!」

「お前に取材来てるんだが・・・・グスッ。立派になったな。お父さん泣いてる」

来るはずなんてないのに。

その考えを覆す程の、依頼、推薦、名声

求めていた結末に笑みを零す。



多忙な日々は毎日続いた。

私は今では有名人。

あの果実を食べたお陰で、今がある。

神様本当にありがとう。



でもある日の事だった、私の思考が変になる。

具体的には、人を殺したい。殺意が出るようになった。


日が進むごとに強くなっていく殺意。

普通の日々が恋しい程に辛いんです。

殺したくて、その首を絞めたくて、刃物を見れば刺したくて

仕方がないんです。


でも

必死の抵抗も、限界を迎えました。


私は思いました。

一番怖いのは、殺意なんだなって。

止められないんです。

負けて普通に生きる事が、本当の幸せなんだって。


私は人を殺したくない。

犯罪者になりたくない。

だから考えました。


私が死ねば解決すると。


怖いけど、犯罪を犯して家族が崩壊する方がもっと嫌だし怖い。


取材の電話が携帯から鳴る。


辺りには沢山の私が書いて出版した本。


そして埋もれている、妹と私の写真。


私は自分の首を絞めました。

強く

強く


憎くても好きだったよ


そう言ったらさ

私の意識が途切れたんだ。






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脆弱性は心にあり bbキャンセル君 @aiumi

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