3-7-2 ルージュとニンジャとサイボーグと騎士とギャル

 瑠朱はキリーカに促した。急に視線が集まったことに、キリーカはわずかに動揺し、


「名前はキリーカです。出身やここに至る経緯は覚えていません」


「ということです」と、振り返ってアメノに言う。


「なるほど。名前以外ははっきりしないわけか」


「ですが、紅世原様を主人とし、それに奉仕するのがわたしの役目あることはわかっています。存分にわたしをお使いくださいませ」


 と、彼女はそういって瑠朱の腕にしがみついた。一瞬、周りに動揺が広がった。


「そんなことはしませんが、ひとまずあなたのことはわたしが預かります。アメノ、彼女の服装や装備から、なにかわかることはありませんか」


「正直、見当もつかない。スウォームが寄生していた機械から出てきたから同郷かと思っていたが、そもそもあの機械すら、全然違う技術体系から来たように思う」


 アメノはそう感想した。


「その服装、まるでどこぞの貴族にも見えるが、子供に着せているのは初めて見るな。それに、性別は女であろう。そんな装飾がついた服は男が着るのが常だ。この国ほどではないにしろ、わたしの国にはありえない」


 ガーラは言う。


「なんか歴史の教科書で見た気もするよね」


 ラン子はふんわりしたことを言った。


「普通にコンビニの自衛隊ハンドブックとかで似た服装を見たでござる。その服装は現代であれば余程の貴族か、何らかの軍服、もしくはただのコスプレにござろう。もしも、過去からきているのであれば余程高貴なものの証でござる」


 サヤギはまとめた。


「いつも通り、わからないことだらけ、ということですね」


 瑠朱はふう、とため息をつき、


「あとは、サヤギさんの贈り物に、キリーカさんの服はありませんでした。ここだけは注目すべき点だと思います」


「そうか。つまり、彼らはいくら未来を知っているといっても、完璧ではない、ということか」アメノはふむ、と頷いた。


「そういうことでしょうね。とりあえず、キリーカさんの服は目立ちますし、わたしのお古を探してきます。キリーカさん、一緒に来てくれますか」


「紅世原様の仰せのままに」


 そういって二人は部屋を出ていく。

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