第4話 大学での日常

豊と夢香の学校が通常通り始まり、朝が少し慌ただしくなった。夢香は藍と一緒に弓道部に入部し、毎日練習に励んでいた。

いつものように身支度を整えて家を出ようとした時、豊かに呼び止められた。


 「ちょっと待って、お弁当忘れてるよ。」


豊はお弁当が始まってから毎日欠かすことなく夢香のお弁当を作り続けていた。


 「あっありがとうございます。行ってきます。」


 「はい、いってらっしゃい。気を付けてね。」


夢香を見送った豊はシャワーを浴びて身支度を整えた後、コーヒーを一杯飲んで大学へ向かった。自転車を20分ほど漕ぎ大学へ到着し、講義室へ向かう途中、突然豊の頬に何か冷たいものが当たった。振り向くと、同じゼミの友人である風見恵かざみけいが両手にカフェラテを持ってにやにやしながら立っていた。


 「なんだ恵か。びっくりするだろ。」


 「いやー眠そうに歩いてたから起こしてあげようと。カフェラテあげるから許して。」


 「ばっちり覚めてるわ。ありがとう。」


豊はカフェラテを受け取る前に何かを察した。


 「恵、お前課題してないんだろ。」


 「何のことかな?俺は純粋に一緒に飲もうと思って買ってきたんだよ。」


恵は明らかに目を泳がせていた。


 「そうか。ちなみに独り言だけど俺は課題終わってるし、今写したら期限に間に合うと思うけどなぁ。まぁ恵も終わってるっぽいから関係ないか。」


豊がそのまま講義室へ行こうとすると、恵が抱き着いてきて

 

 「すみません。終わってないので写させてください。」


 「初めからそう言えよ。つか抱き着くな。」


 「ありがとう。豊様。」


2人は講義室へ向かった。恵は何とか課題を終わらせ、講義後2人で学食へ向かった。


 「いやー何とか間に合ったよ。ありがとな何か奢ろうか?」


 「いや、いいよ。弁当あるし。」


 「弁当再開したんだ。しばらく作ってなかったのに。」


 「預かってる子が弁当いるっていうし、1人分作るより楽だからね。節約にもなるし。」


 「あれ?豊君お弁当に戻ってる。」


豊たちが学食でだべっていると、同じゼミ生でモデル業もしている桜井陽菜さくらいひなが話しかけてきた。


 「桜井さん。ちょっとした事情でね。」


 「陽菜ちゃんこの後も講義?」


 「うん、後一コマあるよ。風見君たちは?」


 「俺らはもう終わり。今日は一コマだけだったから。っていっけね。もうバイトの時間じゃん。じゃあな。」


恵はあわただしく学食を後にした。


 「相変わらず元気なやつだな。」


 「本当ね。相席失礼するね。豊君はこの後の予定は?」


陽菜は豊の隣りに座った。


 「6時くらいからご飯作らないといけないけど、それまでは暇かな。」


 「従妹ちゃんを預かってるんだっけ。何年生?」


 「高校1年生。近くの女子高に通ってるよ。」


 「あぁあの有名な。入学式には行ったの?」


 「行ったよ。一応保護者だしね。」


豊は入学式で在校生に質問攻めにあったことを思い出していた。


 「いや~女子高生のマシンガントークは恐ろしかった。何も聞き取れんかった。」


 「あの学校の生徒ならなおさらだろうね。文化祭とかも相当気合入ってるって聞くし。行くなら気を付けなよ。」


 「肝に銘じておくよ。」


 「陽菜ーもうすぐ講義始まるよー。」


少し離れたところで陽菜の友人の宇佐田由紀子うさだゆきこが陽菜を大声で呼んだ。

 

 「本当だ。じゃあまたね。」


 「うん、あっちょっと待って。・・はい。」


豊はランチバックからサンドウィッチを1つ取り出し陽菜に1つ手渡した。


 「その感じだと朝ごはん食べてないでしょ。 体型維持も大変だろうけど、それじゃ講義持たないよ。」


 「うん、ありがとう。」

 

 「どういたしまして。いってらっしゃい。」


豊は手を振りながら陽菜を見送った。


 「お待たせ。行こうか。」


 「遅いよ。って陽菜、そのサンドウィッチどうしたの?」


 「豊君にもらったの。朝ごはん食べてないことばれちゃって。」


 「へぇーよかったじゃん。愛しの豊君にもらえて。」


 「なっ!そんなんじゃないって。」


 「はいはい、それ食べて講義室に行くよ。」


陽菜を見送り、弁当を食べ終えた豊は大学の個室自習室へ行き、夕方までパソコンとにらめっこした。

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そんなのじゃ嫌 ゆうさん @kjasdbfcluink

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