茜雲だってば
連なる三つの山を管理している親方こと
烏天狗と人間と人魚の血を受け継ぐ少女である。
名を
茜雲は通常時は祖父の長庚と同じく人間の姿を取っていたが、祖父とは違い疲労困憊状態に陥ると、青い身体に漆黒の翼が生えている魚になってしまうのだ。
「えーまた筍ごはんんーと、筍と厚揚げ豆腐の醤油煮いぃぃー?筍って口の中がいがいがするから嫌いなのにー」
長庚が管理する山中に建てられた丸太小屋にて。
半日をかけて回復して人間の姿になった茜雲は、ふくれっ面になりながら長庚を見たが、長庚は嫌なら食べなければいいと素っ気なく言った。
「ひどい!おじいちゃん!」
「山の恵みを大切に扱わん孫など知らんもんねー」
「ううううう」
「ほら。お孫さん。筍の天ぷらはそんなにいがいがしませよ」
「
「はい?」
揚げたての筍の天ぷらを丸太卓に乗せた彎月と呼ばれた少年は首を傾げた。
「お孫さん。目を三角にしてどうしたんですか?」
「だーかーらっ!私の名前は茜雲だってば!」
「はい。知っていますよ」
彎月は丸太卓の前で正座になり、いただきますと手を合わせた。
「ちょっと!いただきますはみんなでしなきゃダメでしょ!」
「では、お孫さん。立ってないで、座って座って」
「もう!お孫さんじゃなくて!」
茜雲だってば!
(2023.4.21)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます