お姉ちゃんが温かい

「美葉、大丈夫? 眠いのなら、明日の朝にお風呂に入る?」


 私がお姉ちゃんの肩に頭を乗せながら、瞼を閉じないように眠気を我慢していると、お姉ちゃんはそう聞いてきた。


「……ううん。今から、入る」


 確かに眠いけど、私はそう返した。だって、今私が眠いのは、お腹がいっぱいで、お姉ちゃんの人肌のせいだから。

 

「無理はしなくても大丈夫よ?」

「……ほんとに、大丈夫だよ」


 心配してくるお姉ちゃんの肩にもたれ掛かりながら、私はそう言った。

 そして、お姉ちゃんの肩にもたれ掛かるのをやめて、ソファから立ち上がった。


「……行こ、お姉ちゃん」

「ええ、早く入って、一緒に寝よっか」

「……うん」


 私はお姉ちゃんの言葉に頷いてから、一緒にお風呂場に向かった。

 そして、直ぐに服を脱いで、私はお姉ちゃんに抱きついた。


「……ん、お姉ちゃん。早く」

「美葉? 寝ぼけてるのかしら。私は嬉しいんだけど、ほんとに大丈夫?」

「……んー、大丈夫、だよ。早く、入ろ?」

「ふふっ、分かってるわよ。でも、私はまだ服を脱いでないから、一旦離れてね」

「……分かったぁ」


 私はお姉ちゃんに言われた通り、一旦お姉ちゃんから離れて、お姉ちゃんが服を脱いだのを確認すると、直ぐにまた抱きついた。


「えへへ、お姉ちゃん、温かい……」

「ふふっ、美葉も温かいわよ」


 お姉ちゃんは私にそう言いながら、私のことを持ち上げて、お風呂場にある椅子に座らせてくれた。

 私はそのまま後ろにいるお姉ちゃんにもたれかかった。


「美葉、もちろん私は嬉しいんだけど、これじゃあ、シャンプーが取れないわ」

「……ん、私が取るよ」


 そう言って、私はお姉ちゃんにシャンプーを渡しながら、お姉ちゃんの胸を枕みたいにして、またもたれかかった。

 すると、お姉ちゃんは嬉しそうにしながら、私のほっぺたを触ってきた。


「ん……お姉ちゃん?」

「美葉、好きよ」

「……んー、私も、好き、だよ?」


 私がそう言うと、お姉ちゃんは私のほっぺたを優しく触るのをやめて、シャワーで頭を濡らしてから、シャンプーで洗ってくれた。





「美葉、離れてくれないと、拭いてあげられないわよ」

「んぅ〜」


 濡れた状態でお姉ちゃんに抱きついている私に向かって、お姉ちゃんは優しくそう言ってきた。

 頭は結構拭いてもらったから、後は体を拭いてもらうだけだから、私は仕方なく、お姉ちゃんにくっつくのをやめて、体も拭いてもらった。


「お姉ちゃん、寝よ」


 そして、服を着た私はお姉ちゃんに抱きつきながらそう言った。

 すると、お姉ちゃんは私のことをお姫様抱っこしてくれて、ベッドまで運んでくれた。

 ベッドにお姉ちゃんと一緒に入った私は、お姉ちゃんの体温のおかげもあって、すぐに眠りにつくことが出来た。

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