何やってるの私
あれからしばらくの間、私はソファに横になっていると、やっと顔と体の熱が冷めてきた。
ただ、冷静になった頭でさっきのことを思い出すと、また顔が熱くなってきた。
何やってるの私……匂いを嗅ぎ合うなんて、おかしいよ。……完全にえっちなことじゃん。変態じゃん。……普通、姉妹でそんなことしないよ。
「お姉ちゃん……」
私は無意識で、そう呟いてしまった。
「美葉、どうしたの? もう私のことが恋しいの?」
「お、お姉ちゃん!? ご、ご飯は?」
お姉ちゃんが嬉しそうに微笑みながら、そう聞いてきた。
私は、お姉ちゃんの事を思わず呟いてしまったことを誤魔化すように、ご飯はどうしたのかを聞いた。
「今はこっちに来ても大丈夫なのよ。……それで、もう一度聞くけど、もう私のことが恋しくなったの?」
「ち、違うから。さっきのは、ほんとに無意識で……」
私は、恥ずかしくて顔が熱いのを我慢しながら、お姉ちゃんにそう言った。
「無意識で私の事を呼んじゃうほど、美葉は私のことを考えてるのね」
「ち、違っ……さ、さっきのことを思い出しちゃって、それで……」
話していくにつれて、声が小さくなっていき、恥ずかしさで目から涙がこぼれそうになるのを、私はお姉ちゃんに見られないように隠しながら、そう言った。
「それで、私のことが恋しくなっちゃった?」
「ち、違うから! ……も、もう、的はずれなことばっかり言うお姉ちゃんはキッチンに戻ったら?」
恋しいとか、意味わかんないし。
確かに一週間とか、お姉ちゃんと会わなかったら寂しくて、恋しくなっちゃうだろうけど、さっきまで一緒にいて、近くにいないって言っても、キッチンにいるんだから。
「そうね。そろそろ戻るわ。……美葉が寂しがらないように、直ぐに作って持ってくるわね」
「そ、そんな短時間で寂しいがる訳ないから!」
私がそう言うと、お姉ちゃんはキッチンに戻った。
もう、お風呂に入っちゃおうかな。
お姉ちゃんがご飯を作るまで、まだしばらくかかるだろうし。……今なら、昨日みたいに途中でお姉ちゃんが入ってくることなんてないと思うし。…………一応、お姉ちゃんにお風呂に入ってくるって伝えてこようかな。……悪いことなんて何もしてないのに、また罰とか言って、変なことされるかもしれないし。
……お姉ちゃんに頭を洗ってもらいたい気持ちもほんのちょっとだけあるけど、今日は罰とか関係なく、変なことされそうだし。
そう考えた私は、お姉ちゃんがいるキッチンに向かった。
「お、お姉ちゃん」
「美葉? どうしたの? まさかほんとにもう私が恋しくなっちゃったの?」
何かを作っていたお姉ちゃんは、私がキッチンに来たことを驚いた様子でそう聞いてきた。
「そ、そんなわけないでしょ! ……お風呂に入るってことを伝えに来たんだよ」
「だめに決まってるでしょ?」
「きょ、今日だけだから……」
私は、明日からはお姉ちゃんと入るからと続けて言って、お姉ちゃんを説得する。
一人で入る事なんて、普通のことなのに。
「だ、だめ?」
「……今日だけよ」
「うん!」
やった! 一人でお風呂に入るのなんて、ほんとに何年ぶりだろ。……いや、初めてかもしれない。だって、一人で入った記憶なんて無いから。
「あ、お姉ちゃん、今日は寝るのも一人で――」
「それはだめよ」
「……うん」
このままの勢いで一人で寝るのも許してもらえるかと思って、ダメ元で聞いてみたけど、やっぱりだめだった。
まぁ、一人でお風呂に入れるだけでも、将来の為に繋がるよね。
お姉ちゃんか私が結婚して、一緒に住まなくなった時とか。……今のお姉ちゃんは私のことが、好き……みたいだけど、時間が経てば、私が気持ちに答えないことを悟って、お姉ちゃんも諦めてくれるはず。
「美葉、後20分くらいで出来るからね」
「うん。分かったよ!」
お姉ちゃんに返事をして、私はお風呂場に向かった。
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