お姉ちゃんの罰

「ごちそうさま」


 お姉ちゃんと一緒に作ったハンバーグと、適当な野菜を食べ終えた私はそう言った。


 お姉ちゃんはまだ食べ終えていない。……それを確認した私は、急いで着替えを持ってお風呂場に向かった。

 早く一人で入っちゃおう。

 

 服を脱いで、お風呂場に入った。

 

 ……自分で頭洗うのって久しぶりだな。

 やっぱりお姉ちゃんと一緒に入れば良かったかな……い、いや、一人で入らないと、お姉ちゃんに変な期待させちゃうからだめだ。

 私はお姉ちゃんとただの姉妹でいるつもりなんだから。

 それに、お姉ちゃんと入れば良かったって思ったのは、久しぶりに一人で入って、頭を洗うのも久しぶりだったから、ちょっとめんどくさく思っちゃったからだし。


 頭を洗い流した私は、体を洗う。

 体を洗っていると、突然扉が開いて、お姉ちゃんが入ってきた。


「美葉、勝手に一人で入っちゃだめでしょ?」

「だ、だめって……た、確かに何も言わずに入ったのは謝るけど、だめって訳じゃないでしょ」

「だめよ。……罰として私が体を洗ってあげるわ」


 罰って……何も悪いことしてないのに。


「も、もう洗い流すか――ひゃんっ」


 私が体についた泡を洗い流そうとすると、お姉ちゃんが裸のまま後ろから抱きついて来て、座ってる私の太ももを触ってきたから、驚いて変な声が出てしまった。


「お、お姉ちゃん、離れて……」

「昔は美葉の方からこういうことしてきてたのになぁ」

「だ、だからそれは知識がなかったからで……」

「まぁいいわ。今日は普通に洗ってあげるから、力抜きなさい」


 お姉ちゃんはそう言って、自分の手にボディソープを付けた。


「て、手で洗うの?」

「昔からそうだったじゃない」

「そ、それは……そうだけど……」


 昔はお姉ちゃんにそういうことをする口実に手で洗ってただけで……


「ちょ、お、お姉ちゃん! そこは自分で洗うから……と言うか、普通に洗ってくれるって言ったじゃん!」

「普通に洗うのなら、ここも洗うでしょ?」

「じ、自分で洗うから!」


 と言うか、もう洗ってあるし……


「分かったわよ」


 お姉ちゃんが残念そうにそう言った。

 

「お、お姉――にゃっ」


 また変な声が出てしまった。……お姉ちゃんが私のおへそを勝手に洗おうとするから。


「そ、そこも自分で洗うから!」

「はいはい」

「な、なんでそんな仕方ないみたいな感じなの!」


 どう考えても、お姉ちゃんが悪いはずなのに。

 ……昔のことを考えると、私も悪いかもだけど……それはいっぱい謝ったし……


「も、もういいから。もう洗い流すから」

「はいはい、それじゃあ私が洗い流してあげるわよ」

「自分で洗い流すから」


 自分で洗い流した方が早いし。……それに、早くしないとお姉ちゃんが風邪を引いちゃう。……お姉ちゃんがお風呂場に入ってきてから、お姉ちゃんは私の体を洗っただけで、お湯もかけてないから、体が冷えてきてるはず。


「私の事を考えてくれたの?」

「ち、違うから! 私ももう中学三年生だから、自分でできるってだけだし!」

「ふふっ、ありがとね。でも、大丈夫よ。私は美葉の体にくっついてたから、充分暖かいわよ」


 お姉ちゃんはそう言って微笑んだ。


「も、もう出るから!」


 なんだか恥ずかしくなってきた私は、そう言ってお風呂場から出た。

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