最近、小説を書いていて思ったこと
俺が中高生の頃、ラノベは何となく中高生くらいの若者が読む物だと思ってた。
当時流行ってたのは、インデックスとか俺妹とかその辺か。俺が好きだったのはバカテスとベン・トー。全部、主人公は高校生だし。だったら、その辺に共感できる年代の連中がコミットするのは当然だよな。
でも、今っておっさんとおばさんがラノベのメーン読者なんだろ?データとかしゃらくさい事言うまでもなく、流行ってるのがショボい『ざまぁ』と臭い『婚約破棄』ばっかりだし。
多分、その通りなんだと思う。朝の満員電車の中でスーツ着たおっさんや無気力そーなOLが、コミカライズされたラノベ原作の漫画読んでるもん。なんなら、なろうとかカクヨムを読んでるし。
いや、別に意図的に覗いてるワケじゃねーよ。見えちゃうだけ。
ただ、こんなん若い子は読まねーよ。だって、もしも俺が中高生だったら読まねーもん。純粋なファンタジーとかバトルが読みてぇよ。まぁ、新規が入らなくて、単純にメーン読者の年齢層が上がったからそいつらがそのまま残ってるって感じなんだろうけど。
……ごめんね、若い子たち。
俺もね、いつの間にか大人が主人公の話ばっかり書いてた。俺、結構短編を書くんだけどさ、気が付くとみーんな大学生以上のキャラばっか。君たちから見れば、スゲー年寄りばっかで興味なんてわかねーよな。
なんか、いつの間にか今の自分の目線で物語を書いてしまっているというか。知ってることに説得力をもたせようとするとその年齢になっていくというか。
とにかく、こんな場末のテンプレ嫌いなアマチュア作家ですらラノベ業界衰退の手伝いをしていたんだって事に気が付いて、少し切なくなったって話。
今回は、懺悔回だ。
以下本文。
根本的な話、ランキング至上主義なネット小説界隈からの出版書籍でラノベ業界を支えようとなると、自然にランキング上位の作品が世に出回ることになる。
だから、作家たちはおっさんやおばさんの為の物語を書く。
そうやって、現代のラノベ作家が生きるため目先のマネーを追い求めた結果、3巻くらいで打ち切りになって結末も知れないクソつまらん物語が生まれるワケだ。
これさぁ、『日本の政治家は自分たちが逃げ切ることしか考えてない』って文句言われるのと同じことをやってねぇか?
別に、政治に限った話じゃないけど。お前の会社に、首脳部にのさばって金もらってるよく分からん爺さんがいたとして、そいつに「現場の事を分かってない」とか「給料上げないで仕事の質上がるワケねーだろ」とか不満があったとして。
ラノベを読みたいって思ってる中高生に対して、もしかして俺たちは同じことをしていたんじゃないかなぁ。嘗て、若者が読むモノだったラノベを中年向けにコンバートして、私物化してるって思われてんじゃねぇかなぁ。
男子高校生が選ぶ面白いラノベ、一位は未だにSAOだ。もう10年くらい前の作品だ。続いて、リゼロ、ようじつ、天使様、俺ガイル。
女子高生は、スパイ教室、SAO、ノゲノラ、本好きの下剋上、キノ、このすば。
……キノ?マジで?女子高生、見る目あるじゃん。
いや、俺の趣味はさておき。
このランキングのどこに『ざまぁ』やら『婚約破棄』やらがあるんだい?って話。もちろん、上位の作品なんてメガヒットした化け物レベルの作品ばっかりなんだから、世代全体の人気度を語るのはナンセンスだと思うけど。
もしも本当に『ざまぁ』と『婚約破棄』が人気なら一本くらいは入ってくるだろ。でも、そうじゃない。そもそも、スマホで読んでる層が書籍を買ってるのかも怪しいくらいだ。熱心にキャラを愛して、グッズを買ってくれてるのかも不透明だろ。
なぁ、お前がランキングで成り上がって書籍化した物語。本当に売れてんのか?その先に未来はあるのか?
読まれねぇ俺に教えてくれよ。
一般小説に目を向けてみると、重松清とか恩田陸とか。俺が高校生の時とランナップがほとんど変わらないんだな、これが。
青春ストーリーの金字塔。こういう作品は、どれだけ時代が変わっても若い子たちのバイブルとして読み継がれるんだろう。
というか、俺も若い子にオススメするなら間違いなくその辺だ。読後に爽やかな風が吹き抜けるような、喪失感でちょっと大人になった気がするような。そんな物語をオススメするさ。
……そう。
出来ねぇんだよ、今のラノベを若い子にオススメなんて。
転生したおっさんがバカ相手に魔法ぶっ放してリンチしたり、国が存続してる理由もわからないくらいのガバガバな頭脳した貴族が蔓延る世界で政略も考えず好き勝手に生きるカス女の物語なんてオススメ出来ない。
というか、若い子は分かってるから。バカじゃないから、マジで。そんなもんが面白くなくて、うだつの上がらない中年層が自分を慰める為の書物だって分かってるから、ラノベに手を付けなくなっていってるんだよ。
……なので、ごめんなさい。俺も悪かった。
ちょっと、青春を意識して書いてみようと思う。ここまでツラツラ語った説を考慮するなら、ネット小説で青春をプッシュするのは明らかな愚行なんだろうけど。
俺も、別に明るい学生時代を過ごしたワケじゃないし。それこそ、追体験でしか青春を知らないっていう致命的な弱点もあるんだけどさ。
先細りしていく業界で、日の目も浴びることなく死んでいくのなら。せめて、こうやって何度も考察とチャレンジを繰り返して、的外れでも可能性を追ったほうがいいんじゃないかって。
そういうふうに思ったのでした。
……まぁ、それでも俺がアラサー好きなのは変わらないから。その辺の趣向は、短編で凝らす事にしましょうや。
恐惶謹言。
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