15 魔法少女(1)

「あなたの魔法は?」


「え?」


 パピラターが真剣な顔で、プルクラッタッターを見つめた。


「私の、魔法……」


 それを聞いて、ガバッと立ち上がったのはロケンローだった。


「そうだよ!出番だ!プルクラッタッター!」

 ドランゴンらしく、四つ足で立ち、初めて見る凛々しい顔をこちらに向けている。


「どうすれば、いいの」

 真剣な顔付きに応えるように、プルクラッタッターもつられて真剣な顔になる。


「今こそ変身だよ!プルクラッタッター!」


 変身……!?


 ロケンローが叫ぶと同時に、ファンシーなBGMが流れ出す。


 え!!!???


 チャララ〜〜〜ン♪タラララ〜〜〜〜♪


 は!!!???


 プルクラッタッターは混乱してパピラターの方を見る。

 パピラターも、周りをキョロキョロし、プルクラッタッターの方を見たので、やはり聞こえているのだろう。


 何これ!?どうしろと!?


 このBGMが敵に聞こえているんじゃないかと心配になる。


 プルクラッタッターの意思とは無関係に、プルクラッタッターが天を仰ぐようなポーズを取った。


 え!!!!???


 キュピーン!


 謎のファンシーな効果音と共に、プルクラッタッターの胸の辺りから出た光が、プルクラッタッターの身体を包み込んだ。

 ぽふん、と着ていた革の服から、ファンシーなミニスカートの衣装に変わる。


「なっ!!!???」


 混乱しつつも、身体は勝手に変身していく。

 左腕を振ると、二の腕に金のリングが嵌まる。


 足をタップダンスのように動かすと、真っ白なショートブーツへと変わる。


 腰の後ろに尻尾のような長いリボンが流れる。


 最後に、プルクラッタッターが掲げるように、手に短い星を模したステッキが出現した。


 チャン!チャ〜ラララ〜〜〜〜〜〜♪


 BGMが、最後の盛り上がりを見せたところで、音が止まった。


 プルクラッタッターの背後に大きな謎の紋様が浮かび上がる。


「煌めく天よりの翼、魔法少女プルクラッタッター!」


 プルクラッタッターが叫ぶ。


 そして、沈黙が訪れた。


「なに…………これ……………………」


 プルクラッタッターが、自分の格好を見回す。


「何………………」


「それこそ、君に内包されていた力だよ」

 小さなドラゴンが、キメ顔で言う。


 星のステッキ……。

 ミニスカ生脚……。

 魔法……少女…………。


 それも、衣装が変わっただけで、髪型が変わるとか髪色が変わるとかいう要素は全くない。


「いやああああああああああああ」


 プルクラッタッターが、いかにも絶望した!と言わんばかりのorzポーズで叫ぶ。


 顔を上げれば、まだ鎖に繋がれたままの手首。

 ちょっとキラキラ目でプルクラッタッターを見ているパピラター。


「わああああああああああああああ」


 中学生くらいの子ならこんな魔法もありなんだろうが。


 ◯◯歳には、この格好は絶望でしかないのだ。



◇◇◇◇◇





魔法少女の初変身です!!

魔法少女って、こんな感じだよね!!

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