8 この世界では戦う必要がある(3)
……そうだ、魔法!
パピラターがあんなに自信たっぷりだったから、本当に、すごい魔法が使えるのかもしれない。
パピラターは、腕を伸ばし、杖を構えた。
「世界の遍く理。我が声を聞き入れ、雷鳴を轟かせろ」
……すごい!
魔法っぽい詠唱!!
その瞬間、バリバリバリッと大きな音がした。
目の前に、眩しい光が溢れる。
空から落ちて来た雷が、全てのジャッカルを駆逐した。
「…………」
目の前に、ジャッカルだったものが転がる。
呆然と、した。
命を狙って来ていると思った獣達が……。
自分よりも強い脅威が、あっという間に動かないものになってしまった。
「す……ご…………」
ここで、怖いなんて言うことは出来なかった。
だって、殺さないと殺される状況だった。
こんな経験は初めてで、プルクラッタッターはその場から動けなくなってしまう。
「今回は弱かったからいいけど」
言いながら、美少女が振り返る。
パピラターの言葉に、プルクラッタッターは耳を疑った。
これが、弱い???
これでも、命は簡単に奪われてしまいそうだった。
噛みつかれればそこで、ジ・エンド。
「次はあなたも、戦ってもらうからね?」
鞄を拾いながら、パピラターが鼻をふんと鳴らした。
パピラターは思う。
いくら、守ってあげなきゃと思った存在であったとしても、プルクラッタッターの魔力は並外れたものだ。
かなり強い魔法が使えるに違いないのだから、自分ばかりが戦うのはやはり割に合わない。
「まっかせとけ!」
そう自信満々の言葉を放ったのは、ロケンローだ。
その声に、プルクラッタッターが呆れた顔を見せた。
もう!
勝手に、ヒトのこと、安請け合いするんだから!
「いい返事ね」
そして、何故か会話が成立したように終わってしまう。
プルクラッタッター本人を差し置いて。
私、何も言ってませんけど?
私が、あれと戦う?
プルクラッタッターには、どうしても実感が湧かなかった。
万が一、この世界に落とされた時に、チート能力か何かで魔法が使える様になっていたのだとしても、私は、あれに怯まず立ち向かえるのだろうか。
そこで、プルクラッタッターは思い直す。
違う。
立ち向かえるかどうかじゃない。
立ち向かわないと、死んでしまう世界なんだ。
町に着いたら、パピラターにも頼ってられなくなる。
このドラゴンはどうだか知らないけど。
魔力があるなら、それを使えるようにならないと。
「ねえ、パピラター、魔法って……どうやって使うの?」
それを聞くと、パピラターは、こてん、と頭を傾げた。
そして、魔法について説明するために、それと休憩するという言葉を実現させるために、道から外れた場所に座り心地のよさそうな場所を見つけ、そこにとすん、と腰を下ろす。
プルクラッタッターもそれに倣い、草原に腰を下ろした。
◇◇◇◇◇
パピラターの魔法でした〜!
強い魔女なのですよ。
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