3 こうして二人は出会った(3)

「そうよ、魔法」


 そう言って、パピラターは手に持っていた杖の先をくるりと回した。


 プルクラッタッターは、それでも戸惑いの表情を浮かべている。


 その様子を見て、パピラターは眉を寄せた。

 確かに、魔法使い自体はそれほど多くはないかもしれない。

 学ぼうとするとかなーりお金はかかるし、時間もかかる。

 田舎の方に行けば、今時?って思うけど、魔法使いのいない場所も……存在はするのかもしれない。

 魔物が出る田舎の方でも、まだ兵士だけで対応している地域はあるって本で読んだ事があるし。

 けど、行商人だって、劇団だって、医者だって、魔法に関する職業の人は沢山いるわけで。

 …‥もしかしてこの子、魔法まで忘れちゃった記憶喪失?

 それとも、そういう田舎に住んでいた子なんだろうか。


「ふむぅ」とパピラターは顎を親指で支えるように考え事をする時の表情を作った。


 怪しい。


 とはいえ、こんな危なっかしい子を放っておくわけにはいかない。

 どう見ても、プルクラッタッターは10代半ばから後半程度だもの。


 パピラターはじ……っとプルクラッタッターを検分するように眺めた。


「プルクラッタッター、あなたも……」

 プルクラッタッターがパピラターの方を向く。

「魔力はあるみたいだけど」


「…………?」


 プルクラッタッターは今日三度目のキョトンをする。


「……そんなに鍛えられた魔力があるなら、何処かで修行していたはずだけど……。やっぱり、記憶喪失なのかしら」


 パピラターはじっとプルクラッタッターの全体を見渡しながらそう呟く。


 なんと!

 パピラターには他人の魔力を測る力があるのだ。

 どうやら、集中してみると、ぼやぼやっと相手の身体の中に渦巻く何かが見えてくるらしい。

 これは、この世界の中でもとっても珍しい力。


「私、魔法なんて使った事……」

 ないけど。なんて言いながら、プルクラッタッターは内心少しだけ嬉しかった。


 プルクラッタッターにとって、魔法なんてものは、空想上の何かでしかなかった。

 魔法使い。それはちょっとした憧れ。

 子供の頃はもちろん、魔法少女のアニメは欠かさず見ていたし、13歳を超した頃には、自分で少しだけファンタジーなお話の設定をノートに書いてみたこともある。

 まあ、所謂厨二病ってところだ。


 まさか、私が魔法を使えるなんて???


 ワクワクドキドキするしかないじゃないか。


 そうだよね。

 こんな世界に落ちて来たなら、チート能力くらいは貰ってて当然だし、魔法くらい使えないと!


 まあ、正確にはプルクラッタッターがこの世界で魔法が使えることは、チート能力とやらのおかげではないんだけど。

 とにかく、プルクラッタッターは、この世界では魔法が使える◯◯歳なのだ。



◇◇◇◇◇



二人は魔法が使えます。

プルクラッタッターの方は、タイトル通り、魔法少女なんだけれど、実際に魔法を使うのはしばらく後になるかな。

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