過去からの強襲

自分の叫びで飛び起きて

窓の奥を見ると白い月があった

砂のような光が地に降り注ぎ

庭先の月下美人が花になる

けれどもわたしの身体は

いつまで経っても戻らない

すべてが過去から地続きに

わたしを蝕んでいる

忘れろと言われて忘れられるなら

夜中に叫んで起きたりしない

冷や汗をかいて飛び起きたりしない

わたしが悪いのかと花に聞く

あの時なにか間違っていたかと過去に問う

いや違うそんなはずはないと月が言う

けれども髪を切り落とし

肌の隠れる服を着て

起伏の少ない体を求めた

ああもう元には戻れない

過去には戻れない

奪われたまま戻れない

助けてくれと言って

助けてくれた試しがあるか

わたしを哀れむ暇があったら

タイムマシンでも作ってから来い

仕方がないのか、これは

そろそろ前を向けと人は言う

なにがわかる

お前は好きで組み敷かれる夢を見るのか

人気のない踊場に立つと叫び出したくなるか

帰り道に何度も振り返るのか

ああまた引き戻される

ずっとあそこにいる

戻らない、戻れない

今夜も叫びで飛び起きる

膝を抱えて蹲る

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