快速四号

第8話

木倉の家は市街地から西に2~3㎞離れた住宅密集地にあった。近くに広大な旧国鉄の貨物操車場跡地があり、その跡地に新駅の構想が持ち上がっている。あと5年もすれば、その周辺も含め町並みも一変するだろう。

 スーパーのバイトはしばらくシフトを入れてなかったが、木倉に電話して会いたいと言うと二つ返事をくれた。


「急に家に来たいって言われた時はびっくりしたよ。なんかあったのか?」

「いえ。人の家に行くのも久しぶりだし、ちょっと遊びに行きたくなっちゃって…」

 木造アパートの2階。近くを走る幹線道路からは想像できない位年季が入った建物。地方ではこんな建物もまだまだ残っている。

「おーい、裕恵。帰ったよ!」

 中に入ると人が暮らすあの独特な生活感が漂う。でも嫌な匂いじゃない。懐かしい匂いだ。高橋がまだ子供だった頃の社宅のアパートの匂いとよく似ている。あの頃、まだ家族はうまく機能していた。

「あっ、お友達。いらっしゃいませ。」

奥さんが出てきた。木倉が29才だと言っていたから、奥さんも24~25才だと思うがもっと若く見える。若くて綺麗だった。未成年かと思うほどだ。木倉はロリコンか?

「木倉さん、奥さん何歳なんですか?」  高橋はたまらずに聞いた。

「21だよ。お前手出すなよ。」

木倉が冗談半分に肘鉄をかましてきた。21…俺と同い年か。やっぱり若いわけだな。

「おーい、雄馬帰ったよー。」

奥から2~3才位の男の子が出てきた。木倉の足に飛びつきよじ登ろうとしている。

「かわいいですね。」

「そうだ。かわいいだろう。」

木倉が男の子を抱きかかえ、ヘリコプターと言って頭の上でくるくる回し始める。男のこはキャッキャと喜んでいる。

 高橋は親バカだなと思いつつ羨ましいとも感じた。

 その日の夕食はブリの照り焼きと焼きナスだった。最近まともな料理は食ってなく食欲もあまりなかったが、急に3日分位の猛烈な食欲がわいてきた。ご飯をお替わりすると木倉に、お前よっぽど腹空いてたんだなーと言われ恥ずかしくなる。そしたら急に笑いがこみ上げてきて、抑えきれなくなって笑ってしまった。

「ははっ、ははは。」

「お前、何が可笑しいんだよ。こいつ飯が食えてそんなに嬉しいのか?わっはははは。」

 ついにみんなが笑い出した。こんな大勢で一緒に笑うなんて久しぶりだ。もう来ないとも思っていた。幸せって形のないもので、何だろうと考えているうちにグチャグチャになっていた。実際は形にするとこんなものじゃないかなと、心の奥底がほぐれていく感覚を高橋は感じていた。

 子供を寝かしつけた奥さんが食卓に戻ってくる。

「高橋さん、お酒は飲めるんですか?」

「大丈夫、こいつ俺よりザルだからよ。」

奥さんがビール瓶2本持ってきて、高橋の分を注いでくれる。

「高橋さん、どうぞ。主人お酒強くないからあんまり飲ませないでね。」

同い年の女と思うと変な感じがする。人妻というだけでえらく年上な感じだ。自分がひどく幼く思えた。

「おい、裕恵。一緒に飲まないの?」

「うん、ごめんね。まだ雄馬が完全に寝付いてないから。一樹こそ明日昼から仕事あるんだからね。」

「分かってるよ。」

奥さんはいそいそと奥の部屋に戻っていった。「明日の昼から仕事あるんですか?」

「ああ、実は今日もスーパーが終わってからひと仕事してきたんだ。こんなに働いても前の仕事の半分の稼ぎだってーの。嫌になるよな。お前も入る会社は選ばなきゃ。リストラされたら俺みたいになるぜ。」

「あの飲んでて明日大丈夫なんですか?」

「気にすんなって、ほら飲め。」

木倉がすかさず空いたグラスにビールを入れる。

「しかし…本当は何かあったんだろ?急に来たいなんて…」

「いや、そんなんじゃ…」

「分かった。どーせあれだろう。同棲している彼女に追い出されたとか…」

「…まあ、そんなところかな。」

そんな女はいなかったが、面倒くさいので否定せずにおいた。

「図星かー。ごめんね。当てちゃってごめんね。かわいそうな男よ。飲め。まあ飲め。」木倉は高橋のグラスの口に瓶を置いて、飲む傍らからビールが減らないように注いでいく。 結局、高橋が2本のうち一本半を飲んだ。その後は木倉に誘導されるまま布団に倒れ込んだ。

 

 起きると、昼近くになっていた。木倉はスーパーとは違う作業着に着替えていて、仕事に出ようとしていた。

「木倉さん、おはようございます。すいません。こんな時間まで寝込んじゃって。」

「いいって、気にすんなよ。それよりお前、朝方うんうん寝言言ってうなされてぜ。飲ませ過ぎちまったかな?」

「いえ、そんなことないです。イテテテ。」

頭が痛む。やっぱり二日酔いか。

「大丈夫かよ。それと家に帰るのが嫌なら、2~3日泊まっていってもいいぜ。」

「本当ですか!」

「本当ですかって…マジで泊まる気?お前の彼女よっぽど怖いんだな。いいぜ、けど今晩も付き合えよ。」

木倉は頭にピースサインを作って出かけていった。

「高橋さん、お昼食べますか?朝食も兼ねてですけど…。」

木倉を見送り届けた奥さんが、気を遣って聞いてくれた。

「ありがとうございます。あと同い年だそうですから高橋君とかでいいですよ。」

「えっ、同い年?一樹のお友達だから年上かと思っていた。そういえばずいぶん若いね。学生さん?」

「まあ…一応その端くれかな。」

「いいなあ、私も大学行きたかったなぁ。」

朝飯に出したのであろう、目玉焼きとししゃもと山盛りのご飯が出てきた。

「すいません。こんなに頂いちゃって。」

「昨日すごくお腹空いてたみたいだったから。ちょっと待って、味噌汁もあるの。」

二日酔いの時はやっぱり和食だな。また食欲が猛烈に湧いてきた。昨日の夕食みたいにバクバク食べていると、奥さんがじっと見てくる。

「あの…何かおかしいですか?」

「えっ…あ~いや、いつも主人を相手にしているから…同い年だって聞くとなんか弟みたいに感じてしまって。だってそんなにバクバク食べてくれるから。」

「はは…」

なんて答えていいやら。

「でも高橋君も大変ね。彼女と喧嘩しちゃったんでしょ?」

「まあ…。」

「でも私も一回そういうのしてみたかったかも。花の大学生活。」

「奥さん、大学行かなかったんですか?」

「高橋くんも、同い年なんだか奥さん奥さんって呼ぶのやめよ。」

「なんて呼べば?」

「うーん、そだな…裕恵ちゃんとか?」

「いや、それはさすがに…。じゃあ裕恵さんで。」

馴れ馴れしくしてるとまじで肘鉄食らわれそうだからな。

「えー変!同い年なのにって高橋くんがさっき自分で言ったじゃん!」

「まあ、いいじゃないですか。それより話続けましょうよ。」

「あー逃げたなー。まあ私は大学行かずにそのまま就職して…。そこで一樹と出会ってすぐに結婚したの。だからもうちょっと遊んでおいても良かったなーって。」

「でも幸せなんでしょ?」

裕恵さんはふふふと笑い、生意気小僧めと言って首を絞める真似をした。

 急に体に触られて高橋はドキッとする。細くて少し冷たい指が優しく高橋の首を刺激する。抵抗せずにいるといつの間にか手は離れた。椅子に座り直した裕恵さんは優しいけれど、どこか醒めた表情になっていた。

「もちろん幸せよ。ただ、まだ高橋くんにはまだ分からないかも知れないけれど…。夫婦ってそんな一言で言い表せるほど簡単じゃないもんよ。」

 そんなもんなのかなと高橋は思ったが、目の前の体験者、それも自分と同じ歳から言われる言葉には説得力があった。

「そうでしょうね…。木倉さんも大変そうですし。」

「まあ、一樹がリストラされた事っていうんじゃないんだけどね。あの人も頑張ってくれてるから。うん、他にもいっぱい大変なのよ。やっぱり同棲とは違うんだし。」

裕恵さんが横目で高橋を睨む。でも表情は最初の明るさに戻っていた。

「あっなんかゴメンね。結婚もまだの人にこんな話…。なんか同い年だから話しやすかったのかな。」

「いやいや、勉強になりましたよ。」

「何よりです。同い年だけど結婚に関しては私の方が先輩だから。先輩。」

裕恵さんが茶目っ気っぽく先輩風を吹かしたところで、奥の部屋から子供が起きてきて裕恵さんに抱きつく。

「おかあさん、おなかすいたー。」

「さっき朝ご飯食べたばっかでしょ。お昼ご飯はもうちょっとしてからね。」

それでも子供はぐずついている。

「そうだ。ご飯までの間、このお兄ちゃんに遊んでもらいなさい。」

「え?」

「いいでしょ?結婚の大変さには子育てもあるんだから。先輩からのご指導ご指導。うん、それと昨日と今日の食費っていうことで。」

裕恵さんは子供を抱きかかえ、高橋の腕の上に強引に乗せた。裕恵さんは横目で高橋にウインクすると、自分の役目は済んだとばかりにあー楽々とか言いながら肩を揉んでいる。

 腕の上の子供はまだぐずっていて高橋は困惑していた。

「お兄ちゃんね。トーマスごっこ大好きなんだって。」

「おかあさん、それほんと?おにいちゃん、とーますやって!」

「じゃあ、高橋くん、悪いけどお願いね。」

「おにいちゃん、こっち。」

高橋は子供に手を引かれ隣の奥の部屋に連れて行かれた。築年数が古いためか部屋に繋がる廊下がキイキイと軋む。

 奥の部屋は畳で6畳。川の字に3組の布団が敷かれている。空いたスペースにこの部屋に似つかわしくない、50インチ程の液晶テレビが畳に食い込むようにじかに置かれていた。

 そういや昨日木倉が言ってたな…。今の稼ぎはリストラされる前の半分だって。いくらバイトでも掛け持ちして必死に働いたら20万近くはいくのではないか?前は40万近くもらっていたのか…。なかなかの高給取りだ。どんな仕事をしていたのだろう…?前は結構いいところに住んでいて、リストラを機にこのオンボロアパートに引っ越してきたのかもな…。

「おにいちゃん、とーますごっこ!」

ぼーっとしている高橋を子供が急かした。

「どうやればいいの?」

「おにいちゃんがとーます。ぐるぐるまわるの!」

高橋は四つん這いになって子供を上に乗せると、布団の上を円を描いて回った。子供が高橋の頭に手を乗せて時々叩いてくる。なんだこの野郎と子供をはね除けそうになるのを何とか我慢する。

「だめだよおにいちゃん。ぽーっていわなきゃ。」

「ポー!」

子供っていい気なもんだな。

「僕って何歳なの?」

「うーんとね、にさい!」

2歳の子供ってこんなに喋れるんだな。自分のその頃の記憶がないから不思議に思う。俺はどんな子供だったのだろうか?

 それにしても裕恵さんは俺と同い年で2歳の子持ちか…。んっ…、と言うことは今年22歳だから、逆算で18か19歳の時の子供と言うことか…。出会ったのは会社に入ってって言ってたから、出会って間もなく妊娠…。裕恵さんの「もっと色々遊びたかったな。」の言葉を高橋はしみじみと思い返した。


 木倉は夕方6時頃帰ってきた。汗で服の色が変わっている。

「おー高橋くん。元気にしてたかね?」

木倉はまた高橋に肘鉄をかました。俺は裕恵さんにちょっかいを出してなかったのに…。

「一樹おかえり。夕飯できてるけど。」

「ああ、ありがとう。でも先シャワー浴びてくるわ。」

木倉があちーあちーと言いながら台所横の風呂場に入っていく。裕恵さんはその間に夕飯を並べ始めた。

「ふー、よっこいしょういち。」

木倉が風呂場から出てきて、パンツいっちょの姿でキッチンの席に座る。細身ながらも筋肉質な体をしていた。

「何すか?よっこいしょういちって?」

「知らんの?この高級ギャグが通じんとは、近頃の若者は…。」

「何それ?私も知らない。」

裕恵さんが料理を運びながら会話に参加してくる。

「何だよ、裕恵まで高橋の味方かよ。おっ今日はハンバーグか!」

 食事の間も会話は弾む。

「おにいちゃん、とーますしてくれた。」

子供が木倉に嬉しそうに話した。

「へー、良かったなー雄馬。悪かったな高橋。子供の遊びに付き合わせて。」

「いえいえ、居候の身ですから。」

「私が頼んだのよ。高橋くんおかわりは?」

「あっお願いします。」

「ははっ、あいかわらずよく食べる。」

木倉が裕恵さんのついだ山盛りの茶碗を見ながら笑う。

「じゃあ私、雄馬とお風呂入ってくるから。それと…飲むのはいいけどすぐ仕事あるんだからね。」

「分かってるって。」

裕恵さんは、自分と子供の食器を流しに運ぶと、子供を連れて風呂場にいった。

「よっしゃー、今日も飲むぞー。」

木倉が冷蔵庫からビール瓶2本持ってきた。

「木倉さん、今からまた仕事ですか?」

「ああ、スーパーの仕事だよ。お前がやめて仕事の負担が少し増えちまったよ。店長に早く人入れて欲しいよ。」

「で、大丈夫なんすか?お酒飲んで…。」

「大丈夫、大丈夫、ちょっと位の酒は睡眠薬だって。それより彼女とは仲直りしたか?」「ええ、なんとか…。」

「そうか、そりゃ良かった…。まあでも、しばらくはここに居てもいいんだぜ。毎晩俺とこうして付き合うんだったらって話だけどな…。まあ飲め、飲んでくれたまえ!」

この日は二人でビール一本半空けたところで、木倉がもう俺寝なきゃいけないという事でお開きになった。

「俺はもう寝るけど、残ったの飲んでもいいから。じゃおやすみ。」

飲めといわれてもなぁ…。結局今日も飲んだのは殆ど俺だったし。

「ああ、高橋くん。一樹もう寝たの?」

裕恵さんが子供と風呂から出てきた。

「ええ、さっき。」

「あっビール残ってるー。」

裕恵さんがわざとびっくりしたような口調をしながら、さっきまで木倉がいた席に座る。「飲みます?」

「うん、そのつもり、ヘヘヘ。」

高橋が裕恵さんにビールをついでいると、子供が「ぼくものみたい」とコップを掴もうとする。

「雄馬にはこれ。一緒でしょ?」

裕恵さんはそばにあった緑茶をコップに入れて子供に渡した。

「あの。木倉さんっていつもこうして仕事があってもお酒飲んでるんですか?」

「ううん、いつもは深夜にバイトがある時はご飯食べたらすぐ寝ちゃってる。やっぱり高橋くんが来てくれたから嬉しかったんじゃない?」

「そうなんですかね…」

「ほんと、ほんと。もともとあの人友達多い方じゃないし。前の会社だって同僚との喧嘩が元で辞めさせられたようなもんだしね。私は結婚して会社はすぐ辞めちゃったからよくは知らないんだけどね。あ、あんまりしゃべっちゃうと一樹に怒られちゃうから今の内緒ね。」

「大丈夫です。僕は口軽いんで。」

「ちょっとー!」

「冗談です。冗談。言いません。」

「おかあさん。ぼくねむたい。」

時計を見ると7時半を少し回ったところだった。子供が裕恵さんのパジャマの袖を引っ張る。

「分かった。分かった。もうおねんねしようね。そういえば高橋くん。私明日からパートが始まるし、雄馬も保育園に行くんだけど…どうする?」

明日は約束の日だった。

「僕も用事があるんで朝一緒に出ます。」

「もしかして彼女のとこに謝りにいくの?」「さあどうですかねー。」

さっき木倉が言ったのと同じこといってら。なんだかんだ言ってもこの夫婦、似た者同士で相性いいのかもしれない。

「じゃあ私、子供寝かしてくるから。あっお風呂使ってもいいよ。」

裕恵さんは空になったビール瓶とコップを片付けて子供と寝室に戻った。

 昨日も風呂に入ってなかったので、シャワーだけ浴びさせてもらうことにした。高橋が風呂から出て昨日寝た寝室に戻ると、裕恵さんがTVを見ていた。

「あっ雄馬くん、もう寝たんですか?」

「うん、昼間高橋くんに色々遊んでもらってすっかり疲れたみたい。」

となりに座ると、女性の甘いにおいがする。パジャマの襟元から白い胸元がチラチラ見えてしまう。

「このTVも思い切っていいの買ったんだけどね。ここに引っ越してから、電波が悪いのか映り悪いのよね~。」

裕恵さんはひとしきりチャンネルを変えながら高橋の方を見てにかっと笑った。確かに電波が悪いのか画面の映りはあまり良くない。しかしそんな事よりも、隣に座っている女性にどうしても意識がいってしまう。なまじ酔っているせいか、抱きついて押し倒してしまいたいという強い衝動に駆られ、それを理性で押さえ込むのに苦労する。ノイローゼになると性欲が減退するらしいが、だとしたら俺はまだ健全な方かもしれないと変なところで納得してしまった。

「あっエンタの神様やってるじゃん。」

隣で裕恵さんは、見たこともない新人芸人のコントに大笑いしている。

 こんな時女性は何を考えているのだろう?同い年の若い男が隣に座っていても、自分は既婚者で、ましてや隣の部屋に旦那が寝ている状況ではそういう不埒な事は一切頭によぎらないものなのだろうか?もしくは…

恋愛経験の乏しい高橋には全く想像がつかなかった。ただどんな状況でも下心ができてしまう男は損な役回りだなと思った。

「このトリオ最高に面白いよね。」

裕恵さんが高橋の肩を叩きながら同意を求めてくる。さっきから画面を見ていても全然頭に入ってこなかったが、一応「うんそうだね。」と相づちを打つ。高橋はいつの間にか体育座りになっていた。そうでもしないと下半身が膨張しているのを気づかれそうだったからだ。

 一時間位して、

「あっもうこんな時間、一樹を起こさなきゃ。」

裕恵さんは立ち上がって隣の部屋に消えていった。しばらくすると、あー眠みーという木倉の声が聞こえた。木倉が玄関を開ける音がしたので、高橋は見送りに部屋を出た。

「木倉さん。明日出ます。昨日、今日とお世話になりました。」

「おお、そう。まあいつでも遊びに来てくれよ。じゃ行ってくるわ。」

昨日と同じピースサインを頭に作ると木倉は出て行った。

「気をつけて。」

裕恵さんが木倉を玄関越しに見送ると扉を閉めた。

「じゃあ、私も明日パートがあるからもう寝るね。朝7時半に出かけるけど大丈夫?」

「はい大丈夫です。」

約束は午後2時だったが、まさか昼間で一人で家に居させてくれとは言えない。

「うん、じゃおやすみー。」

裕恵さんは部屋に戻っていった。

高橋もTVの部屋に戻った。まだ時間は9時。TVをつけて見ていても良かったが、隣の部屋の迷惑になるのではと考え消した。部屋の明かりも消して布団を敷きもぐりこんだ。

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