第6話 クズ限定スキル
「何その反応は。これってそんなに驚く様なスキルなのか?」
「ええ、そりゃもう。創世の時代から今日まで下界をちょくちょく視姦してきた私ですが、そのスキルを持つ
……視姦?
「創世の時代からって……そりゃまた随分とスケールがデカい話だな。そんで、気になる性能はどんな感じかなっと……」
オレはスキルの【ラアル】の表示されている部分に意識を集中させる。
すると視界に浮かんでいたステータスがラアルとやらの詳細へと切り替わった。
【ラアル】
毒無効、麻痺無効、幻惑無効、睡眠無効、ウィルス無効。
毒超特効、麻痺超特効、幻惑超特効、睡眠超特効、ウィルス超特効。
「うっうおおおお!!つぇええええ!!…………けど」
「けど?」
「……素直に喜べんかも」
「何故ですか?そのスキルは極めて珍しく、そしてとても強い性能であった筈なのですが」
確かにこのスキルは強い……のだが、さっきパッと目に付いた習得条件がなぁ……。
オレは何かの読み間違いである事を信じ、再度習得条件に目を通した。
【習得条件】
理を違えた世界での不潔、不健康な試練の日々を過ごして健康体で生存する。
理を違えた世界での
定期的な毒物の接種。
貧乏神との深い絆を持つ。
これは酷い。
要はヨゴレで素人DTで喫煙者で貧乏人って事が言いてえんだろ?
それをゲームっぽい表記に変換してるのが逆にちょっとイラっとくるわぁ~。
そりゃ、このスキルを持った勇者が今までいなかった訳だ。
こんなロクでもないクズスキルを持った勇者が世界を救う所なんか誰も見たくもないし、何ならそんな奴に世界は救って欲しくない。
……自分で言っててアレだが、何でそんなスキルを覚えられるオレみたいなクズが勇者として召喚されちまったんだ?
「……再度ヘルに聞きたい」
「改まってどうなされたのですか?マズダ様」
「あのさオレって本当にほんとぉぉぉう、に勇者?」
もしかすると転移の途中で何か手違いが起こった可能性があるかもだから一応な。
「間違いなく、異世界の勇者様ですが、何か?」
……否定しないのな。
「あ、はははっ~。う、うんそうだな。ははは……よ、よし!このスキル早速どっかで試してみようぜ」
「ん?はい、マズダ様がそう仰るのなら参りましょうか」
ま、まぁクズにしか習得できないスキルだろうが、このスキルが強けりゃ何も問題は無い。
オレみたいな雑魚でもスキルの良しあしで異世界ウハウハライフを満喫できる可能性がある。
……習得条件についてはうん、もういいだろ。
オレはヘルに付いて行き【ラアル】というこの謎のスキルを試せる場所へと案内してもらう事にした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます